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岩手のインターネット利用率78.9%|全国との差と生成AI

岩手のインターネット利用率78.9%|全国との差と生成AI

総務省が2026年5月29日に公表した「令和7年通信利用動向調査」で、岩手県のインターネット利用者の割合は78.9%でした。同じ表の全体(全国)は85.7%で、岩手は6.8ポイント低い値です。調査時点は2025年(令和7年)8月末です。

2026年10月4日時点で、これが最新の通信利用動向調査です。この記事では、総務省の報道資料の別紙「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)」に載っている都道府県別の表をもとに、岩手の数字の読み方、東北6県との比べ方、年齢による差、そして県内の事業者が生成AIやWebの仕組みで顧客向けの案内を作るときに押さえておきたい点を整理します。

この記事の要点

  • 令和7年通信利用動向調査で、岩手県(回答者1,023人)のインターネット利用者の割合は78.9%、全体(42,214人)は85.7%でした。差は6.8ポイントです(筆者の計算)。
  • 端末別では、岩手はスマートフォン66.3%(全体74.3%)、パソコン39.0%(45.6%)、タブレット型端末16.6%(25.0%)、携帯電話9.2%(9.4%)です。
  • 東北6県は山形県82.8%、宮城県80.0%、福島県79.9%、青森県79.5%、岩手県78.9%、秋田県77.3%。47都道府県で岩手より低いのは6県でした(筆者の集計)。
  • 全国の年齢階層別では、60〜69歳が91.2%、70〜79歳が71.9%、80歳以上が37.1%です。都道府県別の表は年齢をそろえた数字ではないため、県の差には年齢構成の違いも含まれます。
  • 企業調査(全国・常用雇用者100人以上)では、IoTやAI等のシステム・サービスを導入している企業は27.3%で、前年から8.9ポイント増えました。
  • 生成AIを社内の作業に使うかどうかは、県民のインターネット利用率の影響をほとんど受けません。影響を受けるのは、顧客向けの案内や予約をWebやAIチャットだけで完結させる設計です。

対象読者

  • 岩手県内の事業者で、予約・問い合わせ・販売をWebやLINE、AIチャットに移すかを考えている方
  • 自治体・商工団体などで、デジタル化の施策や講習を企画している方
  • 生成AIの研修や導入を社内で提案するときに、県の数字を出典付きで示したい方

読了後にできること

  • 都道府県別の表から、岩手の値を正しく引用できる
  • 全体や東北6県との差を、回答者数と年齢構成に注意して読める
  • 自社の顧客の年齢層に合わせて、Webと電話・紙の窓口の配分を考えられる
  • 生成AIに任せる作業と、人が残す窓口を分けられる

通信利用動向調査は「ネットを使った人の割合」を測る調査

通信利用動向調査は、世帯と企業における情報通信サービスの利用状況や、情報通信機器の保有状況を調べる総務省の調査です。統計法に基づく一般統計調査として、平成2年から毎年行われています。

令和7年通信利用動向調査を中心に、世帯調査(40,592世帯)、企業調査(6,040企業)、調査時点(令和7年8月末)の3つをつないだハブ型の図。
図1 令和7年通信利用動向調査は世帯調査と企業調査の2つ、調査時点は令和7年8月末

調査の対象と時点

総務省「令和7年通信利用動向調査 ポイント」によると、令和7年調査は世帯調査と企業調査の2つからなります。

  • 世帯調査:20歳以上の世帯主がいる世帯及びその6歳以上の構成員が対象(40,592世帯)
  • 企業調査:公務を除く産業に属する、常用雇用者規模100人以上の企業が対象(6,040企業)
  • 調査時点:令和7年8月末。調査票を郵送で配り、郵送またはオンラインで回収

都道府県別の数字が出るのは、個人(世帯構成員)の回答を集計した部分です。企業調査は常用雇用者100人以上の企業が対象なので、県内の中小企業の姿をそのまま表すものではありません。

都道府県別の表がある場所

都道府県別の値は、総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)」の7ページ、「図表1-11 都道府県別インターネットの利用状況及び端末別インターネットの利用状況」に載っています。表には、県ごとの回答者数(n)、インターネット利用者の割合の総数、端末別(パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末)の割合が並んでいます。より細かい統計表は、e-Statの「通信利用動向調査」に掲載されます。

