結論:岩手県独自の補助金「賃上げ補助金2.0(中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金)」の第2回公募が2026年7月30日から始まっており、通常枠(従来枠)とデジタル活用枠(省力化投資枠)は9月30日(水)17時、複数事業者連携枠(第3回公募)は8月28日(金)17時が締切です。3つの枠のうち、これから準備を始める岩手の中小企業・小規模事業者にとって現実的な入口は、経営革新計画の承認がなくても申請できる「デジタル活用枠」(補助率2分の1・上限100万円)です。通常枠は「給与支給総額を年率平均2.0%以上増やす」経営革新計画の承認済みが前提で、承認を得るための第4回・第5回評価委員会(9月11日・14日開催)向けの完成版提出期限は8月21日(金)と目前に迫っています。この記事では、県公式の公募要領をもとに3枠の違いと第2回公募のスケジュールを整理したうえで、デジタル活用枠で求められる「商工会・商工会議所の支援を受けた経営計画」づくり、補助対象経費の落とし穴、そして生成AIを使って申請準備と費用対効果の数値化を短時間で進める実務手順を解説します。最低賃金の引き上げが続く岩手で、賃上げの原資を生む省力化投資に県の補助を使うための記事です。
この記事の要点
- 岩手県「賃上げ補助金2.0」第2回公募は2026年7月30日〜9月30日(水)17時受付(通常枠・デジタル活用枠)。複数事業者連携枠は第3回公募として8月3日〜8月28日(金)17時必着で、申請先は岩手県中小企業団体中央会
- デジタル活用枠は経営革新計画が不要で、パートナーシップ構築宣言の登録と、商工会・商工会議所の支援を受けて策定する経営計画が要件。補助率2分の1・上限100万円。人手不足対応のデジタル技術導入や生産性向上の設備投資が対象
- 通常枠は経営革新計画(給与支給総額年率平均2.0%以上増加見込み)の承認済み事業者が対象で、補助率3分の2・上限200万円。第2回公募に合わせて新たに承認を取るには、9月11日・14日の評価委員会向け完成版提出期限(8月21日)に間に合わせる必要がある
- 審査では過去に交付決定を受けたことがない事業者と申請受付順の早い事業者が優先される。採択後も交付決定前の発注は補助対象外、汎用PC・タブレット本体や通信費、書類作成代行費は対象外
- 生成AIは、業務の棚卸し・経営計画の下書き・削減時間の人件費換算・見積依頼文の作成に使える。ただし事業計画書の作成代行費は補助対象外で、AIが出した数字は自社データで必ず裏取りする
対象読者
- 人手不足への対応や生産性向上のために、レジ・予約・勤怠・在庫・見積などのデジタル化を検討している岩手県内の中小企業・小規模事業者の経営者
- 最低賃金の引き上げで人件費が上がるなか、賃上げの原資を省力化で生みたいと考えている事業者
- 商工会・商工会議所の会員で、持続化補助金の申請経験はあるが県独自の補助金は使ったことがない事業者
- 組合や事業者グループで共同のデジタル化・DX化に取り組みたい組合事務局・グループ代表者
読了後にできること
- 賃上げ補助金2.0の3つの枠の違いと、自社がどの枠に当てはまるかを判断できる
- 第2回公募のスケジュール(受付・審査・交付決定・実施期間・実績報告)を逆算して、いつまでに何を準備すればよいかが分かる
- 商工会・商工会議所に相談に行く前に、AIを使って経営計画のたたき台と費用対効果の試算を用意できる
- 補助対象外の経費や交付決定前発注などの典型的な失敗を避けられる
1. 賃上げ補助金2.0とは|3つの枠と第2回公募のスケジュール
「中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金(賃上げ補助金2.0)」は、適切かつ円滑な価格転嫁や賃上げのための環境整備に取り組む県内の中小企業・小規模事業者に対し、生産性向上に向けた設備投資やデジタル化等に要する経費を補助する岩手県独自の制度です。国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を財源とし、令和7年度12月補正予算で1億5,000万円が確保されています。令和5年度から続く「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助」を「通常枠(従来枠)」として引き継ぎつつ、令和8年度は「複数事業者連携枠」と「デジタル活用枠(省力化投資枠)」を新設した点が特徴です。
