安比高原スキー場(八幡平市)、夏油高原スキー場(北上市)、網張温泉スキー場(雫石町)など、全国的に知られたスキー場を複数抱える岩手県。岩手県商工労働観光部の統計によると、令和6年シーズン(令和5年11月〜令和6年4月)の県内スキー場入込客数は68万4,207人回で、前シーズンから5.6%増加しました。訪日外国人スキーヤーの増加も重なり、ゲレンデの現場では「積雪・コース状況の毎日の発信」「早期割引やシーズン券の案内」「多言語対応」「予約受付」といった文章仕事が急に増えています。この記事は、岩手のスキー場・ウィンタースポーツ施設が、ChatGPTをはじめとする生成AIを使って、これらの文章仕事を軽くするための実践ガイドです。雪崩リスクの判定やコース閉鎖の可否など、安全に直結する技術的判断はAIの対象外であることを前提に、明日から試せる使い方を解説します。
この記事の要点
- 岩手県の統計では、令和6年シーズンの県内スキー場入込客数は68万4,207人回・前年比5.6%増(36,418人回増)。ゲレンデの繁忙期対応が年々重くなっている
- 観光庁は「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」(令和2年度開始)で、スノーリゾートを訪日外国人の地方長期滞在・消費拡大の鍵となるコンテンツと位置づけ、インストラクター確保や情報発信の強化を支援している
- AIが効くのは「積雪・コース状況の日次発信」「早期割引・シーズン券の案内文」「悪天候時の運休告知」「スクール・レンタル予約の受付文」「多言語案内」「季節スタッフの求人票」の6領域
- 雪崩リスク評価・コース閉鎖の可否・リフトや索道設備の安全点検といった技術的な安全判断は必ず有資格スタッフが行い、AIには任せない
- プロンプト例を6つ掲載。秋(9〜11月)のシーズン前準備での使い方と、岩手の相談窓口・活用できる補助金も紹介
対象読者
- 岩手県内のスキー場・ゲレンデの運営会社・支配人・広報担当
- スキースクール・レンタルショップを運営する事業者
- スキー場に隣接する温泉旅館・民宿・飲食店で冬季の情報発信を担当する人
- 自治体・観光協会でウィンタースポーツ誘客を担当する職員
読了後にできること
- 積雪・ゲレンデコンディションのSNS投稿文をAIで毎日数分で下書きできる
- 秋のうちに早期割引・シーズン券の案内文をAIで準備できる
- 悪天候・強風時のリフト運休告知文を落ち着いて発信できる
- スキースクール・レンタルの予約受付や、インバウンド向けの多言語案内の下書きを作れる
- 「AIに任せてよい仕事」と「有資格スタッフが必ず判断すべき仕事」を社内で切り分けられる
岩手のスキー場・ゲレンデが直面している2つの変化
岩手県には安比高原・夏油高原・網張温泉・岩手高原スノーパークなど、規模もタイプも異なる複数のスキー場が立地しています。その現場は、いま2つの変化にさらされています。
変化1:季節雇用のなかで発信業務が増えている
スキー場の多くは冬季だけ人員を大きく増やす季節雇用型の運営です。限られた人数・限られた期間のなかで、公式サイト・SNSの更新、リフト券案内、予約対応まで回さなければならず、現場の負担は年々重くなっています。人手不足そのものへの向き合い方は、業種を問わず共通する部分が多く、岩手の人手不足をAIで補う完全ガイドで紹介している考え方もあわせて参考にしてください。
変化2:増える訪日外国人スキーヤーへの対応
観光庁は「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」を令和2年度から実施し、スノーリゾートを「訪日外国人旅行者の地方での長期滞在や消費拡大を図る上で、鍵となるコンテンツ」と位置づけています。同事業では、リフト・ゴンドラなど索道施設の整備支援に加えて、インストラクターの確保や情報発信の強化も支援対象になっています。岩手県内でも、外国人インストラクターの増員や初心者向けエリアの新設など、受け入れ態勢を強化する動きが報じられています(岩手日報2024年12月9日)。多言語での案内発信は、これまで以上に現場の実務課題になっています。
領域1:積雪・ゲレンデコンディションの日次発信
「今日の積雪」「圧雪状況」「オープンコース」などの情報は、スキーヤーが毎日チェックする最重要コンテンツです。数値や事実は現場の実測データをそのまま使い、AIには「読みやすい投稿文への整形」だけを任せます。
プロンプト例①:積雪・コンディションの日次SNS投稿文
スキー場の広報担当です。次の本日のゲレンデ情報をもとに、SNS(X・Instagram)向けの投稿文を140字程度で作ってください。事実だけを簡潔に伝え、誇張表現は使わないでください。
【本日の情報】(積雪量・天候・オープンコース・圧雪状況などを箇条書きで貼り付ける)
公式サイトのコンディション欄も同時に整える
SNS用の短い文章とあわせて、公式サイトに載せる少し詳しい説明文もAIに作らせておくと、更新作業が一度で済みます。「SNS向けは140字」「サイト向けは300字」のように分量を指定すると、そのまま使いやすい下書きになります。