岩手は78.9%、全体より6.8ポイント低い

図表1-11から、岩手県と全体の値を抜き出すと次のとおりです。

令和7年通信利用動向調査のインターネット利用者の割合を、岩手県と全体、総数とスマートフォンの2行2列の表で示し、岩手県は総数78.9%・スマートフォン66.3%、全体は総数85.7%・スマートフォン74.3%で、総数の差が6.8ポイントであることを示した図。
図2 インターネット利用者の割合:岩手県は総数78.9%・スマートフォン66.3%、全体は85.7%・74.3%
インターネット利用者の割合 岩手県(n=1,023) 全体(n=42,214) 差(筆者の計算)
総数 78.9% 85.7% 6.8ポイント
スマートフォン 66.3% 74.3% 8.0ポイント
パソコン 39.0% 45.6% 6.6ポイント
タブレット型端末 16.6% 25.0% 8.4ポイント
携帯電話 9.2% 9.4% 0.2ポイント

スマートフォンでの利用は66.3%

最も差が大きいのはタブレット型端末(8.4ポイント)とスマートフォン(8.0ポイント)です。岩手県では、スマートフォンでインターネットを利用している人は66.3%で、全体の74.3%を下回ります。顧客向けの予約ページやAIチャットはスマートフォンで開かれることが多いため、この66.3%が、県内でスマートフォンから案内を受け取れる人の目安になります。

携帯電話はほぼ同じ

携帯電話(スマートフォンを除く)でのインターネット利用は、岩手が9.2%、全体が9.4%で、差は0.2ポイントです。総数の差は、スマートフォン、パソコン、タブレット型端末での利用の差から来ています。

東北6県で比べると、岩手は秋田に次いで低い

同じ表(図表1-11)から東北6県の値を並べると、次のとおりです。

令和7年通信利用動向調査のインターネット利用者の割合(総数)を、秋田県77.3%、岩手県78.9%、宮城県80.0%、山形県82.8%の順に、左から右へ上がる4段の階段で示した図。
図3 東北の4県のインターネット利用者の割合(総数・令和7年):秋田県77.3%、岩手県78.9%、宮城県80.0%、山形県82.8%
県 総数 スマートフォン パソコン 回答者数(n)
青森県 79.5% 67.7% 32.1% 873
岩手県 78.9% 66.3% 39.0% 1,023
宮城県 80.0% 68.9% 38.4% 788
秋田県 77.3% 64.6% 34.4% 1,047
山形県 82.8% 68.9% 38.6% 1,181
福島県 79.9% 65.4% 35.5% 968

差は1〜2ポイントの範囲

図表1-11の東北6県の総数は77.3%から82.8%の間にあり、岩手と青森、宮城、福島との差は1ポイント前後です。一方で、パソコンでの利用は岩手が39.0%で、東北6県の中で最も高い値でした。「岩手は東北で遅れている」と一言でまとめるより、項目ごとに読み分けるほうが実態に近くなります。

47都道府県の中での位置

同じ図表の47都道府県の総数で、岩手の78.9%より低いのは鹿児島県(76.2%)、秋田県(77.3%)、長崎県(77.4%)、高知県(77.8%)、大分県(77.9%)、宮崎県(78.2%)の6県でした(筆者の集計)。最も高いのは神奈川県の91.0%、次いで東京都の90.8%で、9割を超えたのはこの2都県だけです。

年齢階層で見ると70歳以上で下がる

同じ資料の図表1-6で、全国の年齢階層別のインターネット利用者の割合を見ると、13〜19歳から50〜59歳までは9割を超え、60〜69歳が91.2%、70〜79歳が71.9%、80歳以上が37.1%です(令和7年)。

全国の令和7年の年齢階層別インターネット利用者の割合を、60〜69歳91.2%、70〜79歳71.9%、80歳以上37.1%の3本の縦棒で、右へ行くほど低くなる形で示した図。
図4 全国の年齢階層別インターネット利用者の割合(令和7年):60〜69歳91.2%、70〜79歳71.9%、80歳以上37.1%

70歳以上は上がり続けている

同じ図表では、70〜79歳は令和3年の59.4%から令和7年の71.9%へ、80歳以上は27.6%から37.1%へと上がっています。高齢の人のインターネット利用は少しずつ広がっていますが、80歳以上ではまだ4割に届いていません。