2026年8月17日時点で県公式サイトに掲載されている第2回公募(複数事業者連携枠は第3回公募)の概要は次のとおりです。
| 枠 | 主な対象者 | 補助率・上限額 | 申請受付期間 | 申請先 |
|---|---|---|---|---|
| 通常枠(従来枠) | 給与支給総額を年率平均2.0%以上増加させる見込みの経営革新計画の承認を受け、パートナーシップ構築宣言を実施済みの中小企業者等 | 3分の2以内・1件当たり200万円 | 2026年7月30日(木)〜9月30日(水)17時 | 岩手県商工労働観光部経営支援課(郵送・持参) |
| 複数事業者連携枠(第3回公募) | 1者以上が経営革新計画の承認を受けている、2者以上の中小企業者等で構成されるグループ・組合(パートナーシップ構築宣言実施済み) | 3分の2以内・1組合/グループ当たり上限200万円・下限50万円(過半数が小規模企業者の組合等は5分の4以内) | 2026年8月3日(月)〜8月28日(金)17時必着 | 岩手県中小企業団体中央会 連携支援部 |
| デジタル活用枠(省力化投資枠) | 生産性向上を目的としたデジタル化に取り組む、パートナーシップ構築宣言実施済みの中小企業者等(経営革新計画は不要) | 2分の1以内・1件当たり100万円 | 2026年7月30日(木)〜9月30日(水)17時 | 岩手県商工労働観光部経営支援課(郵送・持参) |
採択後の流れも公募要領に明記されています。通常枠・デジタル活用枠は、審査会が2026年10月中旬、事業採択決定が10月下旬、補助金交付決定が11月上旬の予定で、補助事業の実施期間は交付決定日から2027年1月29日(金)まで、実績報告書の提出期限は補助事業完了後30日以内または2027年2月10日(水)のいずれか早い日です。補助金は実績報告と現地調査等による完了確認の後の精算払いになります。つまり、11月上旬の交付決定から1月末までの約3か月で発注・納品・支払いまで終える必要があり、導入するシステムや機器の納期を逆算した計画が求められます。
なお、令和7年度までの通常枠は毎年60者前後が採択されており、県資料では令和7年度に64者・約8,978万円の交付実績があります。県内の中小企業向け補助金としては採択規模が大きく、実績も積み上がっている制度です。
2. どの枠を選ぶか|経営革新計画の有無で決まる
3枠は同時に申請できません(他の枠に交付申請を行っている、または行う見込みがある事業者は対象外)。自社がどの枠に当てはまるかは、次の順番で確認すると迷いません。
- 経営革新計画の承認をすでに受けているか:承認済みで、計画に「給与支給総額を年率平均2.0%以上増加させる見込み」の記載があれば通常枠が候補。補助率3分の2・上限200万円と条件がもっとも良く、対象事業は経営革新計画の「新事業活動」(新商品の開発・生産、新サービスの提供、新生産・販売方式の導入等)に該当するものです
- 承認がまだで、これから取れるか:県の経営革新計画評価委員会は令和8年度に9回開催され、次回は第4回(9月11日)と第5回(9月14日)です。ただし、この2回に向けた振興局への事前連絡期限は8月7日、完成版の提出期限は8月21日(金)とされており、まだ着手していない事業者が第2回公募(9月30日締切)に承認を間に合わせるのは現実的ではありません。この場合はデジタル活用枠を検討します
- 組合や事業者グループで取り組むか:事業協同組合・商店街振興組合などの中小企業組合、または代表者と事務局を備えた企業連携グループで、構成員の1者以上が経営革新計画の承認を受けていれば複数事業者連携枠が候補。共同のECサイト・会員アプリ、共同仕入・共同配送、合同のDX人材育成などが対象事業の例として挙げられています。締切は8月28日で、承認済みの計画を持つ組合・グループ向けの枠と考えるべきです