領域2:秋のうちに準備する早期割引・シーズン券の案内文
9〜11月の秋は、多くのスキー場にとって次シーズンの準備期間です。早期割引リフト券・シーズン券の告知、スタッフ研修、圧雪・索道設備の点検など、開業前にやることが集中します。案内文の下書きは、この秋のうちにAIでまとめて用意しておくと、繁忙期に慌てずに済みます。
プロンプト例②:早期割引シーズン券の案内文(秋の告知)
スキー場のシーズン券・早期割引の案内文を作ってください。対象は「毎年滑りに来る常連のお客様」で、購入期限を意識してもらえるよう、丁寧かつ簡潔なトーンにしてください。価格・期限・購入方法は空欄にしておくので、実際の情報をあとで入れます。
【今シーズンの特徴】(新コース・リフト改修・イベント予定などを箇条書きで記入する)
領域3:悪天候・強風時のリフト運休告知
強風・大雪・視界不良などでリフトの運行を止める場合、来場者への告知は迅速さと正確さの両方が求められます。運休の可否そのものは必ず現場責任者が判断し、AIには「決まった内容を、わかりやすい告知文に整える」作業だけを任せます。
プロンプト例③:リフト運休の告知文
次の運行状況をもとに、来場者向けの告知文を作ってください。不安をあおらず、次の情報更新の見込み時刻も添えて、落ち着いた文章にしてください。
【運行状況】(運休対象のリフト名・理由・再開見込みなどを記入する)
領域4:スキースクール・レンタルの予約受付
スキースクールの予約、板・ウェアのレンタル問い合わせは、繁忙期には電話・メール・LINEで一気に集中します。よくある質問と回答パターンを渡しておけば、返信文の下書きをAIに任せられます。日程・在庫・料金は必ず自社の実際の状況を確認してから返信してください。
プロンプト例④:レンタル・スクール予約への返信下書き
スキー場のレンタル・スクール受付担当です。次のお問い合わせに対する、丁寧で簡潔な返信文の下書きを作ってください。空き状況・料金は「確認のうえご案内します」という表現にしてください。
【問い合わせ内容】(お客様からのメッセージを貼り付ける。※氏名・電話番号など個人情報は外して貼る)
近隣の宿泊施設との情報共有にも使える
スキー場に隣接する温泉旅館・民宿では、宿泊客からゲレンデ状況やアクセスを聞かれることも多くあります。宿泊予約対応や多言語接客の考え方は、岩手の温泉旅館・旅館組合のAI活用ガイドで詳しく解説しています。あわせて読むと、ゲレンデと宿泊施設双方の情報発信を一貫させやすくなります。
領域5:多言語対応(インバウンド案内)
訪日外国人スキーヤーへの案内は、日本語の案内文をベースに多言語版を用意する形が現実的です。専門用語(圧雪・コブ・非圧雪コースなど)は誤解のない表現に置き換えたうえで、AIに翻訳・整形させます。安全に関わる注意事項は、翻訳後に必ず現地スタッフやネイティブ確認を通してください。
プロンプト例⑤:ゲレンデ案内の多言語版下書き
次の日本語のゲレンデ案内文を、英語と簡体字中国語に翻訳してください。スキー未経験者にも伝わるよう、専門用語はやさしい言い換えを添えてください。安全に関する注意事項は特に正確に訳してください。
【案内文】(日本語の案内文をここに貼り付ける)
領域6:季節スタッフの求人票
リフト係・パトロール補助・レストラン staff・受付など、シーズン限定の求人は毎年秋に出す施設が多くあります。職場の特徴を箇条書きで渡せば、求職者に伝わりやすい求人票の下書きをAIが作れます。給与・勤務条件・寮の有無などの事実情報は、必ず正確な内容に直してください。
プロンプト例⑥:季節スタッフ求人の職場紹介文
スキー場の季節スタッフ(シーズンスタッフ)の求人です。次の特徴をもとに、求職者に魅力が伝わる職場紹介文の下書きを作ってください。誇張は避け、シーズン限定の働き方であることが伝わるようにしてください。
【職場の特徴】(業務内容・勤務期間・寮の有無・研修体制などを箇条書きで記入する)
ゲレンデでAIを使うときの禁止事項(必読)
スキー場は来場者の安全と個人情報を預かる現場です。次の判断・情報はAIに任せないでください。
- 安全に直結する技術的判断:雪崩リスクの評価、コース閉鎖・オープンの可否、リフト・索道設備の安全点検、当日の運行可否判断は、必ず索道技術管理者・パトロール隊など有資格スタッフが行う。AIは判断材料の整理や告知文づくりまでにとどめる
- 来場者の個人情報:氏名・住所・電話番号・クレジットカード情報・予約番号
- けが人・事故の詳細情報:事故報告書の下書きに使う場合も、氏名など個人が特定される情報は外す
- 未確認の積雪・コース情報:現場で確認していない数値や状況をAIに推測させて発信しない
よくある失敗パターンと改善
❌ 失敗①:リフト運休の判断そのものをAIに相談する
⭕ 改善:運行可否は必ず現場責任者・索道技術管理者が判断する。AIは、決まった内容を来場者にわかりやすく伝える告知文づくりだけに使う。
❌ 失敗②:積雪データを「だいたいこれくらい」とAIに補完させる
⭕ 改善:積雪量・オープンコースなどの数値は必ず実測・現場確認したものを使い、AIには文章の整形だけを任せる。
❌ 失敗③:多言語案内をAI任せで確認せずに公開する