都道府県別の値は年齢をそろえていない

都道府県別の表は、それぞれの県の回答者をそのまま集計した値で、年齢構成をそろえる調整はしていません。高齢の人の割合が高い県ほど、総数は低く出やすくなります。岩手の78.9%を「岩手の人はネットを使わない」と読むのではなく、自社の顧客の年齢層に当てはめて読み替えることが大切です。

困ったときの相談相手は家族

全国のインターネット利用者のうち、「相談できる相手がいる」は86.9%で、相談相手は「家族・親戚」が77.8%と最も高く、「友人」38.9%、「携帯電話ショップ」15.6%と続きます。全ての年齢階層で「家族・親戚」が7割以上でした。高齢の顧客向けのWeb案内では、家族が代わりに見ることも想定しておくと使われやすくなります。

企業のIoT・AI導入は全国で27.3%

企業調査(全国・常用雇用者100人以上)では、デジタルデータの収集・解析等のため、IoTやAI等のシステム・サービスを導入している企業の割合は27.3%でした。前年から8.9ポイント増え、総務省は全ての産業で前年から増加したと説明しています。最も高いのは金融・保険業の52.3%です。

導入の目的は「効率化・業務改善」が91.2%で最も高く、次いで「事業の全体最適化」34.1%、「顧客サービス向上」29.4%でした。この数字は100人以上の企業が対象で、生成AIだけを数えたものでもありません。中小企業の生成AIの活用状況は、生成AI活用、中小企業は32.3%どまり|岩手の企業が今すぐやることで別の調査をもとに整理しています。

岩手の事業者が数字から考えること

県のインターネット利用率は、生成AIを「社内で使うか」と「顧客との接点に使うか」で、意味が変わります。

社内の作業は利用率の影響を受けにくい

議事録の下書き、見積書や報告書の文章の整え、マニュアルの要約といった社内の作業は、従業員が使えれば成り立ちます。県民のインターネット利用率が78.9%であることは、社内で生成AIを使わない理由にはなりません。社内で使う前には、入力してよい情報の範囲を決めておきます(AI研修前に決める利用ルール完全ガイド)。

岩手県の最低賃金は令和8年度に1,031円から1,090円へ上がる見通しで(発効は2026年12月1日の見通し、官報告示前)、人件費が上がるほど、社内の作業を効率化する意味は大きくなります(厚生労働省の資料)。業務改善助成金(令和8年度)の申請と賃上げの期限は岩手では11月30日で、詳しくは岩手の最低賃金引き上げと助成金の記事にまとめています(同省の資料)。

顧客向けの案内は「Webだけ」にしない

予約や問い合わせをWebやAIチャットだけで受ける設計は、スマートフォンでインターネットを使う66.3%の人には届きますが、それ以外の人には届きにくくなります。県内の業種に当てはめると、たとえば次のような分け方が考えられます。

  • 沿岸や内陸の宿泊施設:Web予約を増やしつつ、電話予約の受付時間を案内ページと紙のパンフレットの両方に書く
  • 医療・介護の事業所:家族向けにWebで情報を出し、利用者本人には紙と電話で同じ内容を伝える
  • 農産物の直売所や食品の製造販売:通販ページと店頭の注文票を両方用意し、AIチャットの答えを店頭の掲示にも使う

窓口の分け方や、Web以外の案内にどこまで手をかけるかで迷うときは、岩手県よろず支援拠点(盛岡市北飯岡)に相談できます。中小企業庁が全国に設置している公的な経営相談所で、相談は無料、何度でも利用できます(岩手県よろず支援拠点)。

AIで同じ内容を3つの窓口に書き分ける

生成AIは、1つのお知らせをWeb用、紙用、電話で読み上げる原稿用に書き分ける作業に向いています。窓口を増やしても、文章を作る手間を大きく増やさずに済みます。見守りや高齢の家族とのやり取りでAIを使う例は、岩手の高齢者見守りAI|家族・自治体の実例にまとめています。

生成AIで顧客向けの案内を作る手順

顧客向けの案内は、顧客の年齢層を確かめる、窓口を決める、AIで書き分ける、人が確かめる、の順で作ります。

顧客向けの案内を作る手順として、顧客の年齢層を確かめる、窓口を決める、AIで書き分ける(Web・紙・電話)、人が確かめるの4つを左から右へ並べた図。
図5 顧客の年齢層を確かめてから、AIで書き分け、人が確かめる

