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岩手県の平均月給275,000円|男女・年齢・産業別の読み方

岩手県の平均月給275,000円|男女・年齢・産業別の読み方

岩手県で働く一般労働者の所定内給与額は、男女計で275,000円です。男性は295,100円、女性は242,000円でした。厚生労働省が2026年3月24日に公表した「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の都道府県別の数字で、全国計は340,600円です。

「岩手の平均月給はいくらか」を調べると、転職サイトや求人サイトの独自集計が先に出てきます。しかし国が毎年6月分の給与を事業所から集めて公表している統計があり、岩手労働局はそこから岩手県分だけを抜き出した「岩手県の賃金統計 令和8年度」という24ページの冊子を2026年6月にまとめています。男女別、年齢別、産業別、企業規模別、職種別、新規学卒者別の県内の水準が、全国との格差つきで載っています。

この記事では、この2つの資料の読み方、岩手県の所定内給与の水準と全国順位、年齢・産業・企業規模・職種ごとの県内の数字、新規学卒者の初任給、最低賃金と県の賃上げ支援金との関係、そして自社の賃金表と並べる手順を整理します。生成AIに任せてよい作業と任せてはいけない作業も最後にまとめます。

この記事の要点

  • 令和7年(2025年)6月分の岩手県の一般労働者の所定内給与額は、男女計275,000円、男性295,100円、女性242,000円です。全国計は男女計340,600円、男性373,400円、女性285,900円です。
  • 男女計275,000円は47都道府県のうち44番目で、前年の267,000円(43番目)から上がっています。東北6県では宮城313,700円、福島293,600円が高く、秋田275,800円、山形272,200円、青森263,900円が岩手と同じ水準です。
  • 年齢別では、男性は50〜54歳の346,800円、女性は45〜49歳の256,800円が最も高い階層です。20〜24歳は男性221,400円、女性210,300円です。
  • 産業別の全国格差は、医療・福祉の男性が91.9%と最も小さく、運輸業・郵便業の男性が76.5%と最も大きい差です。
  • 企業規模別では、男性は1,000人以上346,100円、10〜99人274,700円、女性は1,000人以上263,400円、10〜99人232,300円です。
  • 新規学卒者の所定内給与は、大卒男性241,900円、高卒男性196,600円、大卒女性243,800円、高卒女性191,400円で、東京を100とすると大卒男性は86.9です。
  • 女性短時間労働者の1時間当たり所定内給与は産業計1,201円で、現行の岩手県最低賃金1,031円、答申された1,090円との差はそれぞれ170円、111円です。
  • 数字を写すのは人、自社の賃金表と並べた説明文や社内向けの要約を作るのが生成AI、という分担なら安全に作業を軽くできます。

賃金構造基本統計調査は何を測っている資料か

賃金構造基本統計調査は、厚生労働省が毎年7月に実施する統計で、全国の主要産業に雇用される労働者の賃金を、雇用形態、職種、性別、年齢、学歴、勤続年数別に明らかにするための調査です。令和7年調査では、抽出された79,321事業所のうち有効回答を得た59,836事業所から、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所52,242事業所分を集計しています。この数字は「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の結果を公表します(報道発表資料)」に書かれています。

きまって支給する現金給与額から超過労働給与額を差し引いたものが所定内給与額で、年間賞与その他特別給与額は別枠であることを示す図。
図1 きまって支給する現金給与額から所定内給与額を取り出す流れ

所定内給与額という物差し

この統計の「賃金」は、6月分として支払われた所定内給与額の平均値です。岩手労働局の冊子の用語説明によると、所定内給与額は「きまって支給する現金給与額」から超過労働給与額を差し引いた額で、手取りではなく、所得税や社会保険料を控除する前の額です。残業代は入らず、賞与も別枠で「年間賞与その他特別給与額」として前年1年分が集計されています。

つまりこの記事で「平均月給」と呼んでいる数字は、残業代と賞与を含まない、基本給と毎月の手当の平均です。求人サイトの「月収例」や年収の数字と直接比べると食い違うのは、この範囲の違いが理由です。

