結論:岩手県の「物価高騰対策賃上げ支援金」(令和8年度)は、2025年10月1日から2026年9月30日までに従業員の時給を60円以上引き上げた県内の中小企業・個人事業主に、従業員1人当たり6万円(上限50人分・1事業者最大400万円)を支給する制度です。受付終了は2026年11月13日(金)ですが、県全体の支給上限25億4,000万円に達した時点で終了し、2026年8月10日時点の申請額はすでに約20億円(上限の約79%)に達しています。2025年12月1日の最低賃金改定(1,031円)に合わせて賃上げを済ませている事業者は、いま申請しなければ枠がなくなる可能性があります。この記事では、県公式の募集要項とFAQをもとに、支給要件・必要書類・「時給60円以上」の計算方法をまとめたうえで、生成AIを使って対象者の洗い出し、賃金台帳からの時給換算チェック、書類不備の防止、そして支援金は一時金である一方で賃上げは1年間続けなければならないことを踏まえた資金計画づくりを短時間で進める手順を解説します。
この記事の要点
- 支給額は要件を満たす従業員1人当たり6万円、上限50人分(最大400万円)。2025年10月1日〜12月1日に時給971円未満から1,031円以上へ引き上げた従業員は2万円加算
- 対象は県内に事業所を持つ中小企業等(公益法人・協同組合・従業員を1人以上雇う個人事業主を含む)。賃上げ対象時期は2025年10月1日〜2026年9月30日で、賃上げ月の前月比で時給60円以上、引き上げ後の賃金を1か月以上支給済み、かつ1年間継続が要件。非正規は週所定労働時間20時間以上
- 受付は2026年2月13日開始、県全体25億4,000万円の上限到達で終了(上限未達でも11月13日で終了)。8月10日時点で約20億円・約79%に達しており、申請は1事業者1回限り
- 必要書類は申請書兼請求書(様式1または2)、支給対象従業員一覧(様式3)、労働条件通知書または雇用契約書の写し、賃金台帳の写し(賃上げ月と前月)、振込先が分かる書類の5点。オンライン申請なら振込まで約4週間
- 生成AIは、対象者の洗い出し、除外手当を分けた時給換算表の下書き、書類の不備チェックリスト、従業員への説明文、1年間の賃上げ原資の試算に使える。ただし個人名や個人の給与額はそのまま入力せず、最終確認は県の時給計算シートと事務局で行う
対象読者
- 2025年12月の最低賃金改定や2026年春の賃金改定で、すでに従業員の時給を引き上げた岩手県内の中小企業・小規模事業者・個人事業主
- 2026年9月30日までに賃上げを予定しており、県の支援金を原資の一部に充てたい経営者・総務担当者
- 賃金台帳や労働条件通知書の整備が追いついておらず、申請書類の準備に不安がある事業者
- 顧問社労士・税理士に相談する前に、自社で対象者と支給見込額を整理しておきたい人
読了後にできること
- 自社が支給対象か、どの従業員が何人分・いくらの対象になるかを自分で見積もれる
- 「時給60円以上」の計算で除外される手当・割増賃金を理解し、賃金台帳から換算表を作れる
- 必要書類5点の不備パターンを事前につぶし、オンライン申請の入力に進める
- 支援金(一時金)と賃上げ(恒久的な人件費増)の差額を試算し、1年間継続の資金計画を立てられる
1. 制度の全体像|1人6万円・上限50人・予算に達し次第終了
物価高騰対策賃上げ支援金は、「最低賃金の大幅な上昇が続く中、中小企業等が継続的に賃上げできる環境を整え、必要な人材を確保していく」ことを目的に岩手県が交付する支援金です。財源の一部に国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を使っており、同名の支援金としては2023年4月〜2024年9月の賃上げ分、2024年10月〜2025年9月の賃上げ分(2025年11月14日受付終了)に続く実施です。過去の回の特設ページでは、支給上限(当時は人数ベースで3万人分)に近づいた段階で「上限に達した場合は、それまでに申請した事業者も審査無効(対象外)となる」旨の案内が出されており、申請済みでも枠切れなら受け取れない仕組みであることが分かります。
