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盛岡市の消費者物価指数2.8%上昇|2025年基準の読み方

盛岡市の消費者物価指数2.8%上昇|2025年基準の読み方

盛岡市の消費者物価指数(総合)は、2026年7月分で102.9、前年同月と比べて2.8%の上昇でした。同じ月の全国は1.9%、東北は2.1%です。そして7月分から、指数のものさしそのものが2020年基準から2025年基準へ切り替わっています。

つまり、去年つくった社内資料の数字と今月の数字をそのまま並べると、上がり方を読み違えます。この記事では、岩手県が公表している一次資料に沿って、7月分で何がどれだけ上がったのか、全国との差をどこまで言ってよいのか、そして値上げや価格交渉の資料に落とすときに生成AIへ任せてよい作業と任せてはいけない作業を整理します。

消費者物価指数のものさしが、令和2年平均を100とする2020年基準から、令和7年平均を100とする2025年基準へ、2026年7月分から置き換わったことを示した図。
図1 ものさしが2020年基準から2025年基準へ置き換わった

この記事の要点

  • 盛岡市消費者物価指数の2026年7月分は、総合102.9(前月比0.2%の上昇・前年同月比2.8%の上昇)。生鮮食品を除く総合は102.8で前年同月比2.4%の上昇です。
  • 2026年7月分から2025年基準(令和7年平均=100)に切り替わりました。これは総務省による第17次の基準改定で、全国も同じ月から切り替わっています。
  • 費目別の前年同月比で大きいのは、食料5.4%、家具・家事用品5.2%、光熱・水道3.1%、交通・通信3.1%。一方で被服及び履物は0.4%、教育は3.0%の下落です。
  • 同じ7月の前年同月比は、全国1.9%、東北2.1%、盛岡市2.8%。上がり方は比べられますが、「盛岡は物価が高い」という比較は、この表からはできません。
  • 岩手県の景況(2026年9月7日公表)は「持ち直しの動きが続いている」。有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍で、2か月連続で前月を上回っています。
  • 盛岡市消費者物価指数の次回公表は2026年9月18日以降の予定です。統計は公表日が決まっているので、社内の資料づくりを公表日の後ろに置くだけで、毎月の手戻りが減ります。
  • 生成AIは「読み取った数字を文章と資料に組み立てる」作業に向いています。数字そのものを推測させたり、PDFから拾わせたまま確認せずに出したりすると、事実と違う説明を取引先へ渡すことになります。

対象読者

  • 岩手県内で製造・建設・運送・小売・飲食・宿泊などを営み、原材料費や光熱費の上昇分を価格へ反映したい事業者の方
  • 取引先との価格交渉で「物価がこれだけ上がっている」と客観的に説明する材料をそろえたい営業・購買担当の方
  • 賃上げや人件費の社内議論で、実感ではなく公表値をたたき台にしたい経営者・総務の方
  • 補助金や融資の申請書、事業計画で県内の経済環境を書く必要がある方

読了後にできること

  • 盛岡市消費者物価指数の最新値と費目別の動きを、出典付きで自分の資料に書ける
  • 2025年基準への切り替えで何が変わったのかを説明でき、旧基準の数字と混ぜずに扱える
  • 全国・東北・盛岡市の数字を、比べてよい形と比べてはいけない形に分けて使える
  • 県の統計の公表サイクルを業務カレンダーに入れ、資料更新を毎月の作業として回せる
  • 生成AIに下書きさせる範囲と、自分で確認する範囲を線引きできる

2026年7月分から「2025年基準」に変わった

消費者物価指数は、一定の周期でものさしの基準年を更新します。総務省は2025年11月14日に「消費者物価指数2025年基準改定計画」を公表し、2026年に第17次の改定として2020年基準から2025年基準へ移行することを示していました。実際の切り替えは2026年7月分の公表からで、全国の7月分は2026年8月21日に、盛岡市の7月分も同じ2026年8月21日に公表されています。

何が変わったのか

変わったのは主に3点です。ひとつは基準年で、これまでの「令和2年(2020年)平均=100」から「令和7年(2025年)平均=100」になりました。ふたつめは指数を計算するときの品目とウエイト(支出の重みづけ)の見直しです。総務省は2026年7月10日に2025年基準のウエイト、モデル品目の計算方法、解説を掲載しています。みっつめは、過去の数字の扱いです。総務省は2026年8月7日に、2025年1月分から2026年6月分までの遡及結果と接続指数を公表しました。

