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岩手の有効求人倍率1.16倍|就業地別と正社員の差

岩手の有効求人倍率1.16倍|就業地別と正社員の差

岩手県の有効求人倍率は、令和8年7月分で1.16倍でした。前月の1.12倍から0.04ポイント上がり、3か月連続の上昇です。

ただし、同じ7月分の資料のなかに、1.16倍とは違う数字がいくつも載っています。就業地別で数えると1.25倍、正社員だけで数えると0.95倍、ハローワーク北上の管内なら1.94倍で、久慈と大船渡は0.79倍です。どれも間違いではなく、数え方が違うだけです。

この記事では、岩手労働局が公表している一次資料に沿って、7月分の数字をどう読むのか、自社の採用計画に落とすときにどの数字を選ぶのか、そして生成AIに任せてよい作業と任せてはいけない作業を整理します。

岩手県の有効求人倍率が1.12倍から1.16倍へ3か月連続で上がり、その動きが有効求人数と有効求職者数のどちらによるものかを示した図。
図1 倍率が上がったのは求人側が動いたから

この記事の要点

  • 岩手県の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は令和8年7月分で1.16倍。前月の1.12倍から0.04ポイント上がり、3か月連続の上昇です。公表は令和8年8月28日でした。
  • 上がった理由は求人側にあります。有効求人数が前月比4.0%増えたのに対し、有効求職者数は0.1%の増加にとどまりました。
  • 全国の有効求人倍率は1.18倍、東北平均も1.18倍。岩手は0.02ポイント下回り、都道府県のなかでは27位です。
  • 同じ7月分でも、就業地別なら1.25倍、正社員だけなら0.95倍。自社の採用で見るべき数字はどれなのかを先に決めておく必要があります。
  • 生成AIには数字を答えさせず、公表資料から人が書き写した数字を渡して、文章にする作業だけを任せます。

岩手の7月の有効求人倍率は1.16倍

まず、いちばんよく引用される数字から確認します。

3か月連続で上がっている

岩手労働局が令和8年8月28日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」によると、岩手県の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.16倍です。前月は1.12倍でしたから、0.04ポイントの上昇で、3か月連続で前月を上回りました。

同じ資料で、岩手労働局は県内の雇用情勢を「弱さに下げ止まりがみられる」と表現しています。「回復している」でも「悪化している」でもなく、下げ止まりという言い方です。社内資料に「雇用情勢は回復」と書くと、公表資料の判断より一段強い表現になります。

上がった理由は求人側にある

倍率は求人数を求職者数で割った値なので、上がり方には二通りあります。求人が増えたのか、求職者が減ったのかです。

7月分では、有効求人数が24,959人で前月比4.0%(966人)の増加、有効求職者数が21,435人で前月比0.1%(14人)の増加でした。求職者はほとんど動かず、求人だけが増えたことで倍率が上がっています。

一方で、新規求人倍率は1.86倍と、前月の1.91倍から0.05ポイント下がりました。3か月ぶりの低下です。全国の新規求人倍率は2.10倍ですから、新しく出てくる求人の勢いという点では、岩手は全国より弱い状態が続いています。

「有効」と「新規」で向きが逆になることは珍しくありません。有効求人数は、当月の新規求人数に前月から繰り越された求人数を加えた数だからです。ハローワークで扱う求人は原則として申込日の翌々月末まで有効なので、有効のほうが動きが遅く出ます。

全国・東北のなかでの位置

7月分の全国の有効求人倍率は1.18倍で、前月と同水準でした。東北平均は1.18倍で、前月の1.17倍から0.01ポイント上がっています。岩手の1.16倍は、全国と東北平均のどちらも0.02ポイント下回る位置です。

東北6県で並べると、青森1.06倍、岩手1.16倍、宮城1.12倍、秋田1.17倍、山形1.39倍、福島1.24倍。都道府県別の順位では岩手は27位でした。

ここで注意したいのは、順位の上下だけで「岩手は採用しやすい/しにくい」と言い切らないことです。倍率は求人と求職の比であって、賃金水準や職種の中身は表していません。

