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岩手の製造品出荷額3兆4,231億円|市町村別と業種別の読み方

岩手の製造品出荷額3兆4,231億円|市町村別と業種別の読み方

この記事の要点

  • 総務省・経済産業省が2026年7月29日に公表した2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)によると、岩手県の製造品出荷額等は2024年の1年間で34,231億円、全国順位は29位です。事業所数は2,016事業所、従業者数は85,061人です。
  • 業種別では輸送用機械器具製造業が25.4%で最も大きく、電子部品・デバイス・電子回路製造業13.5%、食料品製造業13.1%が続きます。全国の1位から3位は輸送用機械、食料品、化学工業なので、岩手は電子部品の比重が高い県です。
  • 従業者300人以上の事業所は41事業所しかありませんが、製造品出荷額等は1,856,720百万円で県全体の半分を超えます。事業所の数で見るか、金額で見るかで「岩手の製造業」の姿は変わります。
  • 市町村別では金ケ崎町、北上市、奥州市の3つで県の製造品出荷額等の半分以上を占めます。県平均で自社の商圏を語ると外れます。
  • 「岩手県の製造業の事業所数」は統計によって3,483にも2,016にもなります。個人経営を含むかどうか、基準日がいつかで数字が変わるので、資料には調査名と基準日を必ず添えます。生成AIには、数字を確定させたあとの説明文の下書きや表の整形を任せます。

岩手県の製造業の数字は4つ(早見表)

まず県全体の4つの数字を押さえます。出典は総務省・経済産業省が2026年7月29日に公表した「2025年経済構造実態調査二次集計結果<製造業事業所調査>結果の概要」です(総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査二次集計結果<製造業事業所調査>結果の概要」(2026年7月29日))。

岩手県と全国の事業所数・従業者数・製造品出荷額等・付加価値額を並べた表型の図
2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)の岩手県と全国の4つの数字

県全体と全国の比較

項目 岩手県 全国 岩手県の構成比
事業所数 2,016事業所 214,719事業所 0.9%
従業者数 85,061人 7,612,095人 1.1%
製造品出荷額等 34,231億円 3,816,540億円 0.9%
付加価値額 9,891億円 1,172,071億円 0.8%

製造品出荷額等の都道府県別順位は、2023年実績の31位から2024年実績では29位に上がりました。順位と構成比は結果の概要の第5表・第6表に載っています。

4つの数字のうち、事業所数と従業者数は2025年6月1日現在の値で、製造品出荷額等と付加価値額は2024年1月から12月までの1年間の値です。同じ資料の中で基準日が2つあるので、資料に引用するときは「事業所数は2025年6月1日現在」「出荷額は2024年実績」と分けて書きます。

この統計の対象にならない事業所

製造業事業所調査は、個人経営の事業所を含みません。管理や補助的な経済活動だけを行う事業所(本社機能だけの拠点など)と、製造品目別に出荷額が得られなかった事業所も集計から外れています。つまり2,016事業所は「岩手県にある製造業の全事業所」ではなく、「個人経営を除き、製造品の出荷額が把握できた事業所」の数です。

この違いは後の「2つの統計で事業所数が違う理由」で扱います。数字を引用する側は、まず「個人経営を含まない」という1行を数字の横に添えておけば十分です。

前回調査の数字と単純に比べない

前回にあたる2024年調査(2023年実績)では、岩手県の事業所数2,114、従業者数86,083人、製造品出荷額等31,247億円、付加価値額9,056億円が公表されていました(総務省・経済産業省「2024年経済構造実態調査二次集計結果<製造業事業所調査>結果の概要」(2025年8月29日))。

ただし今回の2025年調査は、令和6年経済センサス‐基礎調査の結果を反映した最新の事業所母集団データベースで集計しています。前回の数値は母集団が違うため、結果の概要の利用上の注意でも、前回分は基礎調査の結果を反映して再集計した「参考値」を別途公表したと書かれています。前年比を出したいときは、この参考値と比べる必要があります。公表値どうしを引き算して「事業所が98減った」と書くのは避けてください。

業種別|輸送用機械25.4%、電子部品13.5%、食料品13.1%

上位3業種と全国との違い

結果の概要の第6表は、都道府県ごとに製造品出荷額等の上位3業種と構成比を載せています。岩手県は次のとおりです。

中央の製造品出荷額等から岩手県の上位3業種へ枝分かれした図
岩手県の製造品出荷額等の上位3業種と構成比
順位 業種 岩手県の構成比
1位 輸送用機械器具製造業 25.4%
2位 電子部品・デバイス・電子回路製造業 13.5%
3位 食料品製造業 13.1%