旧基準の数字と並べてはいけない理由

基準年が変わると、指数の「100」が指している中身が変わります。2020年基準では2020年の物価を100としていたのに対し、2025年基準では2025年の物価が100です。だから2020年基準で「105」だった月と、2025年基準で「102.9」の月を並べて「下がった」と読むのは誤りです。

過去とつなげて見たいときは、総務省が公表している接続指数を使います。社内資料で長期の推移グラフを作っている場合は、基準改定の月に区切りを入れ、どちらの基準の数字かを凡例に書いておくと、後から見た人が読み違えません。

自社のコストを中心に、食料、家具・家事用品、交通・通信、光熱・水道という上昇している費目を結び付けて考えることを示した図。
図2 上がっている費目が自社のどのコストに当たるかを結び付ける

盛岡市の7月の数字を費目別に見る

総合の2.8%という数字だけでは、自社のどのコストが動いているのかは分かりません。岩手県が公表している10大費目別の指数を見ると、上がっている費目と下がっている費目がはっきり分かれています。

費目 指数(2025年=100) 前年同月比
総合 102.9 2.8%の上昇
食料 104.9 5.4%の上昇
住居 100.6 0.8%の上昇
光熱・水道 105.8 3.1%の上昇
家具・家事用品 105.9 5.2%の上昇
被服及び履物 99.2 0.4%の下落
保健医療 102.5 2.1%の上昇
交通・通信 103.2 3.1%の上昇
教育 96.1 3.0%の下落
教養娯楽 101.9 1.4%の上昇

上がっているのは食料・家具・光熱

食料が5.4%、家具・家事用品が5.2%、光熱・水道と交通・通信がそれぞれ3.1%の上昇です。飲食店や宿泊施設、給食や社員食堂を持つ事業所は、仕入れと光熱費の両方から押されている形になります。運送や訪問系のサービスでは、交通・通信の上昇が燃料と通信費として効いてきます。

なお、この指数は世帯が購入する価格の動きを表したものです。事業者が仕入れる原材料や資材の値動きとは別の統計なので、原価の説明に使うときは「消費者向けの価格がこれだけ動いている」という位置づけで示し、自社の仕入価格は自社の伝票で示すのが筋です。

下がっている費目もある

被服及び履物は0.4%、教育は3.0%の下落です。「何もかも上がっている」という言い方は、この表と合いません。取引先への説明資料で全体が上がっていると書くと、相手が同じ資料を見たときに信頼を落とします。上がっている費目を名指しして、自社のコスト構造のどこに当たるのかを結び付けるほうが、話が前に進みます。

前月比と前年同月比は比べてよいが、地域間の物価の高低は比べてはいけない、そのためには別の資料が必要であることを2列に分けて示した図。
図3 この資料から比べてよいことと、比べてはいけないこと

全国より高い、ただし「盛岡は物価が高い」ではない

東北6都市の中での位置

同じ2026年7月分で、前年同月比は全国が1.9%、東北が2.1%、盛岡市が2.8%です。東北の県庁所在都市で並べると、青森市2.5%、仙台市1.4%、秋田市2.8%、山形市1.9%、福島市2.0%となっており、盛岡市は秋田市と並んで上がり方が大きいほうに位置します。

比べられるのは上がり方だけ

ここで注意が要ります。岩手県の資料には、全国・東北・各都市それぞれの2025年平均を100としているため、前月比と前年同月比の高低は比較できるが、地域間の物価の高低は比較できないという注記があります。つまり「盛岡市の指数102.9は仙台市の101.5より高いから、盛岡のほうが物価が高い」とは言えません。それぞれの都市が自分の去年を基準にしているだけだからです。

言ってよいのは「盛岡市の物価は、全国平均より速いペースで上がっている」まで。水準の高低を知りたい場合は、別に公表されている消費者物価地域差指数を見る必要があります。この区別は、生成AIに要約させたときに最も間違えやすい箇所でもあります。

県の景況は「持ち直しの動きが続いている」

物価だけを見て判断すると、需要側の動きを見落とします。岩手県は毎月「岩手県の景況」をまとめており、2026年9月7日公表分(2026年6月・7月の指標が中心)では、県内景気は「持ち直しの動きが続いている」と判断しています。