求人賃金・毎月勤労統計との違い

岩手県の賃金の統計は、少なくとも3種類あります。岩手労働局が毎月出す「職業別新規求人・求職平均賃金情報」は、その月にハローワークに出た求人票の賃金と求職者の希望賃金です。県が毎月公表する毎月勤労統計調査の地方調査は、5人以上の事業所の現金給与総額を月ごとに追う統計です。そして賃金構造基本統計調査は、年1回、6月分の所定内給与を、年齢や職種の属性ごとに細かく分けて見る統計です。

求人票の賃金と求職者の希望賃金は「岩手の職業別求人賃金2026|求人下限204,437円・希望210,396円」で整理しています。在職者に実際に払われている給与の水準を知りたいときは、本記事の賃金構造基本統計調査が向いています。

岩手労働局「岩手県の賃金統計」の使い方

岩手労働局の「事例・統計情報」のページに、令和6年度、令和7年度、令和8年度の「岩手県の賃金統計」が並んでいます。令和8年度版は令和7年調査の結果をもとに2026年6月にまとめられたもので、次の構成です。

  1. 調査概要と用語の説明
  2. 岩手県の産業別賃金、年齢階層別賃金水準の4年間の推移
  3. 年齢階層別・規模別賃金と、男女別の年間賞与の推移
  4. 企業規模別の年齢・勤続年数・労働時間・所定内給与・賞与
  5. 男性、女性それぞれの都道府県別の現金給与
  6. 女性短時間労働者の時間給と賞与
  7. 都道府県別・産業別の所定内給与と、岩手県と全国の格差
  8. 職種別・性別の賃金と全国格差
  9. 新規学卒者の初任給の推移と都道府県別の格差
  10. 全国の地域別最低賃金の年次別推移

自社の産業や職種の欄を1枚ずつ読めば、県内での位置が分かります。元データは政府統計の総合窓口「e-Stat 賃金構造基本統計調査」で都道府県別の統計表として公開されています。

岩手県の所定内給与|男女計275,000円と全国340,600円の差

令和7年の岩手県の一般労働者の所定内給与額は、男女計275,000円です。全国計340,600円と比べると65,600円低い水準です。都道府県別の数字は「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況 都道府県別にみた賃金」の第8図に載っていて、全国計より高いのは東京418,300円、神奈川、愛知、大阪の4都府県だけです。

男性は岩手県295,100円と全国373,400円、女性は岩手県242,000円と全国285,900円を左右2枚で並べた図。
図2 所定内給与額の岩手県と全国の比較(男性・女性・令和7年)

男性295,100円・女性242,000円

岩手労働局の冊子には、男女別に全国との比較が載っています。出典はいずれも「岩手県の賃金統計 令和8年度」の7ページ、8ページ、13ページです。

区分 岩手県 全国 格差(全国=100)
男性 所定内給与額 295,100円 373,400円 79.0
女性 所定内給与額 242,000円 285,900円 84.6
男性 年間賞与その他特別給与額 735,400円 1,187,000円 62.0
女性 年間賞与その他特別給与額 514,200円 714,300円 72.0

男性の平均年齢は岩手県47.3歳、全国45.2歳、勤続年数は岩手県14.3年、全国14.2年です。女性は岩手県45.7歳と11.4年、全国43.2歳と10.4年です。岩手県の労働者は全国より年齢が高く、勤続年数も長いのに給与は低い、という構図です。所定内実労働時間は男性が岩手県165時間、全国163時間、女性が岩手県162時間、全国159時間で、働く時間は岩手のほうが長くなっています。

前年との比較では、男性は令和6年の291,600円から295,100円へ、女性は229,300円から242,000円へ上がりました。同じ冊子の5ページに規模計の4年分が並んでいます。

