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岩手のふるさと納税235億円|市町村別と調達費の読み方

岩手のふるさと納税235億円|市町村別と調達費の読み方

岩手県内の自治体が令和7年度に受け入れたふるさと納税は、県と33市町村の合計で235億5,748万円、件数は132万8,135件でした。全国は前年度から4.6%増えていますが、岩手県は3.0%減っています。

この数字は寄附の話だけで終わりません。受入額の26.7%にあたる62億8,163万円は返礼品の調達費、つまり返礼品を納めた事業者への支払いです。岩手県内でものをつくって売っている事業者にとって、ふるさと納税は市場規模が公表されている販路のひとつです。この記事では、総務省が公表した一次資料から岩手の数字を取り出し、どこまで資料に書いてよいのかと、生成AIに任せてよい作業の線引きを整理します。

この記事の要点

  • 岩手県内(県+33市町村)の令和7年度のふるさと納税受入額は235億5,748万円、受入件数は132万8,135件です(総務省「令和7年度分の各団体のふるさと納税受入額」)。
  • 全国計は1兆3,314億円・5,963.0万件で前年度から586億円あまり増えました。岩手県は令和6年度の242億8,400万円から3.0%減っています(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」令和8年7月31日)。
  • 市町村別で最も多いのは花巻市の69億8,231万円、次いで宮古市32億1,351万円、奥州市20億8,521万円、一関市17億3,542万円、北上市11億907万円です。
  • 岩手県内の募集費用の合計は116億4,357万円で受入額の49.4%。うち返礼品の調達費は62億8,163万円(26.7%)で、これが県内事業者などへ支払われた分にあたります。
  • ポータルサイト運営事業者への支払は岩手県内で55億3,245万円、受入額の23.5%です。全国では受入額の97.2%がポータルサイト経由でした。
  • 岩手県民が寄附したことで差し引かれた住民税(令和8年度課税)は32億900万円・5万1,344人です。受け入れた額との間には、およそ203億円の開きがあります。
  • 生成AIは「返礼品の説明文や問い合わせ返信の下書き」に向いています。地場産品基準に合うかどうかの判断や、金額・寄附額区分の決定を任せてはいけません。

対象読者

  • 岩手県内で食品・水産・畜産・工芸・日用品などを製造または販売し、返礼品としての出荷を検討している事業者の方
  • すでに返礼品を納めていて、寄附額区分やセット内容を見直したい方
  • 市町村の担当課で、次年度の目標や事業者説明会の資料をつくる方
  • 金融機関・支援機関で、県内事業者の販路支援の材料として市場規模を押さえておきたい方

読了後にできること

  • 岩手県と県内市町村のふるさと納税の実績を、出典付きで自社の資料に書ける
  • 「全国は増えたのに岩手は減った」という事実を、正しい期間と単位で説明できる
  • 1件あたりの寄附額が市町村ごとに大きく違うことを踏まえて、商品の価格帯を考えられる
  • 受入額のうちどれだけが事業者に回っているのかを数字で示せる
  • 返礼品まわりの文章づくりで、AIに任せる範囲と自分で確認する範囲を線引きできる

岩手県全体の令和7年度の実績

総務省は毎年、全地方団体を対象にふるさと納税の現況調査を行い、決算見込をまとめて公表しています。令和8年7月31日に公表された「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」が最新で、対象は令和7年度(令和7年4月1日~令和8年3月31日)です。

岩手県内のふるさと納税受入額が令和6年度の242億8,400万円から令和7年度の235億5,748万円へ3.0%減ったことを、左右2つの箱と矢印で示した図。
図1 全国は増え、岩手は減った

受入額は235億5,748万円、件数は132万8,135件

岩手県内の内訳は、岩手県(県そのものへの寄附)が2億2,922万円・6,244件、残りが33市町村です。合計すると235億5,748万円・132万8,135件になります。総務省の都道府県別の表では、単位を百万円に丸めて「23,557百万円」と記載されています。資料に書くときは、億円単位まで自分で丸めるのか、公表されている百万円単位をそのまま使うのかを最初に決めておくと、社内で数字がずれません。