受理地別と就業地別で0.09ポイント違う

同じ7月分の資料には、1.16倍とは別に1.25倍という数字が載っています。これが読み違えのいちばん多い箇所です。

受理地別は求人を受理したハローワークの所在地で、就業地別は求人票に記載された就業場所で集計するという違いを2列に並べた図。
図2 同じ求人でも、どこで数えるかで集計が変わる

二つの数え方の違い

受理地別は、求人を受理したハローワークの所在地で集計した数です。岩手県内で受理した求人の集計なので、就業場所が他県の求人も含まれます。

就業地別は、求人票に記載された就業場所で集計した数です。実際に岩手県内で働く求人の集計で、他県で受理された求人も含まれます。

7月分の局計では、受理地別の有効求人数が24,959人、就業地別が26,873人。就業地別のほうが1,914人(7.7%)多く、倍率は受理地別1.16倍に対して就業地別1.25倍と、0.09ポイント高くなります。

盛岡と水沢で向きが逆になる

管内ごとに見ると、この差の出方が逆転します。7月分の所別の数字は次のとおりです。

  • 盛岡:受理地別1.05倍、就業地別0.98倍
  • 水沢:受理地別1.38倍、就業地別1.83倍
  • 釜石:受理地別0.91倍、就業地別1.23倍
  • 一関:受理地別1.11倍、就業地別1.40倍
  • 北上:受理地別1.94倍、就業地別2.09倍

盛岡だけ就業地別のほうが低くなっています。盛岡のハローワークで受理された求人のなかに、就業場所が盛岡管内ではない求人が一定数含まれているためです。逆に水沢や釜石は、他の管内で受理された求人の就業場所になっている分だけ、就業地別が高く出ます。

自社の採用にどちらを使うか

自社が「この地域で働く人を採りたい」という話をしているなら、見るべきは就業地別です。県全体の求人環境を語るとき、あるいは他県の資料と並べるときは、公表の中心である受理地別が使われます。

資料に書くときは、数字のうしろに必ず「受理地別」か「就業地別」を添えてください。この一語がないと、読んだ人が別の数字と比べて話が食い違います。

正社員だけで見ると0.95倍

倍率が1倍を超えていると「求職者より求人のほうが多い」と読めますが、雇用形態を分けると景色が変わります。

岩手県の有効求人倍率は全体で1.16倍だが、正社員だけで見ると0.95倍にとどまることを2段に分けて示した図。
図3 全体の倍率と正社員の倍率は別に見る

全体は1.16倍、正社員は0.95倍

7月分の岩手県の正社員有効求人倍率(受理地別・原数値)は0.95倍でした。前年同月と比べると0.02ポイント上がっていますが、1倍には届いていません。全体の1.16倍とは0.2ポイント以上の開きがあります。

全国の正社員有効求人倍率は同じ7月分で1.00倍と公表されています。岩手はそれを下回る水準です。

「人が来ない」と「正社員が来ない」は別の話

正社員有効求人倍率は、正社員の有効求人数を常用フルタイムの有効求職者数で割った値です。この値が1倍を下回るということは、正社員の職を探している人の数に対して、正社員求人のほうが少ないという状態を示します。

つまり、県全体では求人が余っているのに、正社員の枠に限ると求職者のほうが多い。自社が正社員を募集していて応募が来ないとき、原因は市場の枠の数ではなく、条件や見せ方の側にある可能性が高いということです。

新卒の入口はまた別の統計になります。高校新卒の求人・求職状況は一般職業紹介状況とは別に集計されるので、高卒採用の見通しは岩手の高卒採用×AI活用ガイドの側で確認してください。

沿岸と内陸で数字が分かれる

県全体の数字だけを見ていると、自社の実感と合わないことがあります。

岩手県内の有効求人倍率が久慈0.79倍、沿岸計0.87倍、内陸計1.21倍、北上1.94倍と大きく開いていることを四段の階段で示した図。
図4 県内でも管内によって倍率の幅が大きい