東北6県と全国順位

第8図の都道府県別の値を並べ替えると、岩手県の男女計275,000円は47都道府県のうち44番目です。前年の令和6年は267,000円で43番目でした。数字は上がったのに順位が1つ下がったのは、秋田が265,500円から275,800円へ、沖縄が266,300円から277,400円へ上がって岩手を上回り、山形が272,400円から272,200円へ下がって岩手を下回ったためです。

令和7年 男女計 令和6年 男女計
宮城 313,700円 298,100円
福島 293,600円 276,300円
秋田 275,800円 265,500円
岩手 275,000円 267,000円
山形 272,200円 272,400円
青森 263,900円 259,900円

東北で全国計に近いのは宮城だけで、岩手、秋田、山形は27万円台に固まっています。県境をまたいで採用競争になる北上・一関・二戸の事業所は、隣県の水準も一緒に見ておくと求人票の賃金を決めやすくなります。

賞与を含めた年収の目安(試算)

この統計に「年収」の欄はありません。目安を出すなら、所定内給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足す計算になります。

  • 男性: 295,100円×12か月=3,541,200円、これに賞与735,400円を足して4,276,600円
  • 女性: 242,000円×12か月=2,904,000円、これに賞与514,200円を足して3,418,200円

この試算には残業代(超過労働給与額)が入っていません。6月分の給与を12倍しているだけなので、昇給や手当の変動も反映されません。社内資料に載せるときは「所定内給与の12か月分と前年の賞与の合計(試算)」と注記してください。

年齢階層別|男性は50〜54歳346,800円、女性は45〜49歳256,800円が最も高い

岩手労働局の冊子2ページに、年齢階層別の所定内給与額が令和4年から令和7年まで男女別に載っています。令和7年の数字を並べます。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

20〜24歳221,400円から50〜54歳346,800円まで上がり、60〜64歳274,600円に下がる男性の年齢階層別の所定内給与額の並びを示す図。
図3 男性の所定内給与額の年齢階層別の並び(岩手県・令和7年)
年齢階層 男性 女性
〜19歳 194,300円 192,700円
20〜24歳 221,400円 210,300円
25〜29歳 241,300円 235,700円
30〜34歳 267,500円 228,000円
35〜39歳 282,300円 237,900円
40〜44歳 330,300円 246,900円
45〜49歳 320,600円 256,800円
50〜54歳 346,800円 256,500円
55〜59歳 323,100円 252,900円
60〜64歳 274,600円 223,600円
65〜69歳 241,100円 217,100円

男性の賃金カーブ

男性は20〜24歳の221,400円から50〜54歳の346,800円まで上がり、55〜59歳で323,100円、60〜64歳で274,600円に下がります。全国の男性は55〜59歳の445,600円がピークで、岩手県はピークの年齢が5歳早く、金額も低い形です。40〜44歳が330,300円で45〜49歳の320,600円より高いのは、前年の297,300円から40〜44歳が大きく上がったためで、年によって階層ごとの上下があります。

女性の賃金カーブ

女性は20〜24歳の210,300円から45〜49歳の256,800円まで上がりますが、25〜29歳235,700円から30〜34歳228,000円へ一度下がります。40〜44歳から55〜59歳までは246,900円から256,800円の範囲に収まり、男性のような山がありません。全国の女性も45〜49歳と55〜59歳の305,700円が最も高く、上昇が緩やかな点は同じです。

初任給に近い20〜24歳

20〜24歳の男性221,400円、女性210,300円は、新規学卒者の初任給に近い階層です。この階層は令和4年の男性193,200円、女性191,800円から3年間で上がり続けていて、若手の賃金は県内でも上昇しています。高卒・大卒の初任給そのものは後の節で扱います。

産業別|建設・製造・運輸・小売・医療福祉・サービスの全国格差

岩手労働局の冊子13ページに、岩手県と全国の産業別の所定内給与額と格差が載っています。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