2026年8月18日時点で申請特設ページと募集要項(令和8年2月3日制定)に掲載されている内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 要件を満たす従業員1人当たり6万円。1事業者当たり上限50人分(最大400万円)。2025年10月1日〜12月1日に時給971円未満の従業員を1,031円以上に引き上げた場合は1人当たり2万円加算 |
| 支給対象者 | 県内に事業所を有する中小企業者(中小企業基本法の範囲)。公益法人等・協同組合等・普通法人のほか、県内税務署に開業届を出し従業員を1人以上雇う個人事業主も対象。県外の事業所は対象外。県税の未納、過去5年間の重大な法令違反、不正受給歴、再生・更生手続中などは対象外 |
| 賃上げの対象時期 | 2025年10月1日〜2026年9月30日(賃金の支給が2026年10月31日までのものを含む) |
| 賃上げ対象従業員 | 県内事業所に勤務する正規・非正規雇用労働者。非正規は週所定労働時間20時間以上。役員、日雇い、2か月以内の有期契約、4か月以内の季節労働者は「常時使用する従業員」に含まれない |
| 賃上げの要件 | (ア)賃上げ月の前月と比べて1時間当たり60円以上の引き上げ、(イ)引き上げ後の賃金を最低1か月以上支給した実績、(ウ)引き上げ後の賃金水準を1年間継続。段階的な引き上げも合計60円以上で対象(各賃上げ月と前月の賃金台帳が必要) |
| その他の要件 | 申請時点で事業所内の全労働者の時給が最低賃金を下回っていないこと(賃上げ月・前月とも最低賃金以上であることを確認) |
| 受付期間 | 2026年2月13日(金)〜県全体の支給上限25億4,000万円に達するまで。上限に達しない場合でも2026年11月13日(金)で受付終了。申請は1事業者1回限り |
| 申請状況 | 2026年8月10日現在の申請額 約20億円(上限の約79%)。上限の90%に達するまで5,000万円ごとに特設ページで更新 |
| 申請方法 | 申請特設ページからのオンライン申請(振込まで約4週間の予定)、または事務局への郵送(約5週間の予定。WEB受付終了日が必着日で、消印有効ではない) |
| 問い合わせ | 物価高騰対策賃上げ支援事業事務局(盛岡市神明町5-5 岩手県火災共済会館3階)電話 019-601-7165(平日9時〜17時) |
数字の重みを確認しておきます。上限の25億4,000万円を1人6万円で単純に割ると約4万2,000人分、8月10日時点の残り約5億4,000万円は約9,000人分に相当します(いずれも加算分を含まない概算)。8月10日から11月13日まで3か月あるのに対し、2月13日の受付開始から約半年で8割近くが埋まったペースを考えると、「11月13日まで受け付けている」と考えて9月以降に準備を始めるのは危険です。
2. 賃上げ補助金2.0・業務改善助成金との違い|「賃上げ済みへの一時金」か「投資への補助」か
岩手県内では2026年8月時点で、名前の似た「賃上げ」関連の制度が並行しています。混同しやすいので役割を整理します。
| 制度 | 実施主体 | 何に対して出るか | 金額の考え方 | 直近の期限 |
|---|---|---|---|---|
| 物価高騰対策賃上げ支援金(本記事) | 岩手県 | すでに行った時給60円以上の賃上げ(1年継続が条件) | 従業員1人6万円の定額、上限50人分 | 上限25億4,000万円到達まで(遅くとも2026年11月13日) |
| 賃上げ補助金2.0(中小企業者等賃上げ環境整備緊急支援事業費補助金) | 岩手県 | 生産性向上のための設備投資・デジタル化などの経費 | 経費の2分の1〜3分の2、上限100万円〜200万円 | 第2回公募 2026年9月30日(水)17時 |
| 業務改善助成金 | 国(厚生労働省) | 事業場内最低賃金の引き上げと、あわせて行う設備投資等 | 引き上げ額・人数に応じた区分ごとの助成上限 | 厚生労働省・岩手労働局の案内で確認 |