- 上記のいずれでもない:デジタル活用枠が入口です。経営革新計画は不要で、必要なのはパートナーシップ構築宣言の登録・公開と、商工会・商工会議所の支援を受けて策定する経営計画です。県のチラシにも「まず、業務効率化したい事業者にオススメ!経営革新計画がなくても申請できます!」と明記されています
ここで一つ注意点があります。デジタル活用枠の別名「省力化投資枠」は、国の「中小企業省力化投資補助金」とは別の制度です。名前が似ていますが、県の賃上げ補助金2.0は県への申請、国の省力化投資補助金は国の事務局への電子申請で、要件も審査も異なります。同じ経費を両方に計上することはできません(国・県等の他の補助金と重複する経費は対象外)。国の制度は岩手の省力化投資補助金×AI|第8回公募8月18日開始・活用ガイドで解説しているので、投資規模と要件を見比べて使い分けてください。
3. デジタル活用枠で通る事業計画のつくり方|商工会・商工会議所と一緒に
デジタル活用枠の申請書類の中心は「事業計画書(別紙1)」で、経営計画と補助事業計画の両方を、商工会・商工会議所の支援を受けて策定することが求められます。支援を受けたことを確認するため、支援担当者の情報も事業計画書に記載しなければなりません。県は国の「小規模事業者持続化補助金」の申請スキームを参考にしていると明示しているので、持続化補助金の経営計画書を書いた経験があれば、その進め方が流用できます。
審査は非公開の書類審査で、公募要領の別表に審査項目が示されています。押さえるべきポイントは次の4点です。
- 適格性:提出書類がそろっているか、経営計画・補助事業計画が商工会・商工会議所の支援を受けて策定されているか、パートナーシップ構築宣言がポータルサイトに登録されているか、事業を遂行できる体制と財務状況か
- 事業内容の必要性・妥当性:計上した経費が補助事業計画を進めるうえで費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される給与支給総額や付加価値額、生産性の向上とその実現性)を期待できるか。人手不足の課題に対応するデジタル技術導入や生産性向上に必要な経費と認められるか。地域の特性を生かし、地域の事業者への経済的波及効果があるか。県内事業者への優先発注に努めているか
- 加点事項:「いわて地球環境にやさしい事業所」認定、「いわて女性活躍認定企業等」、「いわて子育てにやさしい企業等」認証、「いわて働き方改革推進運動」参加宣言、「事業継続力強化計画」認定、「いわて健康経営認定事業所」、「消防団協力事業所表示証」の7項目。いずれも申請受付期間の最終日時点で有効なものに限る
- 優先順位:予算を超えた場合は評価の高い順に採択されるほか、過去にこの補助金の交付決定を受けたことがない事業者と、申請受付順の早い事業者が優先される。書類がそろい次第、早めに提出することが有利に働く
「何に使えるのか」のイメージは、県が公開している活用事例チラシが参考になります。デジタル活用枠の事例として、セルフレジ導入(釣銭間違いの防止・店員の負担軽減)、生成AI活用(見積書作成のデジタル化・AIによる需要予測・迅速な在庫管理)、AI搭載のCADソフト導入(作図時間の短縮・材料発注の効率化)、デジタル故障診断機(診断の迅速化・リードタイム短縮)の4つが挙げられています。県の概要資料では、クラウド型の勤怠・労務管理システムでタイムカードや手書きの出勤簿を置き換える例、POSレジと在庫管理システムを連携させて棚卸しと発注を効率化する例、飲食店のオーダー・会計システム導入に必要な専用タブレット端末・キャッシュレス決済端末・券売機なども対象になると説明されています。
4. 補助対象経費と落とし穴|「汎用PC」「交付決定前の発注」に注意
デジタル活用枠の補助対象経費は次の区分です。いずれも「専ら本補助事業のために使用される」ことが前提で、交付決定日以降に契約(発注)し、実施期間内に支払いを完了したものに限られます。
| 経費区分 | 対象になる例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 専用の機械装置、専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築・リース、改良・据付・運搬 | 「機械及び装置」「器具及び備品」「工具」が対象。構築物・車両は対象外。中古は2者以上の相見積が必要 |