医療・福祉の男性91.9%を差が小さい側、運輸業・郵便業の男性76.5%を差が大きい側に分けた図。
図4 男性の所定内給与額の全国格差が小さい産業と大きい産業(岩手県・令和7年)
産業 男性 岩手県 男性 全国 男性 格差 女性 岩手県 女性 全国 女性 格差
産業計 295,100円 373,400円 79.0 242,000円 285,900円 84.6
建設業 296,300円 379,600円 78.1 237,300円 292,200円 81.2
製造業 288,200円 355,900円 81.0 216,200円 254,200円 85.1
運輸業・郵便業 246,700円 322,300円 76.5 218,800円 263,200円 83.1
卸売業・小売業 307,300円 388,400円 79.1 238,400円 281,600円 84.7
医療・福祉 347,200円 378,000円 91.9 256,900円 289,700円 88.7
サービス業(他に分類されないもの) 238,900円 302,800円 78.9 199,600円 254,600円 78.4

医療・福祉の男性は全国の91.9%

県内で全国との差が最も小さいのは医療・福祉で、男性347,200円は全国378,000円の91.9%、女性256,900円は全国289,700円の88.7%です。医師や看護師のように資格で賃金が決まる職種が多く、地域差が出にくい産業です。男性の医療・福祉は令和4年の301,500円から令和7年の347,200円へ上がっていて、冊子2ページに載る建設業、製造業、卸売業・小売業、医療・福祉、サービス業の5産業の中で、この4年の上がり幅が最も大きい産業です。

運輸業・郵便業は76.5%

最も差が大きいのは運輸業・郵便業の男性で、岩手県246,700円は全国322,300円の76.5%です。同じ冊子14ページによると、運輸業・郵便業の男性の超過実労働時間は全国25時間に対して岩手県29時間で、所定内給与が低いぶんを残業で補う形が数字に出ています。建設業の男性296,300円(78.1%)、サービス業の男性238,900円(78.9%)も80%を下回ります。

賞与の格差は給与より大きい

年間賞与その他特別給与額の格差は、所定内給与額より大きく開いています。産業計の男性は岩手県735,400円に対して全国1,187,000円で62.0%、女性は514,200円に対して714,300円で72.0%です。建設業の女性は331,400円に対して全国910,400円で36.4%、卸売業・小売業の男性は805,700円に対して1,418,500円で56.8%です。月給の差より賞与の差が年収の差を広げている、というのが岩手県の賃金の特徴です。

企業規模別|10〜99人274,700円と1,000人以上346,100円

岩手労働局の冊子5ページには、企業規模別の所定内給与額、年間賞与、年齢、勤続年数、所定内実労働時間が男女別に令和4年から令和7年まで載っています。令和7年の数字です。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

10〜99人274,700円、100〜999人292,000円、1,000人以上346,100円と企業規模が大きいほど高くなる男性の所定内給与額を3段の階段で示した図。
図5 企業規模別の男性の所定内給与額の段差(岩手県・令和7年)
企業規模 男性 所定内給与額 男性 年間賞与 女性 所定内給与額 女性 年間賞与
規模計 295,100円 735,400円 242,000円 514,200円
1,000人以上 346,100円 1,170,700円 263,400円 635,600円
100〜999人 292,000円 814,900円 240,100円 581,300円
10〜99人 274,700円 480,900円 232,300円 403,100円

男性は規模で71,400円の差

男性は1,000人以上の346,100円と10〜99人の274,700円で71,400円の差があります。10〜99人の男性は令和4年259,600円、令和5年264,600円、令和6年270,300円、令和7年274,700円と毎年上がっていますが、1,000人以上も令和6年339,600円から346,100円へ上がっていて、差は縮まっていません。10〜99人の男性の平均年齢は49.0歳で、1,000人以上の44.9歳より4.1歳高い点にも注意が必要です。

女性は規模の差が31,100円

女性は1,000人以上263,400円と10〜99人232,300円で31,100円の差です。10〜99人の女性は令和6年の211,300円から令和7年の232,300円へ21,000円上がっていて、この1年の伸びは規模別で最も大きくなっています。