支援金は「賃上げの結果」に対して定額で支給される点が、投資経費に補助が出る他の2つと決定的に違います。設備投資の予定がなくても、賃上げをしていれば申請できます。一方で、募集要項には「賃上げに対する支援を含む支援金・補助金等を受けている場合には、本支援金との重複が不可となる場合がある」「国の交付金との重複支給と判断される場合には支給対象外」と明記されており、FAQでは賃上げ促進税制の利用のみでは対象外にならないこと、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の処遇改善分による賃上げは「すみ分けが明確に区別できる場合のみ」対象になることが示されています。他の制度と組み合わせる場合は、申請前に事務局に確認してください。賃上げ補助金2.0の詳細は岩手の賃上げ補助金2.0×AI|第2回公募9月30日締切と申請準備【2026】、業務改善助成金は岩手の最低賃金引き上げ×AI|業務改善助成金の活用法【2026】で解説しています。
3. ステップ1:自社が対象か、誰が何人分かを洗い出す
最初にやることは、従業員一人ひとりについて「対象時期に時給換算で60円以上上がったか」「引き上げ後の賃金を1か月以上支給したか」「非正規なら週所定労働時間20時間以上か」を確認し、対象人数と支給見込額を出すことです。従業員が10人以下なら手作業で十分ですが、パート・アルバイトが多い小売・飲食・介護・宿泊などでは、勤務形態がばらばらで抜け漏れが起きやすい作業です。
ここで生成AIに任せると効率が上がるのは、要件を「自社の言葉に翻訳したチェックリスト」に変える作業です。募集要項の該当箇所を貼り付け、自社の状況に合わせた確認項目を作らせます。
【プロンプト例】
以下は岩手県「物価高騰対策賃上げ支援金」の支給要件の抜粋です。当社は岩手県内の【業種】で、正社員【人数】名、パート・アルバイト【人数】名です。この要件をもとに、従業員1人ずつについて対象かどうかを判定するためのチェックリストを作ってください。項目は「はい/いいえ」で答えられる形にし、判断に迷いやすい点(週所定労働時間、賃上げ月と前月の比較、段階的な引き上げ、休職者の扱い)には注意書きを添えてください。要件の原文にない条件は追加しないでください。
要件:【募集要項「2 支援金概要」の(1)(2)(3)を貼り付け】
チェックリストができたら、従業員名は「社員A」「パートB」のように記号化した一覧を作り、判定結果と対象人数を集計します。ここで作った一覧は、そのまま様式3「支給対象従業員一覧」に転記する下書きになります。なお、FAQでは「従業員全員ではなく一部従業員のみの引き上げでも1名分から申請可能」「役員は対象外(役員名簿に載っていても雇用契約を結んでいれば対象)」「管理監督者は雇用契約があれば対象」「外国人労働者も1年間雇用を維持し賃金を下げないなら対象」「単に正社員化で賃金が上がっただけでは対象外」と示されています。判定に迷う従業員は、AIの回答で決めず、事務局に電話で確認したうえで一覧に印を付けておきます。
4. ステップ2:「時給60円以上」の計算を間違えない|除外される手当と賃金台帳
前回の支援金では「申請者が考える計算方法と審査上の計算方法が異なり、結果的に支給対象外となる事例」があったと募集要項に明記されています。時給制の従業員は時給額をそのまま比較しますが、月給制・日給月給制の従業員は「基本給と恒常的に支払われる諸手当の合計を、月間所定内労働時間数で割った額」で比較します。このとき次の賃金は計算から除外されます。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外割増賃金・固定残業代・みなし残業代、休日割増賃金、深夜割増賃金の割増部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 1年の中で支給されない月がある手当(暖房手当など)、支給要件の満たし方で金額が変動しうる手当(住宅手当など)
- 役職手当・営業手当など、事業所としての賃上げと認められないもの(居住実態の変更に伴う住宅手当の変更、昇進に伴う役職手当の追加も除外)