全国は増え、岩手は減った

全国計は令和6年度の1兆2,727.5億円から令和7年度は1兆3,314.3億円へ、586億円あまり増えました。件数も5,878.7万件から5,963.0万件へ増えています。

一方で岩手県は、令和6年度の242億8,400万円から235億5,748万円へ、3.0%減りました。件数は133万249件から132万8,135件で、減ったのは2,114件だけです。つまり件数はほぼ横ばいのまま、金額だけが落ちています。1件あたりの寄附額が下がったか、高額帯の寄附が減ったか、どちらかが起きたと読めます。ただし現況調査はその理由まで調べていないので、原因を断定して資料に書くことはできません。

市町村別で見る岩手の受入額

団体別のデータは、総務省が調査結果と同時に公開しているExcelに入っています。岩手県内を受入額の多い順に並べると、上位はこうなります。

岩手県内の市町村を受入額の多い順に階段状に並べ、花巻市、宮古市、奥州市、一関市、北上市の順であることを示した図。
図2 受入額の多い順に並ぶ岩手の市町村
順位 団体 受入額 受入件数
1 花巻市 69億8,231万円 447,056件
2 宮古市 32億1,351万円 252,650件
3 奥州市 20億8,521万円 67,447件
4 一関市 17億3,542万円 108,336件
5 北上市 11億907万円 46,726件
6 大船渡市 9億5,964万円 61,083件
7 陸前高田市 8億9,068万円 53,058件

上位2市で県内の4割を超える

花巻市と宮古市の合計は102億円近くになり、岩手県内の受入額の4割を超えます。県庁所在地の盛岡市は5億1,115万円・1万4,966件で、上位には入っていません。人口の大きさと受入額は連動しません。ふるさと納税の受入額は、返礼品としてそろえられる地場産品の幅と、募集にどれだけ手をかけたかで決まります。

1件あたりの寄附額は団体でまったく違う

受入額を件数で割ると、1件あたりの寄附額が出ます。岩手県内の平均は17,737円ですが、団体ごとの差が大きいのが特徴です。

団体 1件あたりの寄附額
奥州市 30,916円
北上市 23,736円
陸前高田市 16,787円
一関市 16,019円
花巻市 15,618円
宮古市 12,719円

奥州市は件数こそ6万7,447件ですが、1件あたりが3万円を超えています。反対に宮古市は25万件を超える件数を集めながら、1件あたりは12,719円です。どちらが良いという話ではなく、主力の返礼品の価格帯がそのまま出ているだけです。自社の商品をどの寄附額区分に置くかを考えるときは、まず出したい市町村の1件あたりの水準を見て、そこから外れすぎていないかを確かめるのが現実的です。

受入額の内訳と、事業者に回っているお金

現況調査では、受入額だけでなく募集に要した費用も団体ごとに報告されています。岩手県内を合計すると次のようになります。

寄附された受入額が、返礼品等の調達・送付・広報・決済・事務からなる募集費用と、自治体の財源として残る分の2つの層に分かれることを示した図。
図3 寄附された額は募集費用と自治体の財源に分かれる
区分 金額 受入額に占める割合
返礼品等の調達に係る費用 62億8,163万円 26.7%
返礼品等の送付に係る費用 16億393万円 6.8%
広報に係る費用 1億9,940万円 0.8%
決済等に係る費用 2億905万円 0.9%
事務に係る費用 33億4,385万円 14.2%
合計 116億4,357万円 49.4%

返礼品の調達費62億8,163万円が事業者への支払い

このうち事業者にとって直接関係するのは、いちばん上の調達費です。岩手県内で62億8,163万円。返礼品を納めた事業者への支払いが、県内の1年でこれだけあったということです。地方税法で、返礼品の調達費は寄附額の3割以内と決められています。岩手県内の合計は26.7%で、全国の26.5%とほぼ同じ水準でした。