| クラウドサービス利用費 | 専ら本補助事業のために利用するクラウドサービス・Webプラットフォームの利用料、付帯するルータ使用料・プロバイダ契約料等 | 自社の他事業と共有する場合は対象外。実施期間分のみ(按分)。パソコン・タブレット・スマートフォン本体は対象外 |
| 専門家経費 | 技術指導・助言を依頼した専門家への謝金・旅費 | 1日5万円が上限(中小企業診断士・ITコーディネータは1日4万円以下等の単価規定あり)。応募申請時の事業計画書作成を支援した外部支援者への経費は対象外 |
| 外注費 | 加工・設計・検査等の外注、業務効率化を目的とした作業動線改善の改装工事 | 書面契約が必要。50万円(税抜き)以上の外注工事は処分制限財産 |
| 研修費 | 補助事業の遂行に必要な教育訓練・講座受講 | 事業計画書に研修名・実施主体・内容・受講費・受講者の5点を明記。OJTや入学金・交通費は対象外 |
| 技術導入費・知的財産権等関連経費・運搬費 | 知的財産権の導入、特許出願の手続代行費、宅配・郵送料等 | 技術導入費・専門家経費・外注費の支出先の重複不可 |
対象外経費として公募要領に列挙されているもののうち、デジタル化の計画で特に引っかかりやすいのは次の項目です。
- 汎用性があり目的外使用になり得るものの購入・レンタル費(事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機、カメラ等。本補助事業のみに使用することが明らかなものは除く)
- 電話・インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く)
- 事業計画書・申請書・報告書等の作成・提出に係る費用、事業者が行うべき手続きの代行費用
- 本補助事業に係る自社の人件費・旅費、消費税(免税・簡易課税・2割特例事業者が税込みで申請する場合を除く)
- 他の補助金・助成金等ですでに受給対象となっている経費
支払い方法にも条件があります。補助対象経費の支払いは金融機関への振込の実績で確認され、現金払い・手形払いは対象外です。クレジットカード払いは法人カード名義(個人事業主は本人名義)で、実施期間内に金融機関からの引き落としまで完了しているものに限られます。見積書は、新品購入の場合は単価100万円(税込み)超のときのみ複数見積が必要ですが、中古品は金額にかかわらず複数見積が必要です。単価50万円(税抜き)以上の機械装置等は処分制限財産となり、補助金受領後も一定期間は目的外使用・譲渡・廃棄に県の承認が要ります。
生成AIツールの月額利用料を計上したい場合は、クラウドサービス利用費に当たり得ますが、「専ら本補助事業のために利用」「実施期間分のみ」「他事業と共有なら対象外」という条件が厳しめです。既存業務全般で使うAIツールの契約をそのまま計上すると対象外と判断される可能性があるため、補助事業の範囲を明確に区切ったうえで、商工会・商工会議所と県の担当窓口に事前に確認してください。
5. AIで申請準備を効率化する手順|棚卸し・経営計画・費用対効果・見積
デジタル活用枠の申請でもっとも時間がかかるのは、事業計画書に書く「現状の課題」「導入するデジタル技術」「期待される効果」を筋の通った形で言語化し、費用対効果を数字で示す作業です。生成AIは、この下ごしらえに向いています。ただし前提として、事業計画書の作成代行費は補助対象外であり、経営計画は商工会・商工会議所の支援を受けて策定するものです。AIは「相談に行く前に自社の考えを整理し、たたき台を持っていく」ための道具として使ってください。
- 業務の棚卸しで「人手不足のボトルネック」を洗い出す:レジ・予約・電話対応・シフト作成・見積作成・在庫確認・請求書発行など、日々の業務を書き出し、誰が何分かけているかをAIに整理させる。
【プロンプト例】
当社は岩手県内の【業種】で従業員【人数】名です。以下の業務一覧と担当者・所要時間をもとに、①手作業が多く時間がかかっている業務、②担当者が1人しかおらず属人化している業務、③デジタル化で削減効果が大きそうな業務、の3つに分類し、それぞれ理由を1行で添えてください。
