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岩手の県内総生産4兆8,973億円|産業構造と就業者の差

岩手の県内総生産4兆8,973億円|産業構造と就業者の差

この記事の要点

  • 岩手県の県内総生産は令和5年度で名目4兆8,973億円、実質4兆6,788億円です(岩手県「岩手県の人口・経済」令和8年6月2日更新)。
  • 経済成長率は名目3.1%、実質0.9%で、名目・実質ともに2年連続の増加と説明されています。
  • 名目の県内総生産から見た産業構造の構成比は、第1次産業3.0%、第2次産業25.5%、第3次産業70.7%です。
  • 産業別就業者数の構成比は第1次8.8%、第2次26.0%、第3次65.2%で、産出の構成比とずれます。ずれが最も大きいのは第1次産業です(岩手県「岩手県の人口・経済」)。
  • 数字を社外資料に載せるときは「令和5年度」「名目か実質か」「県民経済計算の経済活動別区分」の3点を必ず添えます。

対象読者は、県内の事業者・金融機関・自治体・学校で、岩手県の経済規模や産業構成を資料に書く必要がある方です。読み終えると、県の公表ページからどの数字を取り、どの注記を添えるかが決まります。

県内総生産は名目4兆8,973億円・実質4兆6,788億円

岩手県は令和5年度の県民経済計算の結果を「岩手県の人口・経済」ページにまとめています。県内総生産は名目4兆8,973億円、実質4兆6,788億円です(岩手県「岩手県の人口・経済」)。

名目と実質の県内総生産と成長率を左右に並べた図
令和5年度の県内総生産は名目と実質で2,185億円の差があり、成長率も名目と実質で分かれる。

名目と実質を混ぜない

名目は、その年度の価格でそのまま足し上げた額です。実質は物価変動の影響を取り除いた額で、名目より2,185億円小さくなっています。資料に1つだけ載せるなら、規模を伝えたいときは名目、伸びを伝えたいときは実質を選び、どちらかを明記します。2つを並べるときも、片方だけに「兆円」を付けて片方を「億円」にするような書き方は避けます。

成長率は名目3.1%・実質0.9%

経済成長率は名目3.1%、実質0.9%です。名目と実質の差は、価格が上がった分が名目側に乗っているためです。「3.1%成長」と書いて実質の数字を出典に付けると、読み手が検算できずに止まります。率を書くときは、名目か実質かをその行に書きます。

「2年連続の増加」の範囲

県の説明では、県内総生産は名目・実質ともに2年連続の増加とされています。これは県内総生産の話で、県民所得や就業者数が2年連続で増えたという意味ではありません。引用の際に「岩手経済は2年連続でプラス」と言い換えると、対象が広がりすぎます。

増えた産業と減った産業

県は増減の要因を1文で説明しています。建設業等が減少したものの、電気・ガス・水道・廃棄物処理業や、宿泊・飲食サービス業が増加したことにより、県内総生産は増加した、という整理です。

増加した業種と減少した業種を左右に分け、右端に県内総生産を置いた図
県の説明にある増減要因。増えた業種は2つ、減ったのは建設業等。

県の説明にある増減要因をそのまま使う

「宿泊・飲食サービス業が増えた」までは公表資料に書かれています。一方で「インバウンドが増えたから」「人手が戻ったから」という理由は、このページには書かれていません。理由を足したいときは、観光や雇用の別の統計を出典として別に用意します。岩手の有効求人倍率の読み方のように、指標ごとに出典を分けるのが安全です。

「県内が好調」と書く前に確認すること

県内総生産が増えていても、業種によって方向は逆です。建設業等は減少とされています。建設業の取引先に出す資料で「県内経済は好調です」と書くと、相手の実感と合いません。県全体の数字と、相手の業種の数字は分けて書きます。