寄附額1万円の返礼品なら、事業者が受け取れる上限はおよそ3,000円です。ここから原価と手間を引いて残るかどうかが、参加する・しないの分かれ目になります。ネット通販の商品ページづくりと考え方は近いので、岩手の事業者がAIでEC商品ページと多言語説明を整える方法もあわせて読むと、準備の順番がつかみやすくなります。

ポータルサイトへの支払は55億3,245万円

岩手県内の団体がポータルサイト運営事業者に支払った額は、合計55億3,245万円で、受入額の23.5%にあたります。この中には、ポータルサイトを介して返礼品事業者へ渡る調達費や、運送事業者へ渡る送料も含まれています。全国では受入額の97.2%がポータルサイト経由の受け入れでした。事業者から見ると、自社の商品がどのポータルに載っているかが、そのまま露出量になります。

募集費用の合計は49.4%

岩手県内の募集費用の合計は受入額の49.4%でした。総務省の告示で、募集に要する費用は寄附額の5割以内とされています。全国の合計は47.9%です。裏を返すと、寄附された額のうち自治体の財源として残るのは半分ほどということになります。全国では自治体財源が6,932億円、受入額の52.1%でした。この構造を知らずに「ふるさと納税で◯億円集まった」とだけ書くと、使える額を倍近く見積もることになります。

岩手は受け入れる側が大きい

ふるさと納税には、受け入れる側と、住民税が減る側の両方があります。

令和8年度課税の住民税控除額は32億900万円

岩手県民が令和7年中に行ったふるさと納税によって、令和8年度の住民税から差し引かれた額は32億900万円、控除を受けた人は5万1,344人でした。都道府県分と市町村分の合計です。

差はおよそ203億円

受入額235億5,748万円に対して、控除額は32億900万円。差はおよそ203億円で、岩手県は大きく受け入れ超過の側にあります。全国では東京都の控除額が2,350億5,700万円と突出していて、都市部から地方へお金が動く制度の形がそのまま出ています。

ただし、この差額がそのまま県内に残るわけではありません。前の章で見たとおり、受入額の半分近くは募集費用として出ていきます。資料に書くときは「受入額」「控除額」「募集費用」の3つを混ぜないでください。

県内事業者がこの数字から取れる行動

入口は市町村の事業者募集

返礼品を出す窓口は市町村です。返礼品ページづくりや問い合わせ対応といった日々の実務は岩手のふるさと納税×AI活用ガイドにまとめてあるので、ここでは数字から決める部分だけを扱います。岩手県内では、県を含む34団体すべてが返礼品を送付していると回答しています。募集の方法は団体によって違い、通年で受け付けているところもあれば、時期を区切って公募するところもあります。まずは出したい市町村の公式サイトで、返礼品提供事業者の募集ページを確認するのが最短です。

返礼品提供事業者の募集ページを確認し、地場産品基準を確かめ、1件あたりの寄附額を見て寄附額区分を決め、商品説明文をつくるという順番を示した図。
図4 返礼品を出すまでに踏む順番

地場産品基準は人が確認する

返礼品には、総務省告示で定められた地場産品の基準があります。区域内で生産されたものか、区域内で主要な部分の加工が行われたものかといった条件で、加工の程度や原材料の産地によって判断が分かれます。ここは市町村の担当課との確認が必要な部分で、自己判断で進めると差し戻しになります。

価格帯は1件あたりの水準から逆算する

前に見たとおり、1件あたりの寄附額は市町村で倍以上違います。奥州市のように3万円台の団体に1万円の商品を出すのか、宮古市のように1万円台前半の団体に合わせるのかで、セット内容も送料の組み方も変わります。県内の商況全体の動きは岩手の商店街・個人商店のAI集客でも触れています。

生成AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業

AIに向いているのは文章の量産

返礼品まわりの作業には、同じ内容を形を変えて何度も書く場面が多くあります。商品説明文、ポータルごとの字数に合わせた短縮版、写真のキャプション、発送遅れの案内文、寄附者からの問い合わせへの返信。これらは元になる事実さえ人が用意すれば、生成AIで下書きをつくれます。

