この記事の要点
- 岩手県が公表している高齢化率は、令和7年10月1日現在で36.0%です。65歳以上人口は400,034人、計算のもとになる人口は1,111,901人です。更新は年1回で、この数字は令和8年1月8日にページが更新されました。
- 高齢化率は上がっていますが、高齢者の実数は減っています。県内の65歳以上人口は令和3年の405,793人が最も多く、令和7年は400,034人です。4年で5,759人減りました。率が上がるのは分母の人口が速く減っているためです。
- 市町村別は北上市の28.6%から西和賀町の56.1%まで開きます。差は27.5ポイントで、同じ県内とは思えない幅があります。低いのは北上市・滝沢市・矢巾町、高いのは西和賀町・葛巻町・住田町です。
- 全国は2026年9月15日現在の推計で29.6%です。岩手県の36.0%は時点が約1年ずれますが、それでも全国より6ポイント以上高い水準です。
- 2050年(令和32年)の岩手県は45.9%になる見通しです。内閣府の白書の表を高い順に並べ替えると、岩手県は2024年時点で全国7番目、2050年には3番目になります。
- 資料に引用するときは「調査名・時点・年齢不詳を除いた人口で計算している」の3点を必ず添えます。生成AIには、数字を確定させたあとの説明文の下書きや表の整形を任せます。
岩手県の高齢化率は36.0%|65歳以上400,034人
県が公表しているのは、保健福祉部長寿社会課の「岩手県の高齢化率」のページです。令和7年10月1日現在の値が、県全体と33市町村分まとめて1枚のPDFで出ています(岩手県「岩手県の高齢化率」(令和8年1月8日更新))。

県計の4つの数字
| 項目 | 令和7年10月1日現在 |
|---|---|
| 総人口 | 1,126,813人 |
| うち年齢不詳分 | 14,912人 |
| ①総人口から年齢不詳分を除いた人口 | 1,111,901人 |
| ②65歳以上人口 | 400,034人 |
| 高齢化率(②÷①) | 36.0% |
高齢化率は②を①で割った値です。総人口1,126,813人で割ると35.5%になりますが、県はこの計算をしていません。年齢不詳分14,912人を先に引いてから割るのが県の方式です。この1点を押さえておくと、他の資料と数字が合わないときに原因を切り分けられます。
全国との比較は時点をそろえて読む
全国の高齢化率は、総務省統計局が敬老の日に合わせて公表する推計で分かります。2026年9月15日現在で65歳以上人口は3,624万人、総人口に占める割合は29.6%で過去最高です。前年に比べて2万人の増加でした(総務省統計局「統計トピックスNo.149 統計からみた我が国の高齢者」(令和8年9月20日))。
1年前の2025年9月15日現在は3,619万人・29.4%で、こちらは前年から5万人の減少でした(総務省統計局「統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者」(令和7年9月14日))。岩手県の36.0%は令和7年10月1日現在なので、時点が近いのは29.4%の方です。それでも差は6.6ポイントあります。「岩手は全国より6ポイント以上先に進んでいる」という言い方までが、根拠のある表現です。
率は上がり、高齢者の実数は減っている
同じページにある「高齢化率の推移」のPDFを見ると、率と実数が逆方向に動いていることが分かります。県が昭和55年から令和7年まで、高齢化率・高齢者人口・総人口の3つを並べて公表しています(岩手県「岩手県の高齢化率」(令和8年1月8日更新))。

高齢者人口のピークは令和3年の405,793人
| 年次 | 高齢化率 | 高齢者人口 | 総人口 |
|---|---|---|---|
| 令和2年 | 33.8% | 404,359人 | 1,210,534人 |
| 令和3年 | 34.3% | 405,793人 | 1,196,277人 |
| 令和4年 | 34.8% | 405,247人 | 1,180,512人 |
| 令和5年 | 35.2% | 403,825人 | 1,163,024人 |
| 令和6年 | 35.6% | 402,129人 | 1,144,407人 |
| 令和7年 | 36.0% | 400,034人 | 1,126,813人 |
高齢者人口は令和3年の405,793人が最も多く、そこから4年で400,034人まで5,759人減りました。同じ4年で総人口は1,196,277人から1,126,813人へ69,464人減っています。分子が1.4%減る間に分母が5.8%減ったので、率だけが上がりました。
「高齢者向けの需要が増える」とは言えない
この構造は、事業計画の前提として重要です。高齢化率が上がったことを根拠に「高齢者向けサービスの対象人数が増える」と書くと、県内では事実と逆になります。実数で見れば対象人数は毎年2,000人前後ずつ減っています。増えているのは「働く人・支える人に対する高齢者の比率」の方です。
採用や人手の話をするなら率を使い、利用者数や販売数量の話をするなら実数を使う。この使い分けができていない資料は、社内でも県や市の担当者相手にも通りません。実数が減る前提で施設の運営をどう組み替えるかは岩手の特養・老健・グループホームの記事で扱っています。
市町村別は28.6%から56.1%まで|差は27.5ポイント
県のPDFには33市町村すべての高齢化率が載っています。低い順と高い順の両端を並べると、県内の幅が見えます(岩手県「岩手県及び各市町村の高齢化率(令和7年10月1日現在)」)。