賞与は10〜99人が下がった

年間賞与その他特別給与額は、10〜99人の男性が令和6年547,400円から令和7年480,900円へ、女性が469,600円から403,100円へ下がりました。所定内給与は上がったのに賞与は下がっているのが小規模企業の令和7年の姿です。県内の中小企業が賃上げ原資を月給に回し、賞与を抑えた動きと読めます。

職種別|介護職員・看護師・金属工作機械・貨物運転者の県内水準

冊子の17ページと18ページには、職種別・性別の所定内給与額と全国格差が載っています。県内で人数の多い職種を抜き出します。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

職種(性別) 岩手県 全国 格差(全国=100)
介護職員(医療・福祉施設等)(男) 223,900円 280,200円 79.9
介護職員(医療・福祉施設等)(女) 217,000円 253,500円 85.6
看護師(女) 292,800円 331,800円 88.2
保育士(女) 247,000円 278,600円 88.7
総合事務員(女) 244,000円 284,500円 85.8
販売店員(女) 217,700円 231,800円 93.9
飲食物調理従事者(男) 266,900円 295,600円 90.3
金属工作機械作業従事者(男) 262,700円 295,500円 88.9
食料品・飲料・たばこ製造従事者(男) 242,900円 277,600円 87.5
営業用大型貨物自動車運転者(男) 245,100円 307,300円 79.8
ソフトウェア作成者(男) 298,300円 366,700円 81.3

介護と運転は全国の8割

介護職員の男性223,900円は全国の79.9%、営業用大型貨物自動車運転者の男性245,100円は79.8%で、県内で採用が難しい職種ほど全国との差が大きい形です。介護施設の記録や人員配置の工夫は「岩手の特養・老健・グループホームがAIで介護記録・シフト・見守りを効率化する実践ガイド」に分けて整理しています。

販売店員と調理は9割以上

販売店員の女性217,700円は全国の93.9%、飲食物調理従事者の男性266,900円は90.3%で、地域差が小さい職種です。金額そのものは低くても、全国との差が小さい職種では「岩手だから安い」とは言えません。

職種の欄を読むときの注意

職種別の数字は事業所の抽出結果なので、人数の少ない職種は年ごとの上下が大きくなります。たとえば冊子16ページの訪問介護従事者の男性は年間賞与が2,300円で、全国の370,600円と比べて0.6%と極端な値です。自社の職種の欄を読むときは、前年度の冊子「岩手県の賃金統計 令和7年度」の同じ欄と並べて、両年で似た値なら使う、大きく違うなら参考程度にとどめる、と決めておくと安全です。

新規学卒者の初任給|大卒男性241,900円・高卒男性196,600円

冊子19ページに、岩手県の新規学卒者の所定内給与額の令和3年から令和7年までの推移と、都道府県別の格差が載っています。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

区分 岩手県 令和7年 東京 令和7年 格差(東京=100)
大卒 男性 241,900円 278,300円 86.9
高専・短大卒 男性 216,200円 248,600円 87.0
高卒 男性 196,600円 225,200円 87.3
大卒 女性 243,800円 272,500円 89.5
高専・短大卒 女性 193,000円 270,800円 71.3
高卒 女性 191,400円 221,900円 86.3

5年間の推移

大卒男性は令和3年203,900円、令和4年213,000円、令和5年221,200円、令和6年227,900円、令和7年241,900円と5年で38,000円上がりました。高卒男性は168,900円、170,100円、180,900円、191,700円、196,600円で27,700円の上昇です。高卒女性は168,400円、173,900円、178,000円、174,400円、191,400円で、令和7年に17,000円上がっています。

高卒求人票の賃金欄への当てはめ

高卒の初任給196,600円と191,400円は、県内の高卒求人票の賃金欄を決める直接の目安になります。ハローワークの求人票では新規学卒者の求人は別扱いなので、前の節で触れた職業別求人賃金の資料では初任給の相場は分かりません。高卒採用の求人票と選考の準備は「岩手の高卒採用×AI活用ガイド2026|求人票・職場見学・9月選考の準備」に整理しています。

