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岩手の有効求人倍率1.21倍|8月分の産業別と沿岸・内陸の読み方

岩手の有効求人倍率1.21倍|8月分の産業別と沿岸・内陸の読み方

岩手労働局が2026年10月2日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」によると、県内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.21倍でした。前月の1.16倍から0.05ポイント上がり、4か月連続で前月を上回っています。同じ月の全国は1.18倍で前月と同水準、東北も1.18倍です。県内の雇用情勢についての岩手労働局の判断は、前回と同じ「県内の雇用情勢は、弱さに下げ止まりがみられる。引き続き中東情勢等の影響に注意する必要がある」でした(岩手労働局「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」(PDF・2026年10月2日))。

倍率が上がった理由は、求職者が減ったからではなく、求人が増えたからです。有効求人数は26,039人で前年同月より9.4%増え、有効求職者数は21,589人で0.5%増でした。ただ、増えた求人の中身は産業でも地域でも偏っています。製造業の新規求人は前年同月より57.8%増えた一方、宿泊業・飲食サービス業は14.5%減り、沿岸の倍率は0.92倍のままです。

7月分の記事では、同じ月に「受理地別」「就業地別」「正社員」の3つの倍率がある理由を整理しました(岩手の有効求人倍率1.16倍|就業地別と正社員の差)。この記事では8月分の数字を、県全体、就業地別、沿岸と内陸、産業別、正社員の順に読み、県内の事業者が採用計画に落とすときに生成AIへ任せてよい作業と任せてはいけない作業を整理します。

この記事の要点

  • 有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.21倍(前月1.16倍)。有効求人数26,039人は前年同月比9.4%増、有効求職者数21,589人は0.5%増。求人が増えて倍率が上がった
  • 新規求人倍率は1.83倍で2か月連続の低下。新規求人数9,432人(前年同月比11.1%増)に対し、新規求職者数も5,165人(3.3%増)と増えた
  • 就業地別の有効求人倍率は1.29倍、正社員の有効求人倍率は0.99倍。都道府県の順位は21位(京都と同じ)
  • 内陸1.26倍、沿岸0.92倍。安定所別では北上2.06倍が最も高く、大船渡0.86倍、久慈0.84倍が低い
  • 産業別の新規求人(受理地別・原数値)は製造業が1,392人で前年同月比57.8%増。電気機械器具は4倍、電子部品・デバイス・電子回路は3倍に増えた。宿泊業・飲食サービス業は14.5%減、金融業・保険業は53.2%減

対象読者

岩手県内で採用計画や賃金の見直しを考えている経営者・人事担当者、沿岸と内陸で事業所を持つ会社、製造業・医療福祉・宿泊飲食など求人の動きが産業で分かれる業種の担当者。

読了後にできること

自社の安定所と産業の数字を一次資料から抜き出して、季節調整値と原数値を混ぜずに社内資料にまとめ、採用の時期と条件を決める議論の土台を作れます。

8月分の数字|求人が9.4%増え、倍率は1.21倍に

岩手労働局の資料は、月々の動きを見る「季節調整値」と、前年同月と比べる「原数値」を使い分けています。冒頭の倍率と求人・求職の人数は季節調整値、産業別や安定所別の数字は原数値です。この違いを混ぜると読み違えるので、先に表で押さえます。

図: 有効求人倍率1.21倍、有効求人数26,039人、有効求職者数21,589人、4か月連続の上昇。県の判断は弱さに下げ止まりがみられる
図解1|8月分の有効求人倍率と求人・求職の人数
項目(受理地別・季節調整値) 2026年8月 前月比 前年同月比
有効求人倍率 1.21倍 0.05ポイント上回る(前月1.16倍) ―
有効求人数 26,039人 1,080人増(4.3%増) 2,231人増(9.4%増)
有効求職者数 21,589人 154人増(0.7%増) 112人増(0.5%増)
新規求人倍率 1.83倍 0.03ポイント下回る(前月1.86倍) ―
新規求人数 9,432人 304人増(3.3%増) 946人増(11.1%増)
新規求職者数 5,165人 246人増(5.0%増) 167人増(3.3%増)

出典:岩手労働局「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」(PDF)

有効求人倍率が上がったのに新規求人倍率が下がったのは、新規求人数が3.3%増えた以上に、新規求職者数が5.0%増えたためです。8月の就職件数(原数値)は1,262件で、前年同月より1.2%減りました。求人は増えているのに就職件数が増えていない、という点は、採用する側の条件と求職者の希望がかみ合っていない可能性を示します。