商品説明文、写真のキャプション、問い合わせへの返信はAIに任せ、地場産品基準の判断、寄附額区分、事実の確定は人がやると2列に分けて示した図。
図5 下書きは任せ、事実の確定は人が持つ

人がやるのは事実の確定と判断

一方で、次の3つは人の仕事です。ひとつめは原材料や産地など、地場産品基準の判断に関わる事実の確定。ふたつめは寄附額区分と内容量の決定。みっつめは、公開前に事実と違う記述が混ざっていないかの確認です。AIは、もっともらしい産地名や賞の名前を補ってしまうことがあります。産地・等級・受賞歴・賞味期限は、必ず自社の資料から書き写してください。

プロンプトの例

あなたは食品の通販ページのライターです。
以下の事実だけを使って、ふるさと納税の返礼品ページ用の説明文を作ってください。

【事実】
・商品名:(自社の正式名称)
・内容量:(実際の数量と重量)
・産地:(市町村名まで)
・加工場所:(市町村名まで)
・発送時期:(実際の時期)
・保存方法:(実際の方法)

【条件】
・300字程度と80字程度の2パターン
・事実に書いていないことは一切足さない
・産地や賞の名前を推測で補わない
・断定できない表現は使わない

出す前の確認は3点だけに絞ると回ります。数量と産地が渡したとおりか、書いていない事実が足されていないか、発送時期の表記が実際の運用と合っているか。この3点は毎回同じなので、チェック項目として固定しておくと早く終わります。社内での生成AIの広げ方は、生成AI活用、中小企業は32.3%どまりで県内の状況とあわせて整理しています。

数字を資料に書くときの注記

公表値を社外の資料に載せるときは、次の4点を必ず添えてください。

  1. 対象年度(令和7年度=令和7年4月1日~令和8年3月31日)
  2. 決算見込の値であること
  3. 出典(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」)
  4. 単位(百万円単位の表をそのまま使うのか、円単位の団体別データを使うのか)

現況調査は毎年7月末ごろに公表されています。県の統計と合わせて確認の周期をつくっておくと、資料の更新を思い出す必要がなくなります。県内の統計の探し方は岩手県の統計データの探し方にまとめてあります。

よくある質問

Q. 岩手県のふるさと納税受入額の最新はいつの分ですか。
A. 令和7年度(令和7年4月1日~令和8年3月31日)分が最新で、令和8年7月31日に総務省が公表しています。決算見込の値です。

Q. 花巻市が1位なのはなぜですか。
A. 現況調査は受入額と件数、募集費用を集計した資料で、理由までは調べていません。公表値から言えるのは、花巻市が69億8,231万円・447,056件を受け入れ、1件あたりは15,618円だったという事実までです。

Q. 返礼品でもらえる金額は寄附額の3割ですか。
A. 返礼品の調達に係る費用は寄附額の3割以内と地方税法で定められています。岩手県内の合計は26.7%でした。実際に事業者が受け取る額は、市町村との契約や送料の負担の仕方で変わります。

Q. 自社の商品を返礼品にしたい場合、どこに申し込みますか。
A. 申し込み先は市町村です。募集の時期と方法は団体ごとに違うので、出したい市町村の公式サイトで返礼品提供事業者の募集ページを確認してください。地場産品基準に合うかどうかは、担当課との確認が必要です。

Q. 受入額と住民税控除額の差額は、そのまま県内に残るお金ですか。
A. 違います。受入額のうち49.4%は募集費用として支出されています。差額をそのまま「県内に残った額」として書くと過大になります。

Q. 数字をAIに読ませて資料をつくってもよいですか。
A. 文章の組み立てを任せるのは問題ありません。ただしExcelやPDFから数字を拾わせたまま確認せずに出すと、年度や単位の取り違えが起きます。数字は公表資料から人が書き写してください。

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参考・出典