全国の上位3業種は輸送用機械21.5%、食料品9.2%、化学工業9.0%です。岩手は輸送用機械の比重が全国より高く、全国では上位に入らない電子部品・デバイス・電子回路製造業が2位に入ります。北上川流域に自動車と半導体の関連工場が集まっている県の構造がそのまま出ています。キオクシアの北上工場についてはキオクシア北上のK3(Fab3)の記事で投資額と稼働時期を整理しています。

業種別の事業所数と出荷額は別の顔をしている

e-Statに載っている地域別統計表の第1表には、岩手県の産業中分類別の値が入っています(総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査 地域別統計表」(2026年7月29日))。上位業種を事業所数と並べると次のようになります。

業種 事業所数 従業者数 製造品出荷額等(百万円)
輸送用機械器具製造業 53 7,984人 870,959
電子部品・デバイス・電子回路製造業 70 10,458人 463,417
食料品製造業 422 17,642人 447,420
生産用機械器具製造業 187 9,037人 423,879
製造業計 2,016 85,061人 3,423,119

出荷額で1位の輸送用機械器具製造業は、事業所数では53です。一方、食料品製造業は事業所数422、従業者数17,642人で、どちらも県内の業種で最も多い数です。「岩手の製造業で最も大きい業種」は、金額なら輸送用機械、事業所や働く人の数なら食料品になります。営業先を数えるなら事業所数、市場規模を語るなら出荷額と、目的で使う列を変えてください。

食品製造業の現場でAIを使う手順は岩手の食品製造業がAIで衛生記録と商品説明を整える方法にまとめています。また、県内の外国人労働者の半数以上が製造業で働いており、その中心が食料品製造業であることは岩手県の外国人労働者数の記事で確認できます。

従業者規模別|300人以上の41事業所が出荷額の半分超

同じ地域別統計表の第2表は、従業者規模別の値です。岩手県の6区分を並べます。

従業者規模の小さい順に事業所数を階段状に並べた図
岩手県の製造業を従業者規模別に見た事業所数
従業者規模 事業所数 従業者数 製造品出荷額等(百万円)
1人〜9人 767 3,547人 75,765
10人〜19人 415 5,818人 117,284
20人〜29人 245 6,012人 124,924
30人〜99人 420 22,371人 484,413
100人〜299人 128 20,984人 764,013
300人以上 41 26,329人 1,856,720
計 2,016 85,061人 3,423,119

事業所の数と金額で見え方が逆になる

従業者29人以下の3区分を足すと1,427事業所で、県内の製造業の事業所の7割が29人以下です(出典の値から筆者が計算)。ところが製造品出荷額等で見ると、300人以上の41事業所が1,856,720百万円で、県全体3,423,119百万円の半分を超えます。

この構造は、県内向けの営業や支援策を考えるときの前提になります。件数を稼ぐなら29人以下の1,427事業所が母数ですが、金額の大半は41の大規模事業所に集中しています。中小製造業向けのサービスを設計するなら、対象は「事業所数では多いが、出荷額では1割に満たない層」だと最初に確認しておくと、見込みの数字がぶれません。

中小製造業のAI活用は文書から

29人以下の事業所では、専任のIT担当がいないことがほとんどです。生成AIを入れるなら、日報や検査記録、引き継ぎメモといった「毎日書く文書」から始めるのが現実的です。具体的な手順は岩手の製造業×AI|日報・検査記録・引き継ぎメモの書き方にまとめています。

市町村別|金ケ崎町・北上市・奥州市で県の半分超

地域別統計表の参考表には、市区町村別の産業中分類別の値が載っています。単位が万円なので、県の表(百万円)と混ぜないように注意してください。製造業計の上位を並べます。

製造品出荷額等の小さい市町村から大きい市町村へ右上がりに並べた図
岩手県内で製造品出荷額等が大きい市町村の順
市町村 事業所数 従業者数 製造品出荷額等(万円) 億円に換算
金ケ崎町 34 6,925人 90,619,367 約9,062億円
北上市 235 16,152人 57,039,924 約5,704億円
奥州市 250 10,122人 48,256,603 約4,826億円
花巻市 202 8,040人 26,813,109 約2,681億円
一関市 239 10,375人 21,961,072 約2,196億円
釜石市 64 2,715人 14,056,250 約1,406億円
盛岡市 179 5,183人 12,623,648 約1,262億円