業務一覧:【業務名、担当者、1日/1週間あたりの所要時間を貼り付け】 - 経営計画のたたき台を作る:県の事業計画書(別紙1)は持続化補助金のスキームを参考にしているため、企業概要、顧客ニーズと市場の動向、自社の強み、経営方針・目標と今後のプラン、といった流れで下書きを作り、実際の様式に転記する。
【プロンプト例】
以下の情報をもとに、小規模事業者向け補助金の経営計画書の下書きを作ってください。構成は①企業概要②顧客ニーズと市場の動向③自社や自社の提供する商品・サービスの強み④経営方針・目標と今後のプラン、の4項目。各項目300字以内。事実として書けるのは提供した情報の範囲だけとし、数字を創作しないでください。分からない箇所は【要確認】と記載してください。
情報:【創業年、事業内容、主な顧客層、直近の売上動向、強み、課題、今回導入したいデジタルツール】 - 費用対効果を「削減時間×時給×人数」で数値化する:審査項目にある「補助金の投入額に対して増額が想定される給与支給総額や付加価値額」に応えるため、導入後に減る作業時間を人件費に換算し、浮いた時間を何に振り向けるか(接客・営業・賃上げ原資)まで書く。
【プロンプト例】
クラウド型勤怠管理システムを導入すると、月末の集計作業が月【X】時間から【Y】時間に減る見込みです。担当者の時給換算を【Z】円として、年間の削減時間と削減人件費を計算してください。さらに、導入費用【A】円(補助率2分の1で自己負担【B】円)に対する回収期間を月数で示し、計算過程も書いてください。 - 見積依頼文と比較表を作る:導入候補のシステム会社に送る見積依頼メールの下書きと、複数の見積を「初期費用・月額・実施期間内の支払額・サポート内容・県内事業者か」で並べた比較表のフォーマットをAIに作らせる。県内の中小企業者への優先発注は審査項目でもあるため、比較表に発注先の所在地の欄を入れておく
- 実績報告に備えた記録テンプレを用意する:交付決定後は、発注日・契約書・納品日・振込日・導入前後の作業時間などを記録する必要がある。「実績報告書は応募時の事業計画書に準じた内容」と公募要領にあるため、申請時点で効果測定の指標(月間の作業時間、処理件数など)と測り方を決め、記録用の表をAIに作らせておく
ここで扱う売上・人件費・取引先名は自社の機微な情報です。外部の生成AIサービスに入力する際は、取引先名を「A社」のように記号化する、法人向けプランやデータ非学習の設定を確認するなど、情報の取り扱いに注意してください。AIが出した削減時間や金額は、必ず自社の実データと突き合わせてから事業計画書に書きます。
6. 併用と使い分け|国のデジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金、業務改善助成金
2026年8月時点で、岩手の中小企業がデジタル化・省力化に使える主な制度を並べると次のようになります。同じ経費を複数の制度に計上することはできませんが、経費や目的を分ければ組み合わせは可能です。
| 制度 | 実施主体 | 補助率・上限の目安 | 直近の締切・スケジュール | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 賃上げ補助金2.0 デジタル活用枠 | 岩手県 | 2分の1・上限100万円 | 2026年9月30日(水)17時締切 | 商工会・商工会議所と一緒に、100万円〜200万円規模のデジタル化・省力化投資を進めたい小規模事業者 |
| 賃上げ補助金2.0 通常枠 | 岩手県 | 3分の2・上限200万円 | 2026年9月30日(水)17時締切 | 経営革新計画の承認済みで、新事業活動に伴う設備投資・人材育成・販路開拓を行う事業者 |
| デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) | 国(中小企業基盤整備機構) | 枠により異なる | 4次締切2026年8月25日(火)17時。5次以降の日程は8月17日時点で未公表 | 事務局に登録されたITツールをIT導入支援事業者と一緒に導入する事業者 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 国 | 従業員規模により異なる | 第8回公募が2026年8月18日開始 | 数百万円以上の設備投資と賃上げ要件を満たせる事業者 |