内陸1.21倍、沿岸0.87倍

7月分の原数値で見ると、県計は1.14倍、内陸計は1.21倍、沿岸計は0.87倍です。内陸と沿岸で0.34ポイントの差があります。

管内別(受理地別・原数値)では、北上1.94倍、花巻1.45倍、水沢1.38倍、一関1.11倍、盛岡1.05倍、二戸0.99倍、宮古0.94倍、釜石0.91倍、大船渡0.79倍、久慈0.79倍。もっとも高い北上と、もっとも低い久慈・大船渡では、2倍以上の開きがあります。

前年からの動きも一様ではない

前年同月との差を見ると、北上は0.53ポイント、水沢は0.25ポイント、花巻は0.11ポイント上がっています。一方で盛岡は0.08ポイント、一関は0.09ポイント、大船渡は0.06ポイント下がりました。

県全体が「下げ止まり」でも、自社の管内が上がっているのか下がっているのかは、この表を見ないと分かりません。採用の難しさを社内で説明するとき、県計だけを引用すると、現場の感覚とずれた結論になります。

業種でも動きが違う

7月の新規求人数を産業別(受理地別・原数値)に見ると、製造業が1,353人で前年同月から29.5%の増加、情報通信業が161人で37.6%の増加、建設業が848人で6.3%の増加でした。反対に農、林、漁業は154人で13.5%の減少です。

自社が採りたい職種の求人が増えている業種なら、同じ人材を他社と取り合う状態にあります。倍率の全体値より、この産業別の動きのほうが実務には効きます。

数字を採用計画に落とす手順

ここまでの数字を、自社の判断に戻す順番を決めておきます。

商圏の所を決め、受理地別と就業地別を見て、求人数と求職者数に分け、正社員の倍率を見たうえで採用計画に書くという手順を並べた図。
図5 統計を自社の採用計画に戻すまでの順番

5つの段階に分ける

  1. 商圏の所を決める:本社の所在地ではなく、実際に人を採って働いてもらう場所の管内を一つ決めます。
  2. 受理地別と就業地別を見る:その管内の二つの倍率を並べます。差が大きい管内は、求人の出どころと就業場所がずれています。
  3. 求人数と求職者数に分ける:倍率だけを見ず、分子と分母のどちらが動いたのかを確認します。求職者が減って上がった倍率と、求人が増えて上がった倍率では、打ち手が違います。
  4. 正社員の倍率を見る:正社員で募集するなら、全体の倍率ではなくこちらを基準にします。
  5. 採用計画に書く:採用予定人数、募集の時期、条件の見直し幅を、ここまでの数字と並べて1枚にまとめます。

資料に書くときの一行

数字のそばには、調査名と時点と集計区分を必ず添えます。「1.16倍(岩手労働局『一般職業紹介状況』令和8年7月分・受理地別・季節調整値)」のような形です。

前年の資料を流用するとき、この行が差し替え漏れの起きる場所です。数字だけ新しくして集計区分が古いまま、という資料は社外に出したあとで直せません。

倍率で説明しないほうがよい場面

賃金の議論に有効求人倍率を持ち込むと、話がずれます。倍率は求人と求職の数の比であって、賃金水準を示すものではないからです。人件費や価格の話をするなら、価格交渉促進月間と岩手の転嫁率の側の数字を使ってください。

生成AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業

統計を使った資料づくりは生成AIと相性のよい作業ですが、任せる範囲に線が要ります。

数字は人が読み、AIは文章にする

生成AIに「岩手県の有効求人倍率は?」と聞いて出てきた数字を、そのまま資料に載せてはいけません。学習時点の古い値や、他県の値、就業地別と受理地別の取り違えが混ざります。

正しい使い方は逆で、公表資料から人が書き写した数字を渡し、説明文に直す作業だけを任せることです。

次の数字だけを使って、社内会議用の説明文を300字で書いてください。
・岩手県の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)令和8年7月分 1.16倍
・前月 1.12倍
・全国 1.18倍
・正社員有効求人倍率(受理地別・原数値)0.95倍
条件:
・ここに書いていない数字は書かないでください。
・推測や見通しは書かないでください。
・数字のうしろに集計区分を必ず入れてください。