季節調整値と原数値を混ぜない

季節調整値は、一年を周期として繰り返す季節的な要因を取り除いた値で、前月との比較に使います。原数値は実際の取扱件数で、前年同月と比べます。たとえば8月の新規求人数は、季節調整値で9,432人、産業別の表で使う原数値の合計では8,180人です。社内資料では、どちらの値かを必ず注記します。

全国は1.18倍、岩手は21位

厚生労働省が同じ日に公表した全国の数字は、有効求人倍率1.18倍(前月と同水準)、新規求人倍率2.06倍(前月比0.04ポイント低下)、正社員有効求人倍率1.00倍です(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」(2026年10月2日))。報道では、同じ日に公表された8月の完全失業率が2.5%に上がったことも伝えられています(日本経済新聞「8月の有効求人倍率1.18倍、前月から横ばい 失業率は2.5%に上昇」(2026年10月1日))。

岩手労働局の資料にある都道府県別の一覧(受理地別・季節調整値)では、岩手の1.21倍は47都道府県の21位で、京都と同じ順位です。1位は東京の1.70倍。東北では山形1.36倍(9位)、福島1.24倍(16位)が岩手より上で、秋田1.13倍、宮城1.11倍、青森1.08倍が下です。

就業地別は1.29倍|県外の求人を除くと高く出る

資料には2つの倍率があります。受理地別は、岩手県内のハローワークで受理した求人を集計した数で、就業場所が他県の求人を含みます。就業地別は、求人票の就業場所が岩手県内の求人を集計した数で、他県で受理した求人を含みます。8月分は、季節調整値で受理地別1.21倍、就業地別1.29倍で、差は0.08ポイントです。原数値では受理地別1.20倍、就業地別1.28倍でした。

図: 受理地別は就業場所が他県の求人を含み1.21倍、就業地別は就業場所が岩手県内の求人で1.29倍。差は0.08ポイント
図解2|受理地別と就業地別の違い

就業地別の有効求人数(季節調整値)は27,755人で、受理地別の26,039人より1,716人(6.6%)多くなっています。岩手県内で働く求人は、県内で受理した求人より多い、ということです。

安定所別では盛岡だけ就業地別のほうが低い

安定所別(原数値)で受理地別と就業地別を並べると、差の出方が地域で違います。

安定所 受理地別 就業地別 差
盛岡 1.09倍 1.01倍 0.08ポイント低い
釜石 0.95倍 1.27倍 0.32ポイント高い
宮古 1.00倍 1.10倍 0.10ポイント高い
花巻 1.47倍 1.49倍 0.02ポイント高い
一関 1.22倍 1.48倍 0.26ポイント高い
水沢 1.39倍 1.90倍 0.51ポイント高い
北上 2.06倍 2.21倍 0.15ポイント高い
大船渡 0.86倍 0.93倍 0.07ポイント高い
二戸 0.98倍 1.14倍 0.16ポイント高い
久慈 0.84倍 1.05倍 0.21ポイント高い

出典:岩手労働局「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」Ⅶ-①(PDF)

盛岡で受理した求人の一部は就業場所が他の地域なので、就業地別にすると盛岡は下がり、釜石・一関・水沢は上がります。自社の地域で人を採る側が見るべきなのは、就業地別のほうです。

内陸1.26倍・沿岸0.92倍|地域の差は前年と変わっていない

沿岸・内陸別の有効求人倍率(受理地別・原数値)は、内陸計1.26倍(前年同月差0.10ポイント増)、沿岸計0.92倍(前年同月差なし)、県計1.20倍(0.09ポイント増)でした。沿岸部の有効求人数は3,614人で前年同月より0.2%減、有効求職者数は3,926人で0.8%減です。内陸部は有効求人数20,782人(9.8%増)、有効求職者数16,458人(1.2%増)でした。

図: 内陸1.26倍、沿岸0.92倍、北上2.06倍、久慈0.84倍を縦棒で比べる
図解3|内陸と沿岸、最も高い北上と最も低い久慈

安定所別の8月の倍率(受理地別・原数値)と前年同月差は、北上2.06倍(0.59ポイント増)、花巻1.47倍(0.08ポイント増)、水沢1.39倍(0.26ポイント増)、一関1.22倍(0.09ポイント増)、盛岡1.09倍(0.01ポイント減)、宮古1.00倍(0.02ポイント増)、二戸0.98倍(0.05ポイント増)、釜石0.95倍(0.01ポイント増)、大船渡0.86倍(0.04ポイント減)、久慈0.84倍(0.03ポイント増)です。