| 業務改善助成金 | 国(厚生労働省) | 事業場内最低賃金の引上げ額に応じて設定 | 年度内の申請期限は厚労省の案内で確認 | 最低賃金引き上げに合わせて事業場内最低賃金を引き上げ、あわせて設備投資を行う事業者 |
岩手県の最低賃金は例年10月に改定されており、賃上げ原資の確保は多くの事業者に共通する課題です。最低賃金引き上げに直結する国の助成金は岩手の最低賃金引き上げ×AI|業務改善助成金の活用法【2026】、国のIT導入系の補助金はデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でAIツール導入を進める、県内で使える補助金の全体像は岩手の補助金でAI・DX導入を実現する完全ガイドで整理しています。組合や商店街単位での共同の取り組みは、複数事業者連携枠のほかに、商工会等が申請する持続化補助金〈共同・協業型〉も選択肢になります。
7. よくある失敗パターン
- 採択通知が来た段階で発注してしまう:補助対象になるのは「補助金交付決定通知書」に記載された交付決定日以降の発注・契約・支出だけです。事業採択決定(10月下旬予定)の段階ではまだ発注できません。交付決定日前の発注は、いかなる事情があっても補助対象外です
- パソコンやタブレットの本体費用を計上する:汎用性のある事務用パソコン・タブレット・スマートフォンは原則対象外です。オーダーシステム専用のタブレット端末のように「本補助事業のみに使用することが明らかなもの」だけが例外になります。計上前に商工会・商工会議所と県に確認しましょう
- パートナーシップ構築宣言の登録が締切に間に合わない:宣言はポータルサイトに登録・公開されていることを証する書類が必要です。登録から公開までには日数がかかるため、申請書類の作成と並行して早めに手続きをしてください
- 経営革新計画の承認を前提に通常枠を狙い、間に合わない:第4回・第5回評価委員会向けの完成版提出期限は8月21日です。承認見込みが立たないなら、早い段階でデジタル活用枠に切り替える方が確実です
- 国の省力化投資補助金と混同する:県の「省力化投資枠」と国の「中小企業省力化投資補助金」は別制度です。要件・申請先・審査が異なり、同一経費の重複計上はできません
- AIが作った計画書をそのまま提出する:経営計画は商工会・商工会議所の支援を受けて策定するものであり、支援担当者の情報も記載が必要です。AIの下書きは相談を効率化する材料であって、そのまま出すものではありません。数字は自社データで裏取りしてください
8. まとめ|まず今日やること
- 自社が経営革新計画の承認を受けているかを確認し、承認済みなら通常枠、未承認ならデジタル活用枠を第一候補にする
- パートナーシップ構築宣言ポータルサイトで自社の登録状況を確認し、未登録なら手続きを始める
- 人手不足で困っている業務を書き出し、AIで棚卸しと削減時間の試算のたたき台を作る
- 地元の商工会・商工会議所に「賃上げ補助金2.0のデジタル活用枠を使いたい」と相談し、経営計画づくりの支援を依頼する
- 導入候補のシステム会社・販売店に見積を依頼し、納期が2027年1月29日の実施期限に収まるかを確認する
- 詳細は岩手県商工労働観光部経営支援課 中小企業振興担当(電話:019-629-5544)、複数事業者連携枠は岩手県中小企業団体中央会 連携支援部(電話:019-624-1363)に問い合わせる
補助金対象になりやすい計画書・見積のつくり方全般はAI導入費用を補助金対象にしやすくする計画書・見積の作り方もあわせてご覧ください。
Uravationでは、岩手県内の中小企業向けに、補助金を活用したデジタル化・生成AI導入の計画づくりから、導入後の社内定着までを支援する研修・伴走支援を行っています。自社の状況に合わせた進め方について、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 賃上げ補助金2.0の第2回公募はいつまでですか?