4つの手順

  1. 顧客の年齢層を確かめる:会員名簿や予約記録から、顧客の年齢層の割合を集計します。個人名は使わず、年代ごとの人数だけを出します。
  2. 窓口を決める:年齢層に合わせて、Web、紙、電話のどれで受け付けるかを決めます。
  3. AIで書き分ける:決めた窓口ごとに、同じ内容の文章を生成AIで書き分けます。
  4. 人が確かめる:日付、料金、電話番号、受付時間を、元の情報と1つずつ照合します。

プロンプトの例

次のお知らせを、(1)ホームページ用、(2)店頭に貼る紙用(A4・大きな文字・200字以内)、(3)電話で読み上げる原稿用(1分以内)の3つに書き分けてください。日付・時間・電話番号は原文のとおりに書き、原文にない情報は足さないでください。

入力しない情報

顧客の氏名、住所、電話番号、会員番号などの個人情報は入力しません。年齢層の集計は、年代ごとの人数にしてから使います。社外のAIサービスを使う場合は、社内の利用ルールに従います。

数字を引用するときの注意

県の数字を企画書や研修資料に書くときは、次の3点を添えると誤解が減ります。

岩手県の78.9%を引用する前に、回答者数は1,023人で上下2.5ポイント程度の幅があること、無回答を除いた集計であること、企業のAI導入率ではないこと(企業調査は27.3%)の3つの関門を通ることを示した図。
図6 78.9%を引用する前に通す3つの確認

回答者数は1,023人

岩手県の値は、回答者1,023人の集計です。単純な無作為抽出とみなした粗い計算では、78.9%には上下2.5ポイント程度の幅があります(筆者の計算)。東北の隣県との1ポイント前後の差は、この幅の中に収まります。県どうしの順位を断定的に書かないようにします。

無回答を除いた集計

総務省のポイント資料は、一部のグラフを除き、無回答を除く形で集計していると注記しています。表の値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しない場合があります。

「岩手の企業のAI導入率」ではない

78.9%は個人のインターネット利用の割合で、企業のAI導入率ではありません。企業調査の27.3%は全国の常用雇用者100人以上の企業の値です。2つを混ぜて「岩手の企業のAI導入率」のように書かないようにします。県の統計の探し方は、岩手県の統計データの探し方にまとめています。

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よくある質問

Q. 岩手県のインターネット利用率はどれくらいですか。
A. 総務省の令和7年通信利用動向調査(調査時点は令和7年8月末、公表は2026年5月29日)で、岩手県のインターネット利用者の割合は78.9%でした。全体(全国)は85.7%です。

Q. 岩手県でスマートフォンからインターネットを使う人の割合は。
A. 同じ調査で66.3%です。全体は74.3%で、岩手は8.0ポイント低い値です(筆者の計算)。

Q. 東北の他の県と比べるとどうですか。
A. 総数は山形県82.8%、宮城県80.0%、福島県79.9%、青森県79.5%、岩手県78.9%、秋田県77.3%です。岩手と隣県との差は1ポイント前後で、回答者数を考えると順位は断定できません。パソコンでの利用は、岩手が39.0%で東北6県の中で最も高い値でした。

Q. この数字は岩手の企業のAI導入率ですか。
A. 違います。78.9%は個人のインターネット利用の割合です。企業調査では、全国の常用雇用者100人以上の企業でIoTやAI等のシステム・サービスを導入している割合が27.3%でした。県別の企業の値ではありません。

Q. インターネット利用率が低いと、生成AIは使わないほうがよいですか。
A. 社内の作業(文章の下書き、要約、マニュアル作り)に使うかどうかは、県民の利用率とは関係なく判断できます。顧客向けの予約や案内をWebやAIチャットだけにするかどうかは、自社の顧客の年齢層を確かめてから決め、電話や紙の窓口も残すことを考えます。

Q. 次の調査結果はいつ出ますか。
A. 通信利用動向調査は毎年行われていて、令和7年調査は2026年5月29日に公表されました。次の調査の公表日は、総務省の発表で確かめてください。

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参考・出典