⭕ 改善:安全注意事項を含む翻訳文は、公開前に現地スタッフやネイティブ確認を通す。誤訳がそのまま事故につながる可能性がある。
❌ 失敗④:予約者の氏名・電話番号をそのままAIに貼る
⭕ 改善:問い合わせ文をAIに貼る前に、個人情報を含む部分を必ず外す習慣をつける。
AI・IT導入に使える補助金:デジタル化・AI導入補助金2026
中小企業・小規模事業者がITツールやAI関連ソフトウェアを導入する費用の一部を補助する「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金/中小企業庁)が2026年も公募されています。スキー場の予約管理システム・多言語対応チャットツール・顧客管理などの導入も対象となりえます。
通常枠の概要(2026年時点)
- 補助率:導入費用の1/2以内(最低賃金近傍の事業者など要件を満たす場合は2/3以内)
- 補助額:5万円〜450万円(プロセス数・要件により異なる)
- 対象ツール:予約管理・顧客管理・多言語対応・会計等に対応するITツール・AI機能付きソフトウェア
申請には「IT導入支援事業者」を通じた手続きが必要です。最新の公募スケジュール・要件・申請方法は事務局ポータルサイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)で必ず確認してください。
岩手のスキー場・ゲレンデでAI活用を始める5ステップ
- 秋のシーズン前準備の期間中に、無料ツール(ChatGPT無料版など)で「SNS投稿文の下書き」を1件だけ試してみる
- 試した結果をスタッフ間で共有し、「使えた点」「修正が必要だった点」をメモする
- 「入力禁止情報リスト」(来場者の氏名・連絡先・予約番号・安全判断そのもの)を1枚にまとめ、季節スタッフにも配布する
- 岩手県内の公的な無料相談窓口を活用し、自社に合ったツール・補助金を専門家に相談する
- 効果が見えてきたら、どの業務でどれだけ時間短縮できたかを記録し、来シーズンの体制づくりの判断材料にする
相談できる岩手の窓口
- 岩手県よろず支援拠点(電話 019-631-3826/盛岡市北飯岡):中小企業・小規模事業者の経営相談を無料で受付。IT・AI活用の相談も対応。設置機関は(公財)いわて産業振興センター
- 地域の商工会議所・商工会:補助金申請・経営相談の身近な窓口
まとめ:季節雇用の現場こそAIで発信・受付を軽くする
岩手のスキー場・ゲレンデは、限られた季節・限られた人数のなかで、積雪発信・案内・予約対応という文章仕事を回さなければならない現場です。安全に直結する技術的判断は必ず有資格スタッフが担いながら、日々の発信や案内文づくりをAIで軽くする発想が、これからのシーズン運営には有効です。
大切なのは次の3原則です。
- 雪崩リスク・運休判断・安全点検などの技術的判断は、必ず有資格スタッフが行う
- 来場者の個人情報・事故の詳細情報は絶対にAIに渡さない
- 秋のシーズン前準備のうちに、小さく1つだけ試して効果を確認する
この記事のプロンプト例を参考に、まず「積雪情報のSNS投稿文」か「早期割引の案内文」を1つだけ試してみてください。秋のうちの小さな準備が、シーズン中の現場の余裕につながります。
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よくある質問
Q. リフトの運休判断や雪崩リスクの評価にAIを使ってもいいですか?
使わないでください。運行可否・雪崩リスクの評価は、索道技術管理者やパトロール隊など有資格スタッフが現場の状況を見て判断すべき技術的判断です。AIが担えるのは、決まった内容を来場者にわかりやすく伝える告知文づくりまでです。
Q. 多言語対応はどこまでAIに任せられますか?
日本語の案内文をベースにした翻訳・言い換えの下書きまでは任せられます。ただし、安全注意事項を含む文章は、公開前に必ず現地スタッフやネイティブによる確認を通してください。誤訳がそのまま事故や誤解につながるおそれがあります。
Q. AI導入の費用に補助金は使えますか?
予約管理・多言語対応ツール・顧客管理などのITツール導入は、「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)の対象となりえます。要件・補助率は年度・枠で変わるため、事務局ポータルや岩手県よろず支援拠点で最新情報を確認してください。
参考・出典
- 岩手県商工労働観光部観光・プロモーション室「いわての観光統計」スキー客の入込動向(令和6年シーズン)
- 観光庁「国際競争力の高いスノーリゾートの形成」(国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業)
- 岩手日報「岩手県内スキー場、受け入れ態勢を強化 インバウンドへ対応」(2024年12月9日)
- デジタル化・AI導入補助金2026事務局ポータル(補助率・補助額・対象)
- 岩手県よろず支援拠点(電話 019-631-3826・無料経営相談)
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