通常枠(従来枠)とデジタル活用枠(省力化投資枠)は2026年7月30日(木)から9月30日(水)17時まで、岩手県商工労働観光部経営支援課で受け付けています(郵送等は受付期間内必着、または持参)。複数事業者連携枠は第3回公募として2026年8月3日(月)から8月28日(金)17時必着で、申請先は岩手県中小企業団体中央会です。
Q2. 経営革新計画がなくても申請できますか?
デジタル活用枠(省力化投資枠)は経営革新計画の承認が不要です。代わりに、パートナーシップ構築宣言のポータルサイト登録と、商工会・商工会議所の支援を受けて策定した経営計画・補助事業計画が必要です。通常枠と複数事業者連携枠は、経営革新計画の承認(連携枠は構成員の1者以上)が要件です。
Q3. デジタル活用枠の補助率と上限額はいくらですか?
補助対象経費の2分の1に相当する額以内(千円未満切り捨て)で、1件当たり100万円が上限です。通常枠と複数事業者連携枠は3分の2以内・上限200万円(連携枠は下限50万円、過半数が小規模企業者の組合等は5分の4以内)です。
Q4. 生成AIツールの利用料は補助対象になりますか?
クラウドサービス利用費として計上できる可能性はありますが、「専ら本補助事業のために利用する」「実施期間中の分のみ」「自社の他事業と共有する場合は対象外」という条件があります。パソコン・タブレット・スマートフォンの本体費用は対象外です。計上前に商工会・商工会議所と県の担当窓口に確認してください。
Q5. 国の中小企業省力化投資補助金と何が違いますか?
県の賃上げ補助金2.0「デジタル活用枠(省力化投資枠)」は岩手県独自の制度で、県への紙の申請、商工会・商工会議所の支援を受けた経営計画、上限100万円という枠組みです。国の中小企業省力化投資補助金は国の事務局への電子申請で、投資規模も要件も異なります。同一経費を両方に計上することはできません。
Q6. 採択されたらすぐに発注してよいですか?
いいえ。事業採択決定の段階では発注できません。「補助金交付決定通知書」に記載された交付決定日(第2回公募では2026年11月上旬の予定)以降に発注・契約・支払いを行ったものだけが補助対象です。実施期間は2027年1月29日(金)までです。
Q7. この記事の内容はいつ時点の情報ですか?
本記事は2026年8月17日時点で岩手県公式サイトに掲載されている「デジタル活用枠(省力化投資枠)第2回公募要領」「通常枠(従来枠)第2回公募要領」「事業概要資料」、および岩手県中小企業団体中央会の第3回公募案内に基づいています。公募要件・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
参考・出典(一次情報)
- 岩手県「【公募】中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金(賃上げ補助金2.0)の公募について」(更新日:令和8年8月10日)
- 岩手県「デジタル活用枠(省力化投資枠)第2回公募要領」(令和8年7月27日・PDF)
- 岩手県「通常枠(従来枠)第2回公募要領」(令和8年7月27日・PDF)
- 岩手県商工労働観光部経営支援課「中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金の概要について」(令和8年7月30日・PDF)
- 岩手県中小企業団体中央会「中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金(複数事業者連携枠)の第3回公募について」(2026年8月3日)
- 岩手県「経営革新計画承認までの流れ」(令和8年度評価委員会スケジュール・更新日:令和8年7月23日)
- デジタル化・AI導入補助金2026「スケジュール」(4次締切2026年8月25日)
本記事の制度内容は2026年8月17日時点の岩手県公式サイト・公募要領および岩手県中小企業団体中央会の案内に基づいています。補助率・上限額・受付期間・対象経費は公募回ごとに見直される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認し、岩手県商工労働観光部経営支援課 中小企業振興担当(電話:019-629-5544)または地元の商工会・商工会議所にご相談ください。