2026年9月7日公表分で示された動き

  • 小売業6業態販売額(全店)は6か月ぶりに前年水準を下回った
  • 乗用車新車登録台数は4か月連続で前年水準を上回っている
  • 新設住宅着工戸数は2か月連続、公共工事請負金額も2か月連続で前年水準を上回っている
  • 鉱工業生産指数(季節調整済)は2か月連続で前月水準を上回り、原指数は13か月連続で前年水準を上回っている
  • 有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍で、2か月連続で前月を上回っている
  • 消費者物価指数は前年同月比2.8%の上昇

数字がそろって初めて言えること

物価が2.8%上がり、求人が締まり、生産と公共工事が前年を上回っている一方で、小売の販売額は6か月ぶりに前年を下回りました。ここから読めるのは、コストは上がっているが、家計側の財布は締まりつつあるという状況です。

値上げの相談を受けたときに「上げるか、上げないか」だけで話すと結論が出ません。上げる幅と、上げる先(どの商品・どの取引先か)と、上げる時期を分けて考える材料として、物価・雇用・販売の3つを並べるのが実務的です。同じ資料で国の見方も添えたい場合は、内閣府の月例経済報告が県の資料に参考として引用されているので、そこから当たれます。

統計を値上げ・価格交渉の資料に落とす手順

数字を見て終わりにせず、相手に渡す形にするところまでを1つの作業にします。対象の月を決める、公表資料から書き写す、自社の実績を横に置く、差分を1行で説明する、出典を書く。この順番で作ります。

対象の月を決め、公表資料から数字を書き写し、自社の実績を横に置き、差分を1行で説明し、出典を書くという資料づくりの順番を示した図。
図4 公表値を取引先へ渡す資料にするまでの順番

資料の組み立て

  1. 対象の月を決める。最新は2026年7月分です。取引先と話す期間に合わせ、比べる相手(前年同月か、前月か)も先に決めます。
  2. 岩手県の該当ページから盛岡市消費者物価指数のPDFかExcelを開き、総合と、自社に関係する費目の指数・前年同月比を書き写します。ここは人がやります。
  3. 自社の実績を横に置きます。仕入価格、燃料費、電気代、人件費。統計は「世の中の動き」、伝票は「自社の事実」で、役割が違います。
  4. 差分を1行で説明します。「食料は前年同月比5.4%の上昇。当社の主要食材は同じ期間で◯%の上昇」という形にすると、統計と自社の数字のどちらを根拠にしているかが読み手に伝わります。
  5. 出典を書きます。資料名(盛岡市消費者物価指数)、対象月(2026年7月分)、公表元(岩手県ふるさと振興部)、公表日(2026年8月21日)。これがないと、社内でも取引先でも「その数字はどこから」で止まります。

価格交渉の場に持っていくとき

価格交渉には毎年3月と9月の価格交渉促進月間があり、岩手県内の相談先や県のセミナーも用意されています。物価指数は「協議を始める理由」を説明する材料としては使えますが、値上げ幅そのものの根拠にはなりません。幅の根拠は自社の原価と労務費です。進め方は岩手の価格交渉促進月間の記事にまとめています。

賃上げ・人件費の議論に使うとき

賃上げの社内議論では、物価上昇率を「生活費がどれだけ増えたか」の目安として置き、そのうえで自社の支払い能力を別の表で示す形が扱いやすくなります。物価が2.8%上がったから2.8%上げる、という直結の説明は、原資の話が抜けるため議論が空回りします。

生成AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業

数字を読み取ること、比べてよいかを判断すること、出す前に確認することは人がやり、説明文の下書きと書き分けと会議資料の要点はAIに任せるという2つの層に分けた図。
図5 人がやる層とAIに任せる層を分ける

作業を2つの層に分けます。人がやるのは、数字を読み取る、比べてよいかを判断する、出す前に確認するの3つ。AIに任せるのは、説明文の下書き、書き分け、会議資料の要点の整理です。

数字は人が読み、AIは文章にする

生成AIに向いているのは、こちらが読み取った数字を、社内向けの説明文、取引先へのお願い文、会議資料の要点、グラフの説明文へ組み立て直す作業です。同じ内容を「経営会議向け」「現場向け」「取引先向け」に書き分けるのも得意な範囲です。