県全体の上昇は、北上と水沢の上昇が引き上げています。沿岸の4安定所は1倍を下回ったままで、求人1件に対して求職者が1人以上いる状態です。沿岸で採用を考える会社は、県平均の1.21倍を前提に条件を決めると、実態より厳しく見積もることになります。

産業別の新規求人|製造業57.8%増、宿泊・飲食14.5%減

産業別の新規求人数(受理地別・原数値)を前年同月と比べると、増えた産業と減った産業がはっきり分かれます。

図: 製造業、建設業、運輸業・郵便業は前年より増えた産業。宿泊業・飲食サービス業、金融業・保険業、情報通信業は前年より減った産業
図解4|前年より増えた産業と減った産業
産業 2026年8月の新規求人数 前年同月比
建設業 867人 11.4%増
製造業 1,392人 57.8%増
情報通信業 87人 20.9%減
運輸業、郵便業 424人 13.4%増
卸売業、小売業 1,086人 0.1%減
金融業、保険業 29人 53.2%減
宿泊業、飲食サービス業 470人 14.5%減
医療、福祉 1,605人 2.1%減
サービス業(他に分類されないもの) 1,414人 17.4%増
公務、その他 98人 30.5%減
合計 8,180人 8.1%増

出典:岩手労働局「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」Ⅱ-②(PDF)

前年より増えた産業

製造業の内訳を見ると、電気機械器具製造業が171人で前年同月の4倍以上(317.1%増)、電子部品・デバイス・電子回路製造業が154人で3倍(202.0%増)、金属製品製造業が118人(71.0%増)、はん用機械器具製造業が229人(46.8%増)、食料品製造業が264人(24.5%増)です。一方、輸送用機械器具製造業は40人で35.5%減、そのうち自動車・同附属品製造業は37人で38.3%減でした。製造業全体の増加は、電気・電子と機械・金属が引っ張り、自動車関連は減っています。北上の有効求人倍率2.06倍(前年同月差0.59ポイント増)と合わせて読むと、内陸の製造業の採用が強まっている様子が見えます。

建設業は867人(11.4%増)、運輸業・郵便業は424人(13.4%増)、サービス業(他に分類されないもの)は1,414人(17.4%増)でした。

前年より減った産業

宿泊業・飲食サービス業は470人で14.5%減、そのうち宿泊業が149人(12.4%減)、飲食店が308人(13.2%減)です。金融業・保険業は29人で53.2%減、情報通信業は87人で20.9%減でした。医療・福祉は1,605人で2.1%減ですが、内訳は医療業が599人(8.5%増)、社会保険・社会福祉・介護事業が987人(8.9%減)と、方向が分かれています。

事業所の規模別では300人以上の増加が大きい

新規求人数を事業所の規模別に見ると、29人以下が5,045人(4.7%増)、30〜99人が2,001人(11.4%増)、100〜299人が664人(11.6%増)、300〜499人が192人(35.2%増)、500〜999人が183人(45.2%増)、1,000人以上が95人(5.6%増)です。件数の大半は29人以下の事業所ですが、伸び率は300〜999人の事業所が高くなっています。

正社員は0.99倍|新規求人に占める正社員の割合は48.4%

正社員の有効求人倍率(受理地別・原数値)は0.99倍で、前年同月より0.08ポイント上がりました。全体の倍率が1倍を超えていても、正社員だけなら求人1件に求職者1人という水準です。資料の注にあるとおり、この倍率は正社員の有効求人数を常用フルタイムの有効求職者数で割ったもので、分母にはフルタイムの派遣労働者や契約社員を希望する人も含まれるため、厳密な意味での正社員の倍率より低い値になります。

新規求人数に占める正社員の割合は48.4%(前年同月差2.9ポイント増)、就職件数に占める正社員の割合は42.1%(4.5ポイント減)でした。産業別の正社員の割合は、建設業89.3%、運輸業・郵便業73.1%、学術研究・専門・技術サービス業68.5%、不動産業・物品賃貸業61.5%、製造業59.3%、医療・福祉48.1%、教育・学習支援業32.4%、卸売業・小売業31.4%、サービス業(他に分類されないもの)31.2%、生活関連サービス業・娯楽業21.6%、宿泊業・飲食サービス業20.6%です。