公表資料のPDFを読ませるとき

岩手労働局が公表しているPDFは、すでに公開された資料です。これを読ませて表を書き出させる使い方は無理がありませんが、範囲を狭く切るほど精度が上がります。

表の読み取りは間違いが起きます。とくに、受理地別と就業地別が隣り合って並ぶ表、三角記号でマイナスを示している表では取り違えが出ます。出てきた表は、元のPDFを開いて1行ずつ突き合わせてください。

渡さないほうがよいもの

自社の応募者名簿、個人が特定できる履歴書の内容、選考の評価メモは、この作業に必要ありません。自社データと突き合わせたい場合も、「今年度の採用予定人数」「管内の拠点数」のように、個人が特定されない粒度に丸めてから渡します。

社内でどこまで許すかを紙一枚で決める形は、AI研修前に決める利用ルールにまとめてあります。岩手県内での生成AIの使われ方そのものは、生成AI活用、中小企業は32.3%どまりで扱っています。

毎月の確認を仕組みにする

この統計は毎月出ます。一度読んで終わりにせず、確認の周期を業務のカレンダーに入れておくほうが実用的です。

公表のタイミング

一般職業紹介状況は、対象月の翌月末に公表されます。令和8年7月分は8月28日の公表でした。8月分は9月末の公表が見込まれます。月末に岩手労働局のページを開く、という予定を入れておけば取りこぼしません。

見る指標を4つに絞る

毎月すべてを読む必要はありません。自社が見るべきは、次の4つで足ります。

  • 自社の管内の有効求人倍率(受理地別・就業地別の両方)
  • 正社員有効求人倍率
  • 有効求人数と有効求職者数のどちらが動いたか
  • 自社の業種の新規求人数

この4つをスプレッドシートに毎月1行ずつ足していけば、1年後には自社の商圏の動きが自前のデータとして残ります。

まとめ

岩手県の有効求人倍率は、令和8年7月分で1.16倍、3か月連続の上昇でした。上がった理由は求人側にあり、有効求人数が前月比4.0%増えた一方、有効求職者数はほぼ横ばいです。全国と東北平均はいずれも1.18倍で、岩手は0.02ポイント下回っています。

ただし、同じ月の数字でも、就業地別なら1.25倍、正社員だけなら0.95倍、管内別では北上1.94倍から久慈・大船渡0.79倍まで開きます。自社が見るべき数字を先に一つ決め、集計区分を書き添えたうえで採用計画に落としてください。数字を読むのは人、文章にするのが生成AIという分担を守れば、統計を使った社内資料づくりは確実に軽くなります。

よくある質問

Q. 有効求人倍率が1倍を超えていれば、採用は楽になりますか。

そうとは限りません。7月分の岩手県の全体は1.16倍ですが、正社員有効求人倍率は0.95倍で1倍を下回っています。求める雇用形態や職種によって、実際の競争の強さは変わります。

Q. 受理地別と就業地別のどちらを資料に載せればよいですか。

県全体の状況を語る場合や他県と並べる場合は、公表の中心である受理地別を使います。自社が特定の地域で働く人を採る話をしているなら、就業地別のほうが実態に近くなります。どちらを使ったかを必ず書き添えてください。

Q. 季節調整値と原数値はどう違いますか。

季節調整値は、景気とは関係なく1年を周期として繰り返す季節的な変動の影響を取り除いた値です。前月との比較にはこちらを使います。原数値は調整前の実数で、比べるときは前年同月と比較します。管内別の数字は原数値で公表されています。

Q. 高校新卒の求人状況もこの資料で分かりますか。

分かりません。一般職業紹介状況の数値は新規学卒者を除いた全数です。高校新卒の求人・求職状況は別の集計として公表されています。

Q. 最新の数字はどこで確認できますか。

岩手労働局の「一般職業紹介状況」のページに、月ごとのPDFが並んでいます。全国の数字は厚生労働省のページで同じ日に公表されます。生成AIに最新値を聞くのではなく、このページを開いて確認してください。

Q. 有効求人数には、もう募集を締め切った求人も含まれますか。

有効求人数は、当月の新規求人数に前月から繰り越された求人数を加えた数です。ハローワークで扱う求人は原則として申込日の翌々月末まで有効で、採用が決まった求人や取り消された求人は除かれます。そのため、募集が実際に動いている求人の数として読んで差し支えありません。

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参考・出典