ただし住宅手当や役職手当でも「恒常的に支払われており、かつ事業所全体で手当額の改定が行われている場合」は賃上げとみなして計算に含めます。また、週休2日制から週休3日制への移行など労働条件の変更で時給換算額が上がったケースは、事業所としての賃上げと認められず対象外になる場合があります。
この換算作業でAIを使うなら、賃金台帳の「項目名」と「金額」だけを個人が特定できない形で渡し、除外項目を分けた換算表の下書きを作らせるのが現実的です。個人名・生年月日・住所などの個人情報は入力しないでください。
【プロンプト例】
当社の月給制の従業員(社員A)について、賃上げ前月と賃上げ月の賃金台帳の支給項目と金額を貼り付けます。岩手県の賃上げ支援金では、①賞与などの臨時の賃金、②時間外・休日・深夜の割増部分と固定残業代、③精皆勤手当・通勤手当・家族手当、④支給されない月がある手当や金額が変動しうる手当、⑤役職手当・営業手当を除外して「基本給+恒常的な諸手当」を月間所定内労働時間数で割って時給換算します。各項目を「含める」「除外」「要確認」に分類し、理由を1行で書いたうえで、賃上げ前後の時給換算額と差額を計算してください。計算過程を表で示し、判断できない項目は【要確認】としてください。
月間所定内労働時間:【時間数】
賃上げ前月:【項目名と金額】
賃上げ月:【項目名と金額】
AIが出した換算表は下書きです。最終的な数字は、特設ページで配布されている「時給計算シート(Excel)」と「賃金の計算方法について(PDF)」に沿って計算し直し、差額が60円ちょうど前後で微妙な従業員がいれば、申請前に事務局へ計算方法を確認します。判断を誤ると、その従業員だけでなく審査全体の手戻りになります。
5. ステップ3:必要書類5点をそろえる|不備で止まりやすいポイント
募集要項に定められた申請書類は次の5点です。
- 物価高騰対策賃上げ支援金申請書兼請求書(様式1または様式2)
- 支給対象従業員一覧(様式3)
- 支給対象従業員に係る労働条件通知書の写し、または雇用契約書の写し(賃金引き上げ月に適用となるもの)
- 賃金台帳の写し(賃上げ月および賃上げ月の前月。段階的に引き上げた場合は各賃上げ月と前月)
- 振込先口座が分かる書類(預金通帳の写し等。当座の場合は小切手帳または取引照合表の写し、ネットバンキングは口座情報が分かる画面のスクリーンショット)
FAQから読み取れる、不備で止まりやすいポイントは次のとおりです。
- 労働条件通知書に週所定労働時間の記載がない:非正規雇用労働者は週20時間以上の証跡が必要です。記載がなくても雇用保険加入証明書で20時間以上が確認できれば対象。または週所定労働時間を明記した契約に結び直し・更新すれば対象になります
- 賃金台帳の代わりに給与辞令書を出す:給与辞令書(給与変更の通知)は賃金台帳と認められません。労働条件通知書で賃上げ前後額が分かる場合でも賃金台帳の添付は必要です
- 雇用契約書の押印漏れ:雇用契約書・労働条件通知書兼雇用契約書は会社側の押印と従業員側の押印またはサインが必要です。労働条件通知書と賃金台帳は審査上の押印は不要です
- 申請事業者名と契約書の事業者名が違う:社名変更や本店一括申請で支店名の契約書がある場合、履歴事項全部証明書(有効期限3か月以内)などの追加提出が必要になることがあります
- 複数店舗の申請単位を間違える:法人は法人番号単位でまとめて申請(店舗ごとに法人番号を取得していれば店舗ごと)、個人事業主は複数店舗を1件にまとめて申請します。申請は1事業者1回限りなので、後から店舗を追加できません
書類の点検にもAIが使えます。上のポイントを渡し、自社の書類の状態を「そろっている/要修正/要追加」に仕分けるチェック表を作らせてから、担当者が1件ずつ実物を確認します。労働条件通知書を作り直す場合、通知書は労働基準法で明示事項が決まっている法定文書です。AIに雛形の下書きを作らせるのは構いませんが、内容は社労士または岩手労働局の様式で確認してから交付してください。就業規則や賃金規程の改定文、従業員への賃金改定の説明文の下書きも同様に、AIは「たたき台」までにとどめます。
6. ステップ4:申請の段取りとスケジュール|これから賃上げする事業者は逆算する