最低賃金1,031円と答申1,090円|女性短時間労働者の時給と県の賃上げ支援金

岩手県の最低賃金は、令和7年12月1日から時間額1,031円です。岩手県の「岩手県の最低賃金について」のページに、対象となる労働者と対象となる賃金の範囲が書かれています。令和8年度は、岩手地方最低賃金審議会が2026年8月31日に59円引き上げて1,090円とする答申を出し、官報公示を経て2026年12月1日から発効される予定です。答申の内容は岩手労働局の「令和8年度岩手県最低賃金の改正答申について」で確認できます。

下から現行の最低賃金1,031円、答申された1,090円、女性短時間労働者の産業計1,201円の順に積んだ3層の図。
図6 時給の並び(現行の最低賃金・答申額・女性短時間労働者の産業計)

女性短時間労働者の時給は産業計1,201円

冊子9ページには、岩手県の女性短時間労働者の1時間当たり所定内給与額が産業別に載っています。令和7年は産業計1,201円、製造業1,117円、卸売業・小売業1,144円、宿泊業・飲食サービス業1,061円、生活関連サービス業・娯楽業1,160円、医療・福祉1,324円、サービス業1,135円です。出典は「岩手県の賃金統計 令和8年度」です。

産業計1,201円と現行の最低賃金1,031円の差は170円、答申された1,090円との差は111円です。宿泊業・飲食サービス業の1,061円は答申額1,090円を下回っていて、この産業のパートの時給は12月1日までに見直しが必要な事業所が多いと読めます。全国の短時間労働者の1時間当たり賃金は男女計1,518円、女性1,418円で、岩手県の女性短時間労働者との差は217円です。

12月1日までの時給の点検

答申どおり1,090円になると、令和7年の県内の女性短時間労働者の時給の産業計との差は111円まで縮まります。時給1,031円から1,090円ちょうどに上げる場合は、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、賞与を除いた通常の労働時間に対する賃金で1,090円以上になっているかを確認します。この範囲の定義は岩手県の最低賃金のページに書かれています。

県の物価高騰対策賃上げ支援金

岩手県は「物価高騰対策賃上げ支援金」を実施しています。県内に事業所を持つ中小企業等が、令和7年10月1日から令和8年9月30日までの間に従業員の賃金を1時間当たり60円以上引き上げ、引き上げ後の水準を1年間続ける場合に、従業員1人当たり6万円(1事業者当たり上限50人分)が支給されます。申請受付は令和8年2月13日に始まり、県全体で25億4,000万円の上限に達し次第終了、達しない場合も令和8年11月13日で受付を終了します。非正規雇用労働者は週所定労働時間20時間以上が条件で、申請時点で全ての労働者の時給が最低賃金を上回っている必要があります。

時給1,031円から1,090円への引き上げは59円で、この支援金の60円以上という条件に1円足りません。答申額に合わせるだけでなく60円以上にすれば、対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。募集要項の確認と申請は県の特設ページで行ってください。

自社の賃金表と並べる手順|生成AIに任せる作業と任せない作業

統計の数字を眺めるだけでは賃金の見直しは進みません。自社の賃金表と同じ物差しに揃えて並べる5手順です。

所定内給与額に直す、産業・規模・職種の3枚を開く、年齢階層で並べる、新規学卒者と短時間労働者を別に見る、前年度の冊子と両年で確かめる、の5手順を左から右に並べた図。
図7 統計を自社の賃金表に落とす5手順

手順1 自社の給与を所定内給与額に直す

自社の給与から、残業代、通勤手当、賞与を除いた額を従業員ごとに出します。統計の所定内給与額は基本給と毎月の手当の合計で、通勤手当は「きまって支給する現金給与額」に含まれますが、比べるときは求人票と同じく通勤手当を除いた額で揃えると求人賃金の資料とも並べられます。