出荷額の1位は北上市ではなく金ケ崎町

事業所数で最も多いのは奥州市の250、次いで一関市239、北上市235です。ところが製造品出荷額等で最も大きいのは金ケ崎町で、事業所数は34しかありません。従業者300人以上の事業所が金ケ崎町に4つあることが参考表から読み取れます。

金ケ崎町、北上市、奥州市の3つを足すと195,915,894万円で、県全体の製造品出荷額等の半分を超えます(出典の値から筆者が計算)。県庁所在地の盛岡市は事業所数179に対して出荷額は約1,262億円で、製造業の中心は盛岡ではなく北上川流域の胆江・北上地域にあります。北上市内の業種別の使いどころは北上市のAI活用ガイドで扱っています。

沿岸は事業所数より従業者の比重が高い

県の統計で内陸と沿岸を分けると、沿岸の製造業は事業所数では7.4%ですが、従業者数では19.5%を占めます(令和3年経済センサス‐活動調査の県集計。次の節で扱います)。釜石市が事業所数64で出荷額約1,406億円と、事業所あたりの規模が大きいのも同じ構造です。沿岸の水産加工や鉄鋼の現場を対象にするなら、事業所の数ではなく、働く人の数で規模を見てください。

2つの統計で事業所数が違う理由

「岩手県の製造業の事業所数」を調べると、3,483と2,016の両方が出てきます。どちらも公式の値で、間違いではありません。

左の経済センサスの事業所数から、除外条件のゲートを通って右の製造業事業所調査の事業所数へ至る図
経済センサスと製造業事業所調査で岩手県の製造業の事業所数が違う理由

経済センサスは個人経営を含む

岩手県ふるさと振興部が令和5年9月にまとめた「令和3年経済センサス‐活動調査(確報)産業横断的集計 結果の概要」では、令和3年6月1日現在の県内の製造業は3,483事業所、従業者数90,009人です(岩手県ふるさと振興部「令和3年経済センサス‐活動調査(確報)産業横断的集計 結果の概要」(令和5年9月))。製造業は県内の従業者数で卸売業,小売業に次ぐ2位で、従業者全体の17.4%を占めます。

この集計は民営事業所が対象で、個人経営の製造所も入ります。内陸と沿岸に分けると、内陸は2,662事業所・73,156人、沿岸は821事業所・16,853人です。

製造業事業所調査は個人経営を除き、出荷額が取れた事業所だけ

一方、2025年経済構造実態調査の製造業事業所調査は、個人経営を除き、管理・補助的な経済活動だけの事業所も除き、製造品目別に出荷額が得られた事業所だけを集計しています。基準日も2025年6月1日で、経済センサスの2021年6月1日とは4年ずれています。

つまり2つの数字の差は、主に「個人経営を含むか」「本社機能だけの拠点を含むか」「基準日がいつか」の3点から生まれます。どちらを使うかは目的で決めます。県内の製造業に関わる事業所を漏れなく数えたいなら経済センサス、出荷額や付加価値額と一緒に語りたいなら製造業事業所調査です。

資料に書くときの3点セット

数字の横に「調査名」「基準日」「個人経営を含むかどうか」の3つを書きます。たとえば「岩手県の製造業は2,016事業所(2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査、2025年6月1日現在、個人経営を除く)」という形です。この3点があれば、翌年の更新時に値を差し替えるだけで済みます。県内の統計の探し方全般は岩手県の統計データの探し方にまとめています。

県の施策とつなげて読む|半導体関連産業振興ビジョン

岩手県は「いわて半導体関連産業振興ビジョン」を2020年度から2028年度までの期間で進めています(岩手県「いわて半導体関連産業振興ビジョン」)。担当は商工労働観光部ものづくり自動車産業振興室の半導体産業振興担当で、基本戦略は「企業誘致と既立地企業の業容拡大による産業集積」「県内企業の新規参入・取引拡大」「人材育成・確保」の3つです。

統計の業種とビジョンの対象は一致しない

電子部品・デバイス・電子回路製造業は、岩手県の製造品出荷額等の13.5%を占める2位の業種です。ただし、ビジョンでいう半導体関連産業は、装置や材料、輸送用機械の一部にもまたがるため、統計上の1つの業種と同じ範囲ではありません。電子部品・デバイス・電子回路製造業の出荷額を「半導体関連産業の出荷額」と言い換えて書くのは避けてください。