産業構造の構成比は第1次3.0%・第2次25.5%・第3次70.7%

名目の県内総生産から見た産業構造の構成比は、第1次産業(農林水産業)3.0%、第2次産業(鉱業、製造業、建設業)25.5%、第3次産業(その他)70.7%です。

第1次・第2次・第3次産業の構成比を3段に積んだ図
名目の県内総生産から見た構成比。3つを足しても99.2%で100にならない。

合計が100にならない理由

3つを足すと99.2%です。県の注記では、輸入品に課される税・関税等を加減算していないため、構成比の合計は100にならないと説明されています。円グラフにして「その他0.8%」を勝手に作ると、存在しない区分を描くことになります。棒を3本並べるか、注記をそのまま添えます。

「経済活動別区分」という前提

この構成比は県民経済計算の経済活動別区分によるものです。日本標準産業分類で数えた事業所の割合とは母数が違います。別の統計の第1次産業比率と並べて「同じ3.0%のはず」と考えると合いません。

就業者の構成比とのずれ

産業別就業者数の構成比は、第1次産業8.8%、第2次産業26.0%、第3次産業65.2%です(岩手県「岩手県の人口・経済」)。こちらは合計100.0%になります。

第1次産業の産出構成比と就業者構成比を左右に並べ、差をポイントで示した図
第1次産業は就業者の構成比のほうが5.8ポイント大きい。

就業者の構成比は、賃金の改定がどの産業に厚く効くかを見るときの土台にもなります。岩手県の最低賃金は令和8年度に1,031円から1,090円へ改定される見通しで、発効日は2026年12月1日とされています(厚生労働省の公表資料(PDF)/岩手県の最低賃金と支援策の読み方)。

差がいちばん大きいのは第1次産業

第1次産業は、就業者の構成比8.8%に対して県内総生産の構成比3.0%です(岩手県「岩手県の人口・経済」)。差は5.8ポイントで、働いている人の割合のほうが大きい形です。第3次産業は逆で、産出70.7%に対して就業者65.2%と、産出のほうが5.5ポイント大きくなっています。第2次産業は25.5%と26.0%で、差は0.5ポイントです。

ずれを言い換えるときの言葉を決めておく

このずれは「1人当たりの産出額が産業によって違う」ことを示しています。ただし、同じ表の構成比どうしを引き算しているだけなので(岩手県「岩手県の人口・経済」)、「農業の生産性は第3次産業の3分の1」のような割り算まで進めるなら、就業者数と産出額の実数を取り直してから計算します。構成比の差はポイントで書き、パーセントと混ぜません。

「岩手は農業の県」と書くときの注意

第1次産業は、就業者の構成比8.8%に対して県内総生産の構成比3.0%で、雇用の面と産出の面で印象が変わります(岩手県「岩手県の人口・経済」)。「岩手は農業が主力」と書くと産出の実態とずれ、「農業は3.0%しかない」と書くと雇用の実態とずれます。どちらの面の話をしているかを、文中で先に宣言します。

数字の時点をそろえる

同じ「岩手県の人口・経済」ページの中に、時点の違う数字が並んでいます。取り違えが起きやすいところです。

3つの時点が混ざっている

人口1,126,813人と世帯数535,667世帯は、岩手県毎月人口推計の令和7年10月1日現在の値です。県内総生産と一人当たり県民所得283万5千円は令和5年度の県民経済計算です。人口の推移の説明では、昭和36年の1,449,324人(第一のピーク)、昭和60年の1,433,611人(第二のピーク)、平成16年に140万人、平成25年に130万人、令和3年に120万人を下回った、という時点も出てきます。同じページの数字でも、1つの表にまとめるときは列に年度を付けます。

人口はもっと新しい値が別にある

毎月人口推計は毎月更新されるため、最新月の人口はこのページの値より新しくなります。月次の値を使うときは推計の公表月をそろえます(岩手県の人口推計の読み方)。

国勢調査の結果が出ると入れ替わる

令和7年国勢調査の集計が出ると、人口の基礎になる数字が確定値へ入れ替わります(総務省統計局「令和7年国勢調査 調査の結果」)。推計値で作った資料は、確定値が出た時点で数字の差し替えが必要になります。作成日を資料の隅に入れておくと、差し替え対象を後から探せます。