低い5市町村
| 市町村 | 高齢化率 | 65歳以上人口 |
|---|---|---|
| 北上市 | 28.6% | 25,628人 |
| 滝沢市 | 28.9% | 15,516人 |
| 矢巾町 | 29.5% | 7,911人 |
| 盛岡市 | 30.5% | 82,341人 |
| 金ケ崎町 | 31.3% | 4,685人 |
高い5市町村
| 市町村 | 高齢化率 | 65歳以上人口 |
|---|---|---|
| 西和賀町 | 56.1% | 2,392人 |
| 葛巻町 | 52.3% | 2,557人 |
| 住田町 | 48.5% | 2,120人 |
| 普代村 | 48.3% | 1,042人 |
| 岩泉町 | 48.3% | 3,596人 |
最も低い北上市28.6%と最も高い西和賀町56.1%の差は27.5ポイントです。西和賀町は住民の半数以上が65歳以上で、岩泉町・普代村・住田町・九戸村(48.1%)も半数に近い水準です。一方、北上市・滝沢市・矢巾町の3市町は全国平均の29.6%を下回っています。
「岩手県は」でまとめると現場とずれる
県平均の36.0%だけを資料に書くと、北上市の事業所にも西和賀町の事業所にも当てはまらない数字を提示することになります。営業先や納品先の市町村名が分かっているなら、県平均ではなくその市町村の値を使います。33市町村分が1枚のPDFに載っているので、探す手間はほとんどかかりません。
広域生活圏で見る|盛岡32.0%と二戸43.8%
県のPDFは9つの広域生活圏(圏域)ごとの小計も載せています。市町村単位より粗く、県平均より細かい単位なので、複数市町村をまとめて扱う資料に向きます。

9圏域の高齢化率
| 圏域 | 高齢化率 | 65歳以上人口 |
|---|---|---|
| 盛岡 | 32.0% | 139,024人 |
| 岩手中部 | 34.1% | 69,385人 |
| 胆江 | 36.9% | 43,860人 |
| 両磐 | 40.0% | 43,109人 |
| 気仙 | 42.1% | 21,664人 |
| 釜石 | 41.2% | 15,543人 |
| 宮古 | 42.4% | 28,281人 |
| 久慈 | 40.9% | 19,605人 |
| 二戸 | 43.8% | 19,563人 |
内陸2圏域だけが県平均を下回る
内陸の盛岡圏域32.0%・岩手中部圏域34.1%と、沿岸・県北の宮古圏域42.4%・二戸圏域43.8%で10ポイント以上の差があります。県計36.0%を上回るのは胆江以下の7圏域で、下回るのは盛岡と岩手中部の2圏域だけです。人口の多い盛岡圏域(139,024人)が県平均を押し下げているため、「県平均より低い圏域は2つしかない」という構図になります。
沿岸・県北で先に人手が細くなる前提で、記録や見守りの手間をどう減らすかという話は岩手の高齢者見守りAIの記事にまとめています。
「年齢不詳」を除く計算になっている
県のPDFには「高齢化率を求める際は、総人口から年齢不詳分を除いている」という注記があります。令和7年10月1日現在の年齢不詳分は14,912人で、総人口1,126,813人の1.3%にあたります。

除く・除かないで0.5ポイント動く
年齢不詳分を除かずに400,034人を1,126,813人で割ると35.5%です。除いて1,111,901人で割ると36.0%になります。差は0.5ポイントで、資料の結論が変わるほどではありませんが、他の資料と突き合わせたときに「数字が違う」と指摘される原因になります。
市町村別でも年齢不詳分は市町村ごとに違います。盛岡市は8,200人、北上市は1,997人、平泉町・西和賀町・住田町・九戸村などは0人です。年齢不詳分が多い市町村は、除く・除かないの差も大きくなります。
国勢調査の結果が出ると数字が入れ替わる
この数字のもとになっているのは県の「岩手県人口移動報告年報」です(岩手県「岩手県毎月人口推計・岩手県人口移動報告年報」)。国勢調査の人口をもとに毎月の増減を足し引きして推計したものなので、新しい国勢調査の結果が出ると基準そのものが置き換わります。
令和7年国勢調査の人口等基本集計は、令和8年9月29日に公表予定です。年齢別の人口が含まれるため、公表後は国勢調査の実測値から高齢化率を計算できるようになります(総務省統計局「令和7年国勢調査 調査の結果」)。長く使う資料なら、公表後に数字を確認し直す前提で作ります。県の統計そのものの探し方は岩手県の統計データの探し方の記事で解説しています。
2050年の岩手は45.9%|全国で3番目に高い見通し
将来の見通しは、内閣府の高齢社会白書の都道府県別表で確認できます。令和6年(2024年)は総務省「人口推計」、令和32年(2050年)は国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」が出典です(内閣府「令和8年版高齢社会白書」表1-1-10 都道府県別高齢化率の推移)。