向いていないのは、数字そのものを出させることです。指数の値や前年同月比を記憶から答えさせると、それらしい数字が返ってきますが、公表値と一致する保証はありません。PDFを読ませた場合も、費目の取り違えや、基準年の異なる数字の混在が起きます。数字は人が公表資料から書き写し、AIには「この数字を使って書いて」と渡すのが安全です。

プロンプトの例

あなたは中小企業の経営企画担当です。以下の数字だけを使い、
取引先向けの価格改定のお願い文の下書きを作ってください。
数字を足したり、書かれていない項目を推測して補ったりしないでください。

【使ってよい数字】
・盛岡市消費者物価指数 2026年7月分(岩手県ふるさと振興部・2026年8月21日公表)
 総合 102.9(前年同月比 2.8%の上昇)
 食料 104.9(同 5.4%の上昇)
 光熱・水道 105.8(同 3.1%の上昇)
・当社の主要原材料の仕入価格の推移(自社実績): ここに自社の数字を書く

【条件】
・A4で1枚に収まる長さ
・値上げ幅の根拠は自社の原価であり、物価指数は背景説明である、という順序で書く
・断定できないことは書かない

出す前に自分で戻して確認する

AIが書いた文章は、公開・送付の前に3点だけ確認します。1つめ、数字が渡した通りか。2つめ、比べてはいけない比較(地域間の物価水準の高低など)が混じっていないか。3つめ、出典の資料名・対象月・公表日が書かれているか。この3点は毎回同じなので、確認項目としてメモに固定しておくと早く回ります。

生成AIの社内での広げ方は、岩手の中小企業の生成AI活用の記事も参考になります。

更新の周期を業務カレンダーに入れる

毎月出る5つの資料

県の統計は公表の周期が決まっています。月ごとに出るものを押さえておけば、資料の更新を思い出す必要がなくなります。

資料 周期 直近の状況
盛岡市消費者物価指数 月報 2026年7月分(2026年8月21日公表)。次回は2026年9月18日以降の予定
岩手県の景況 月報 2026年9月7日公表分が最新(2026年6月・7月の指標が中心)
岩手県鉱工業生産指数 月報 2026年6月分が掲載されている
岩手県毎月人口推計 月報 2026年8月分が最新
盛岡市家計調査 月報 2026年7月分が掲載されている

月に一度、同じ日に開く

岩手県の「統計調査結果(最新)」のページに、月報・年報・周期報がまとまっています。毎月同じ日に開いて、必要な数字だけを自社の資料へ書き写す。この15分の作業をカレンダーに置くだけで、価格や賃金の話が出たときに探すところから始めなくて済みます。業種ごとの取り組み方は岩手×AI業種別インデックスから探せます。

よくある質問

Q. 盛岡市消費者物価指数の最新はいつの分ですか。
A. 2026年9月10日時点で最新は2026年7月分で、2026年8月21日に公表されています。次回の公表は2026年9月18日以降の予定です。

Q. 2025年基準になると、去年の資料は使えなくなりますか。
A. 去年の資料が誤りになるわけではありません。ただし2020年基準の指数と2025年基準の指数をそのまま並べると読み違えます。過去とつなげて見るときは、総務省が公表している接続指数を使い、資料には基準年を明記してください。

Q. 盛岡市の指数が仙台市より高いのは、盛岡のほうが物価が高いということですか。
A. 違います。各地域がそれぞれの2025年平均を100としているため、比べられるのは前月比・前年同月比といった上がり方だけです。地域間の物価水準を比べるには、消費者物価地域差指数という別の資料を見る必要があります。

Q. 岩手県全体の物価指数はありますか。
A. 県が月報として公表しているのは県庁所在市である盛岡市の指数です。県全体の消費者物価指数は公表されていないため、資料には「盛岡市の指数」と正確に書いてください。

Q. 値上げの根拠として物価指数をそのまま使ってよいですか。
A. 物価指数は、協議を始める背景を説明する材料としては使えます。値上げ幅の根拠になるのは自社の原価や労務費なので、指数と自社の数字は分けて示してください。

Q. AIに指数のPDFを読ませて要約させるのは問題ありますか。
A. 下書きの補助としては使えますが、要約に出てきた数字をそのまま資料へ載せないでください。費目の取り違えや基準年の混在が起きます。数字は公表資料から人が書き写し、AIには文章の組み立てを任せる形が安全です。

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参考・出典