安定所別の正社員の倍率は、北上1.43倍、水沢1.21倍、宮古1.11倍、花巻1.06倍、一関1.03倍、二戸0.96倍、盛岡0.88倍、大船渡0.86倍、久慈0.83倍、釜石0.78倍で、内陸計1.01倍、沿岸計0.90倍でした。

採用計画に落とす手順

1. 自社の安定所の数字を受理地別と就業地別で見る

県平均ではなく、自社の事業所がある安定所の行を見ます。採用する側が見るのは就業地別です。沿岸の会社なら0.9倍前後、北上や水沢なら2倍前後と、前提がまったく違います。

2. 同じ産業の新規求人の増減と正社員の割合を見る

自社と同じ産業の新規求人が前年より増えていれば、同じ人材を取り合う会社が増えています。正社員の割合が高い産業(建設業・運輸業)では正社員求人が標準で、パート中心の産業(宿泊・飲食、小売)では条件の見せ方が違います。

3. 求人賃金の相場と並べる

倍率だけでは条件を決められません。職業別の求人賃金は岩手の職業別求人賃金2026|求人下限204,437円・希望210,396円で、県内の生産や小売の動きは岩手県の景況2026|生産指数153.6・小売は6か月ぶり減で整理しています。

4. 公表の周期をカレンダーに入れる

一般職業紹介状況は毎月、翌月末から翌々月初に前月分が公表されます。8月分は10月2日でした。同じ日に全国分も出るので、県と全国を同じ月で並べられます。

生成AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業

任せてよい作業

  • 資料のPDFから、自社の安定所と産業に該当する行を抜き出すこと。抜き出した数字は原本のPDFで照合します
  • 抜き出した数字をもとにした社内向けの要約文の下書き
  • 前年同月比の説明。「増減数」と「増減率」のどちらを使ったかを明記させます

任せない作業

  • 数字の最終確認。表の読み取りで列がずれることがあるので、人が原本で確かめます
  • 季節調整値と原数値の判断。どちらの値を使うかは人が決めます
  • 採用の意思決定。倍率は材料であって、採用の人数や条件は会社が決めます

プロンプトの例

あなたは岩手県内の中小企業の採用担当の補助です。
添付した「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」のPDFから、
次の3つを抜き出して表にしてください。

1. 安定所「一関」の有効求人倍率(受理地別・原数値)と、就業地別の有効求人倍率
2. 産業「建設業」の新規求人数と前年同月比
3. 建設業の新規求人に占める正社員の割合

・季節調整値と原数値のどちらかを、数字ごとに書く
・資料に無い数字は書かず、「資料に無い」と書く
・最後に「原本のPDFで照合すること」と1行入れる

出す前に自分で戻して確認する

生成AIが作った表は、原本のPDFで照合してから社内に回します。確認するのは、安定所の行、産業の行、季節調整値か原数値か、前年同月比の基準(令和7年8月)の4点です。

図: 任せてよい作業は該当する行を抜き出す、社内向けの要約文、前年同月比の説明。任せない作業は数字の最終確認、季節調整値と原数値の判断、採用の意思決定。原本のPDFで照合
図解5|生成AIに任せてよい作業と、任せない作業

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よくある質問

Q. 8月分の有効求人倍率はいくつですか。
A. 受理地別・季節調整値で1.21倍です。前月の1.16倍から0.05ポイント上がり、4か月連続で前月を上回りました。

Q. 全国と比べて岩手は高いのですか。
A. 全国は1.18倍で、岩手の1.21倍は47都道府県の21位です。東北では山形1.36倍、福島1.24倍が岩手より上です。

Q. 受理地別と就業地別はどちらを見ればよいですか。
A. 自社の地域で人を採る側は就業地別を見ます。8月分は就業地別が1.29倍で、受理地別の1.21倍より0.08ポイント高い値です。

Q. 沿岸の数字はどうでしたか。
A. 沿岸計は0.92倍で前年同月と同じです。釜石0.95倍、宮古1.00倍、大船渡0.86倍、久慈0.84倍でした。

Q. 製造業の求人が増えた理由は資料に書いてありますか。
A. 資料は産業別の件数と前年同月比を示すだけで、理由は書いていません。内訳では電気機械器具が4倍以上、電子部品・デバイス・電子回路が3倍に増え、自動車関連は減っています。

Q. 正社員の倍率0.99倍は何を意味しますか。
A. 正社員の有効求人数を常用フルタイムの有効求職者数で割った値で、求人1件に求職者1人という水準です。分母に派遣や契約社員を希望する人も含まれるため、厳密な正社員の倍率より低めに出ます。

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参考・出典