岩手県は35.4%から45.9%へ
| 項目 | 令和6年(2024年) | 令和32年(2050年) |
|---|---|---|
| 65歳以上人口割合 | 35.4% | 45.9% |
| 75歳以上人口割合 | 19.7% | 29.1% |
令和6年の岩手県は総人口1,145千人、65歳以上人口405千人、75歳以上人口225千人です。65歳以上人口割合は2024年から2050年で10.5ポイント上昇する見通しです。注目すべきは75歳以上で、19.7%から29.1%へ9.4ポイント上がります。2050年の岩手県は、県民の約3割が75歳以上という姿です。
全国の並びの中での位置
同じ表の47都道府県を高い順に並べ替えると、令和6年の岩手県35.4%は7番目です。上に秋田県39.5%、高知県36.6%、青森県35.7%、徳島県35.7%、山形県35.6%、山口県35.5%が並びます。令和32年の45.9%では、秋田県49.9%・青森県48.4%に次ぐ3番目になります。
最も低い東京都でも22.7%から29.6%へ上がり、埼玉県は27.5%から35.5%へ8.0ポイント上がる見通しです。2050年の埼玉県35.5%は、2024年の岩手県35.4%とほぼ同じ水準です。「いま岩手で起きていることが、25年後に首都圏で起きる」と言える根拠がこの表にあります。介護の人手をどう確保するかという県内の論点は岩手の介護人材不足の記事で扱っています。
県の数字を資料に引用する手順
数字を引用する作業で事故が起きるのは、時点と定義を落としたときです。手順を固定しておけば、誰が作っても同じ資料になります。

引用時に必ず添える3点
- 調査名と公表主体(岩手県「岩手県の高齢化率」/内閣府「令和8年版高齢社会白書」など)
- 時点(令和7年10月1日現在/令和6年/令和32年)
- 計算の前提(総人口から年齢不詳分を除いて計算、将来推計は令和5年推計)
この3点をスライドの脚注か表の下に1行で入れます。県や市の担当者に出す資料では、脚注のない数字は確認待ちになって話が進みません。
生成AIに任せる部分と任せない部分
任せてよいのは、確定した数字を渡したあとの作業です。市町村別の表から「低い5市町村・高い5市町村」を抜き出した表の整形、圏域ごとの差を説明する本文の下書き、社内説明で出そうな質問への想定問答、同じ内容の短い口頭説明版。どれも数字を渡したうえでの言い換えなので、検証すれば済みます。
任せないのは、数字そのものの取得と制度の説明です。「岩手県の高齢化率は何%か」を生成AIに聞くと、年次が古い値や、年齢不詳分を除かない計算の値が返ることがあります。年齢不詳分の扱い、国勢調査と推計の関係、将来推計の前提といった定義の説明も、県や内閣府の資料の文言をそのまま使います。
出来上がったら、渡した数字と出力の数字を1つずつ突き合わせます。表を整形させた場合は、行数とセルの値が元の表と一致しているかを見ます。ここを省くと、桁が1つ落ちた表がそのまま社外に出ます。
よくある質問
Q. 岩手県の高齢化率の最新値はどこで確認できますか。
A. 岩手県保健福祉部長寿社会課の「岩手県の高齢化率」のページです。県全体と33市町村分の高齢化率、および昭和55年からの推移が2つのPDFで公開されています。更新は年1回で、令和7年10月1日現在の値は令和8年1月8日にページが更新されました。
Q. 総人口で割った数字と県の数字が合いません。
A. 県は総人口から年齢不詳分を除いて計算しています。令和7年10月1日現在なら、総人口1,126,813人ではなく1,111,901人が分母です。総人口で割ると35.5%、県の方式では36.0%になります。
Q. 高齢化率が上がっているのに高齢者の数が減っているのはなぜですか。
A. 分母の人口が分子より速く減っているためです。県内の65歳以上人口は令和3年の405,793人から令和7年の400,034人へ1.4%減りましたが、同じ期間に総人口は5.8%減りました。
Q. 市町村別で最も高いのはどこですか。
A. 令和7年10月1日現在では西和賀町の56.1%です。次に葛巻町52.3%、住田町48.5%、普代村48.3%、岩泉町48.3%が続きます。最も低いのは北上市の28.6%です。
Q. 2050年の見通しはどの資料を見ればよいですか。
A. 内閣府「令和8年版高齢社会白書」の表1-1-10です。岩手県は令和32年(2050年)に65歳以上人口割合45.9%、75歳以上人口割合29.1%と見込まれています。もとになっているのは国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計です。
Q. 提案書には県平均と市町村別のどちらを使うべきですか。
A. 対象の市町村が決まっているなら市町村別の値を使います。県平均36.0%は、北上市28.6%と西和賀町56.1%のどちらの現場にも当てはまりません。複数市町村をまとめて扱うなら、9つの広域生活圏の小計が中間の単位として使えます。
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