申請は特設ページからのオンライン申請が優先案内されており、アカウント登録、必要書類の準備、申請手順、時給計算シートの4本の説明動画が公開されています。郵送も可能ですが、WEB受付が終了した日が必着日になるため、締切間際は郵送を避けたほうが安全です。
すでに賃上げを終えている事業者と、これから賃上げする事業者では段取りが変わります。
- 2025年10月〜2026年7月に賃上げ済み:引き上げ後の賃金を1か月以上支給しているはずなので、いますぐ申請できます。8月中に書類をそろえ、オンライン申請まで進めるのが現実的な目標です
- 2026年8月〜9月に賃上げ予定:賃上げ月の賃金を1か月分支給してから申請します。たとえば9月1日に引き上げ、9月分の賃金を9月末または10月に支給した後に申請する形になり、10月中の申請になります。その時点で上限に達していれば申請できないため、賃上げを前倒しできるなら8月支給分から実施するほうが安全です。対象時期は9月30日までの賃上げ(賃金支給は10月31日まで)です
- 段階的に引き上げた・引き上げる:対象時期内で複数回に分けて合計60円以上になれば対象ですが、1回目が2025年9月以前の場合はその分は数えられません。各賃上げ月と前月の賃金台帳をそろえます
申請受付から振込までは、オンラインで約4週間、郵送で約5週間が目安と案内されています(不備や申請集中時はさらにかかる)。支給決定通知書は受給後5年間保存し、賃金台帳等も労働基準法第109条に基づき5年間保存が必要です。虚偽記載や支給要件を満たさない事実が後から確認された場合は返還請求の対象になります。
7. 支援金は一時金、賃上げは1年続く|AIで原資の試算をしておく
見落としがちなのは、支援金が1人6万円の「一度きり」であるのに対し、引き上げた賃金は1年間(実際にはそれ以降も)払い続ける必要があることです。時給60円の引き上げがどれだけの人件費増になるかを、単純化して計算してみます。
| 勤務形態(例) | 年間所定内労働時間(概算) | 時給60円引き上げの年間人件費増 | 支援金6万円との差 |
|---|---|---|---|
| フルタイム(週40時間×52週) | 約2,080時間 | 約124,800円 | 支援金は約半年分。残り約64,800円は自社負担 |
| パート(週20時間×52週) | 約1,040時間 | 約62,400円 | 支援金がほぼ1年分に相当 |
※社会保険料の事業主負担分や、60円を超える引き上げ分は含めていません。週所定労働時間20時間以上のパートは今後の社会保険の適用拡大の影響も受けるため、岩手の社会保険適用拡大×AI|106万円の壁撤廃対応ガイド【2026】もあわせて確認してください。
この試算を自社の人数・勤務形態で行い、2年目以降の原資をどこから生むか(価格転嫁、省力化投資、業務の見直し)まで整理しておくと、支援金の申請が「賃上げの資金計画の一部」として位置づけられます。生成AIには、従業員区分ごとの人数と平均所定労働時間を渡して、年間の人件費増と支援金受給額の差、そして必要な粗利の増加額を計算させるのが手早い方法です。
【プロンプト例】
当社は岩手県内の【業種】で、時給を60円引き上げた従業員が、フルタイム【人数】名(週40時間)、パート【人数】名(週平均【時間】時間)です。①年間の人件費増加額(所定内労働時間×60円×人数、社会保険料は別途「概算で人件費の約15%」と仮定して併記)、②岩手県の賃上げ支援金6万円×対象人数の受給見込額、③1年目と2年目の自社負担額、④その負担を粗利で賄うために必要な月間の売上増加額(粗利率【%】と仮定)を、計算過程つきで表にしてください。数字は仮定を明記し、断定しないでください。
原資づくりの具体策は、設備投資なら県の賃上げ補助金2.0、国の業務改善助成金、業務の見直しなら岩手の中小企業がAIで経理・総務・社内文書を軽くする方法や岩手の人手不足をAIで補う完全ガイドで扱っています。県内の補助金の全体像は岩手の補助金でAI・DX導入を実現する完全ガイドを参照してください。
8. 業種別の注意点|介護・医療、シフト制の小売・飲食、外国人材