県内企業が使える窓口

ビジョンのもとで、県は人材育成施設のいわて半導体関連人材育成施設(I-SPARK)と、いわて半導体関連産業集積促進協議会(I-SEP)を置いています(いわて半導体関連産業集積促進協議会(I-SEP))。新規参入や取引拡大を考える県内企業は、統計で自社の業種の位置を確認したうえで、協議会の窓口に相談する流れになります。県のAI半導体クラスター計画の内容はフィジカルAIと岩手県のAI半導体クラスター計画の記事で扱っています。

生成AIに任せる工程、人がやる工程

人がやる工程

どの統計を使うか、どの年次と基準日を引くか、個人経営を含む数字かどうかの判断は人がやります。生成AIに「岩手県の製造品出荷額は」と尋ねて出てきた数字をそのまま載せるのは避けてください。学習時点の古い工業統計の値や、従業者4人以上に限った旧集計の値、全国値との取り違えが混ざります。数字はe-Statの統計表か結果の概要から取ります。

数字の確定から人の照合までを左から右へ並べ、生成AIに任せる工程を示した図
統計の数字を資料に使うときの工程と、生成AIに任せる範囲

市町村別の表はとくに注意が必要です。単位が万円で、県の表は百万円です。AIに2つの表を渡して換算させると、桁を間違えても文章としては自然に読めてしまいます。換算は人が電卓で確かめてから渡してください。

AIに任せる工程

数字を確定させたあとの作業は任せられます。具体的には、確定した数値を使った説明文の下書き、経営会議向けと現場向けの書き分け、表の体裁の整え、補助金申請書の「地域の産業構造」欄の文案づくりです。

プロンプトには「次の数字だけを使う」「数字を足したり丸めたりしない」「調査名と基準日の表記をそのまま残す」の3つを入れます。検索機能は切り、渡した数字の範囲で書かせるほうが事故が減ります。

プロンプトの例

次のように、数字と出典を先に固定してから依頼します。

以下の数字だけを使って、社内の経営会議向けに岩手県の製造業の概況を300字で書いてください。
数字を足したり丸めたりしないでください。調査名と基準日はそのまま残してください。

- 事業所数 2,016事業所(2025年6月1日現在、個人経営を除く)
- 従業者数 85,061人(同上)
- 製造品出荷額等 34,231億円(2024年実績)、全国29位
- 上位業種 輸送用機械25.4%、電子部品・デバイス・電子回路13.5%、食料品13.1%
- 出典 総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」(2026年7月29日公表)

書き上がった文章は、数字が1つずつ元の表と一致しているかを人が照合してから使います。

よくある質問

Q. 岩手県の製造品出荷額等の最新値はいくらですか。
2024年の1年間の実績で34,231億円です。総務省・経済産業省が2026年7月29日に公表した2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)の結果の概要 第5表に載っています。都道府県別の順位は29位です。

Q. 事業所数が3,483と2,016で違うのはなぜですか。
統計が違うからです。3,483は令和3年経済センサス‐活動調査の県集計で、個人経営を含む民営事業所の2021年6月1日現在の数です。2,016は2025年経済構造実態調査の製造業事業所調査で、個人経営を除き、製造品の出荷額が得られた事業所の2025年6月1日現在の数です。

Q. 前年からどれくらい増えたかを書きたいのですが。
今回の2025年調査は母集団を最新の事業所母集団データベースに更新しているため、前回の公表値と単純に比べられません。結果の概要では、前回分を再集計した参考値を別途公表しています。前年比を書くときはその参考値を使い、出典に「参考値との比較」と添えてください。

Q. 市町村別の出荷額はどこで見られますか。
e-Statに掲載されている地域別統計表の参考表に、市区町村別・産業中分類別の値が載っています。単位は万円です。集計対象が1か2の事業所しかない箇所は「X」で秘匿されているので、小さな町村の業種別の値は出ないことがあります。

Q. 全国と比べて岩手の製造業の特徴は何ですか。
製造品出荷額等の上位業種が、全国では輸送用機械・食料品・化学工業なのに対し、岩手では輸送用機械・電子部品・デバイス・電子回路・食料品です。電子部品の比重が高い点と、金ケ崎町・北上市・奥州市に出荷額が集中している点が特徴です。

Q. 次の数字はいつ出ますか。
製造業事業所調査の二次集計は、2024年調査分が2025年8月29日、2025年調査分が2026年7月29日に公表されています。来年以降も同じ時期の公表が見込まれますが、公表予定は総務省・経済産業省の公表予定ページで確認してください。

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参考・出典