手順2 産業・規模・職種の3枚を開く

冊子の13ページ(産業別)、5ページ(企業規模別)、16ページから18ページ(職種別)から、自社に当てはまる行を写します。製造業で従業員50人なら、製造業の男女、10〜99人の男女、自社の主な職種の3組です。

手順3 年齢階層で並べる

2ページの年齢階層別の表と、自社の従業員の年齢階層別の平均を並べます。統計より低い階層があれば、そこが離職や採用難の出やすい層です。

手順4 新規学卒者と短時間労働者を別に見る

高卒・大卒の初任給は19ページ、パートの時給は9ページの数字と並べます。パートの時給は答申額1,090円と県の支援金の60円以上という条件も一緒に見ます。

手順5 前年度の冊子と両年で確かめる

令和7年度版の同じ欄と並べて、両年で似た値なら使い、大きく違う欄は参考程度にとどめます。職種別の少人数の欄はこの確認が欠かせません。

任せてよい作業

生成AIに任せてよいのは、写した数字を並べ替えて表にする作業、自社の数字との差を計算して説明文にする作業、社内会議向けの要約を作る作業、冊子の用語説明を従業員向けに言い換える作業です。統計の数字と自社の数字をこちらで用意して渡せば、表と文章の下書きは数分で出ます。出てきた数字は、必ず冊子の該当ページと突き合わせてから使います。

任せてはいけない作業

統計の数字そのものを生成AIに聞くことは避けてください。「岩手県の平均月給はいくらか」と聞くと、古い年の数字や他県の数字が混ざった答えが返ることがあります。数字は必ず厚生労働省と岩手労働局の資料から人が写します。賃金表の改定額を決める判断、最低賃金の適用の判断、支援金の要件を満たすかの判断も、人が資料と社会保険労務士の確認で決めます。税理士・社会保険労務士との分担は「岩手事例で見る税理士・社労士×AI|地方士業事務所の人手不足解消パターン」にまとめています。

入力してはいけない情報

従業員の氏名と給与額をそのまま生成AIに入力しないでください。個人が特定できる給与データは、年齢階層別の平均など個人が分からない形に集計してから渡します。統計の数字は公開情報なので入力して構いません。

よくある質問

Q. 岩手県の平均月給275,000円は、手取りですか。

いいえ。所得税や社会保険料を控除する前の額で、残業代と賞与も含みません。令和7年6月分の所定内給与額の平均です。手取りは扶養や保険料率で変わるので、この数字から一律には計算できません。

Q. 岩手県の平均年収はいくらですか。

この統計に年収の欄はありません。所定内給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足した試算では、男性4,276,600円、女性3,418,200円です。残業代を含まない試算なので、社内資料には試算であることを注記してください。

Q. 数字はいつ更新されますか。

厚生労働省の全国・都道府県別の結果は毎年3月に公表され、令和7年調査は2026年3月24日に公表されました。岩手労働局の冊子はその後の6月にまとめられています。次の令和8年調査の結果は2027年3月ごろの公表になります。

Q. 求人票の賃金と、この統計の所定内給与額はどちらを目安にすべきですか。

目的で分けます。これから出す求人票の賃金は、同じ月に出ている求人の賃金と求職者の希望賃金を載せた職業別求人賃金の資料が向いています。在職者の昇給や賃金表の見直しは、年齢や勤続年数で分かれている本記事の統計が向いています。

Q. パートの時給はいくらにすれば最低賃金の改正に間に合いますか。

答申どおりなら2026年12月1日から1,090円です。県内の女性短時間労働者の令和7年の時給は産業計1,201円で、宿泊業・飲食サービス業は1,061円でした。60円以上の引き上げなら県の物価高騰対策賃上げ支援金の対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。官報公示後の確定額は岩手労働局のページで確認してください。

Q. 全国順位の44番目は、どの資料に書いてありますか。

順位そのものは資料に書かれていません。厚生労働省の概況の第8図(都道府県別賃金)の値を高い順に並べ替えた結果です。値の出典は概況の図表データで、令和7年は岩手県275,000円、令和6年は267,000円です。

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参考・出典