- 介護・障害福祉・医療:処遇改善加算や報酬改定による賃上げは、支援金の対象となる賃上げと「すみ分けが明確に区別できる場合のみ」対象です。加算分と自社原資分を賃金台帳や賃金規程で区別できるようにし、併給の可否は事務局に事前確認します。介護記録やシフトの効率化は岩手の特養・老健・グループホームがAIで介護記録・シフト・見守りを効率化する実践ガイドで扱っています
- シフト制の小売・飲食・宿泊:繁忙期と閑散期で時給が違う場合は、雇用条件通知書に両方の時給が記載されていれば、それぞれ60円以上の引き上げで対象です。記載がなければ追加書類が必要になります。パートの週所定労働時間が契約書に明記されているかを先に確認してください
- 技能実習生・特定技能などの外国人労働者:就労期間を含め今後1年間、賃金を下げずに雇用を維持できる場合は対象です。2027年に始まる育成就労制度への移行準備と合わせて賃金設計を見直す事業者は岩手の技能実習受入企業×AI|育成就労制度への移行準備【2026】も参考になります
- 個人事業主:県内税務署への開業届が要件です。専従者の取扱いは2026年6月18日に変更されており(FAQ「8.支給対象従業員について」No.15)、2月13日以降に専従者を除いて申請した個人事業主は追加申請を受け付けるとされています。該当する場合は事務局へ連絡してください
- 士業に頼む場合:申請そのものは事業者が行いますが、賃金台帳の整備や労働条件通知書の見直しは社労士の領域です。岩手の士業×AI活用ガイド2026で紹介しているように、AIで下ごしらえした資料を持ち込むと相談時間を短くできます
やりがちな失敗パターン
- 「11月13日まで」と思って後回しにする:上限25億4,000万円に達した時点で終了し、8月10日時点で約79%です。過去の回では上限到達後は申請済みでも審査無効になる旨が案内されていました
- 手当込みの総支給額で60円以上と判断する:割増賃金、通勤手当、家族手当、賞与などは除外して時給換算します。前回はこの計算違いで対象外になった事例が募集要項で注意喚起されています
- 賃上げ直後に申請する:引き上げ後の賃金を最低1か月分支給した実績が必要です。賃上げ月と前月の賃金台帳がそろってから申請します
- 店舗ごと・時期ごとに分けて申請しようとする:申請は1事業者1回限りで、法人番号単位でまとめます。後から追加できないため、対象者の洗い出しを済ませてから申請します
- 受給後に賃金を下げる、事業主都合で休業させる:引き上げ後の賃金水準は1年間継続が条件です。事業活動縮小による休業で雇用調整助成金を使うと支給対象外・返還の対象になりえます。産休・育休やケガなどやむを得ない休職は返還不要とされています
- AIに個人情報や賃金台帳をそのまま入力する:氏名・住所・個人別の給与額は入力せず記号化します。社内のAI利用ルールはAI研修前に決める利用ルール完全ガイドで整理しています
9. まとめ|まず今日やること
- 2025年10月以降に時給60円以上の賃上げをした従業員がいるかを確認し、いれば申請特設ページの申請状況(残り枠)を見る
- 従業員名を記号化した対象者一覧を作り、AIで要件チェックリストと時給換算表の下書きを作る。最終計算は県の時給計算シートで行う
- 労働条件通知書(週所定労働時間の記載)、賃上げ月と前月の賃金台帳、通帳の写しをそろえ、不備パターンに当たっていないか点検する
- 処遇改善加算や他の賃上げ関連補助金を受けている場合は、事務局(019-601-7165)に併給の可否を確認する
- これから賃上げする場合は、前倒しできないかを検討し、1か月分の賃金支給後すぐ申請できるよう書類を先に準備する
- 支援金と1年間の賃上げ原資の差額を試算し、賃上げ補助金2.0や業務の見直しと組み合わせた資金計画にする
Uravationでは、岩手県内の中小企業向けに、賃金台帳や社内文書のAI活用、補助金・支援金の申請準備を効率化する生成AI研修と伴走支援を行っています。自社の状況に合わせた進め方について、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 支援金はいつまで申請できますか?