市町村単位で見たいときは市町村民経済計算

県の値だけでは、自社の商圏の話になりません。市町村別の産出額は、県民経済計算とは別に市町村民経済計算として公表されています。

県と市町村で公表物が別になっている

いわての統計情報の統計調査結果一覧には、県民経済計算(確報)の概要[令和5年度]と市町村民経済計算(概要版)[令和5年度]が、いずれも2026年3月27日更新として並んでいます(岩手県「いわての統計情報」統計調査結果一覧)。県の数字を引いたあと、市町村の数字を同じ年度でそろえて取るのが手順です。

全国と比べたいときの入口

都道府県どうしの比較は、内閣府が公表する県民経済計算のページで年度をそろえて確認します(内閣府「県民経済計算」)。県のページの数字と内閣府の集計は、公表の時期がずれることがあります。比較表を作るときは、両方の公表年月をメモしておきます。

県内総生産の数字を生成AIに任せてよい範囲

統計を扱う作業のうち、AIに向いているのは文章化と組み替えで、数値の取得には向きません。

任せてよい作業

貼り付けた数字の並べ替え、社内向けの説明文の下書き、用語(名目・実質・経済活動別区分)のやさしい言い換え、上司に聞かれそうな質問リストの作成、図表の見出し案。いずれも、こちらが渡した数字の範囲で完結します。

任せてはいけない作業

「岩手県の県内総生産はいくら」と数値そのものを聞くことです。年度や名目・実質の区別が落ちた値が返ることがあり、出典を後から確認できません。公表ページを開いて数字を自分で写し、その値だけをAIに渡します。

そのまま使える依頼文の例

次の数字は岩手県の公表値です。この数字だけを使って、社内会議用の説明を3行で書いてください。
数字は変えず、ここに書いていないことは補わないでください。単位と年度は各行に残してください。

・令和5年度 県内総生産 名目4兆8,973億円/実質4兆6,788億円
・経済成長率 名目3.1%/実質0.9%
・産業構造の構成比 第1次3.0%/第2次25.5%/第3次70.7%
・産業別就業者数の構成比 第1次8.8%/第2次26.0%/第3次65.2%

出てきた文の中に、渡していない数字や「全国平均」のような言葉が混じっていたら、その行は使いません。

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よくある質問

Q. 県内総生産と県民所得は何が違うのですか。
県内総生産は県内で生み出された付加価値の合計です。一人当たり県民所得283万5千円は、県民や県内の企業などが得た所得の合計を県の総人口で割った値で、県は一人当たり国民所得を100としたときの水準を80.5と示しています。個人の平均年収ではありません。

任せてよい作業と任せてはいけない作業を左右に分けた仕分け図
渡した数字の中で完結する作業と、数値取得そのものを分ける。

Q. 最新の数字はいつ入れ替わりますか。
令和5年度の県民経済計算(確報)の概要と市町村民経済計算(概要版)は2026年3月27日更新として公表されています。次の年度分も同じ時期に出る想定で、確定の公表日は岩手県の統計調査結果一覧で確認します。

Q. 産業構造の構成比を足すと100になりません。誤植ですか。
誤植ではありません。輸入品に課される税・関税等を加減算していないため合計は100にならない、と県が注記しています。

Q. 市町村ごとの県内総生産は載っていますか。
県のページには載っていません。市町村民経済計算(概要版)として別に公表されています。

Q. 資料に載せるときの出典表記はどう書けばよいですか。
「岩手県『岩手県の人口・経済』(令和5年度県民経済計算、令和8年6月2日更新)」のように、資料名・対象年度・更新日の3点を入れます。

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参考・出典