2026年2月13日から受付中で、県全体の支給上限25億4,000万円に達した時点で終了します。上限に達しない場合でも2026年11月13日(金)で受付終了です。2026年8月10日現在の申請額は約20億円(上限の約79%)と公表されています。
Q2. 1人いくらもらえますか?
要件を満たす従業員1人当たり6万円、1事業者当たり上限50人分(最大400万円)です。2025年10月1日から12月1日までの間に時給971円未満の従業員を1,031円以上に引き上げた場合は、その従業員について2万円が加算されます。
Q3. パート・アルバイトも対象ですか?
県内事業所に勤務し、週所定労働時間が20時間以上の非正規雇用労働者は対象です。労働条件通知書または雇用契約書で20時間以上が確認できることが必要で、記載がない場合は雇用保険加入証明書や契約の結び直しで対応します。役員は対象外です。
Q4. 月給の従業員は「60円以上」をどう計算しますか?
基本給と恒常的に支払われる諸手当の合計を、月間所定内労働時間数で割って時給換算し、賃上げ月と前月を比べます。賞与、割増賃金、固定残業代、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、支給されない月がある手当などは除外します。特設ページの「賃金の計算方法について」と時給計算シートで確認してください。
Q5. 業務改善助成金や賃上げ補助金2.0と一緒に受けられますか?
賃上げに対する支援を含む支援金・補助金を受けている場合は重複が不可となる場合があると募集要項に書かれています。賃上げ促進税制の利用のみでは対象外にはなりません。処遇改善加算による賃上げは、すみ分けが明確に区別できる場合のみ対象です。個別の可否は申請前に事務局に確認してください。
Q6. 前回(令和6年度)の支援金を受け取っていても申請できますか?
今回は2025年10月1日〜2026年9月30日の賃上げが対象で、前回とは対象時期が異なるため、今回の対象時期に新たに60円以上の賃上げをしていれば申請できます。ただし、前回と同じ給与算定期間で支給を受けていた場合は重複となり対象外です。
Q7. この記事の内容はいつ時点の情報ですか?
本記事は2026年8月18日時点で岩手県の申請特設ページに掲載されている募集要項(令和8年2月3日制定)、FAQ、「賃金の計算方法について」、および同ページの申請状況(2026年8月10日現在)に基づいています。申請状況や取扱いは更新されるため、申請前に必ず特設ページで最新情報を確認してください。
参考・出典(一次情報)
- 岩手県「物価高騰対策賃上げ支援金のお知らせ」申請特設ページ(申請状況 2026年8月10日現在)
- 岩手県「物価高騰対策賃上げ支援金 募集要項」(令和8年2月3日制定・PDF)
- 岩手県「賃金の計算方法について」(PDF)
- 同FAQ「1. 他の支援金・補助金」(PDF)/「5. 必要な添付資料」(PDF)/「8. 支給対象従業員」(PDF)/「9. 段階的な引上げ」(PDF)
- 岩手県「岩手県の最低賃金」(時間額1,031円・2025年12月1日発効)
本記事の制度内容は2026年8月18日時点の岩手県申請特設ページ・募集要項・FAQに基づいています。支給要件・申請状況・受付終了時期は変更される場合があるため、申請前に必ず特設ページで最新情報を確認し、不明点は物価高騰対策賃上げ支援事業事務局(電話:019-601-7165、平日9時〜17時)または顧問社労士にご相談ください。