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【2026年最新】岩手の特養・老健・グループホームがAIで介護記録・シフト・見守りを効率化する実践ガイド

【2026年最新】岩手の特養・老健・グループホームがAIで介護記録・シフト・見守りを効率化する実践ガイド

この記事の要点

  • 岩手の高齢化率は全国平均を大きく上回り、令和6年(2024年)時点で35.4%(全国7位・全国平均は約29%)。介護人材不足は今後さらに深刻化する見通し。
  • 施設介護(特養・老健・グループホーム)固有の課題は「24時間シフト」「夜間見守り」「申し送り・記録の多さ」の3点。
  • 記録のICT化で記録時間76.1%・申し送り時間74.1%を削減した特養事例が公的機関(WAM)から報告されている。
  • 2024年介護報酬改定の「生産性向上推進体制加算」を取得すると、加算(Ⅱ)で月10単位、加算(Ⅰ)で月100単位が見込める。一方で特養の74.5%が未算定で、今から取り組めば先行できる。
  • 岩手県の介護テクノロジー導入等支援事業費補助金(令和8年度は補助率4/5)を活用すれば導入コストを大幅に抑えられる。

1. 岩手の施設介護が直面する3つの深刻課題

岩手県の高齢化率は令和6年(2024年)時点で35.4%にのぼり、全国47都道府県で7番目に高い水準にある(全国平均は約29%)。岩手県は令和7年(2025年)10月1日現在の高齢化率も公式に公表しており、いずれの基準でも全国平均を大きく上回る。生産年齢人口の減少は全国に比べて速く進んでおり、介護人材の確保は今後さらに難しくなる見通しだ(厚生労働省の第9期介護保険事業計画でも、全国で令和22年度に約272万人の介護職員が必要と推計されている)。

施設介護(特養・老健・グループホーム)は、在宅介護とは異なる特有の課題を抱えている。

課題1:24時間365日の記録業務

特養や老健では、食事・排泄・入浴・バイタル・服薬・就寝・夜間の体位変換など、1名の利用者につき1日あたり数十件の記録が発生する。紙で運用している施設では、記録に1〜2時間、申し送りにさらに30〜60分かかる現場も少なくない。

課題2:夜間の見守りと少人数対応

夜勤は1〜2名で20〜40名を担当するケースが多い。転倒・転落・徘徊のリスクが高い時間帯であるにもかかわらず、センサーがなければ全居室を目視で確認するしかない。夜勤職員の精神的・身体的負担が離職につながることも多い。

課題3:シフト作成の複雑さ

夜勤・早番・遅番・公休・有給を組み合わせた月次シフトの作成は、管理者が毎月3〜5時間かけることも珍しくない。人員配置基準を満たしながら希望休を調整する作業は、AIが下書きづくりで力を発揮できる領域のひとつである。

2. 施設介護で使えるAI・ICT活用の5領域

領域1:介護記録のICT化(記録時間を大きく削減)

音声入力やタブレット端末で記録をデジタル化すると、記録時間を大幅に短縮できる。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が紹介したある特別養護老人ホームの事例では、記録を紙からタブレット端末へ移行し情報を電子化・動画共有したことで、記録にかかる時間が76.1%、申し送りに費やす時間が74.1%削減されたと報告されている。

岩手の施設で始めるステップ

  1. まず紙記録を把握する:今月、記録と申し送りに使った時間を1週間計測する。
  2. 入力項目を絞り込む:記録のうち、毎回同じパターンで書いているものを3つ挙げる。
  3. 音声入力を試す:タブレット+音声入力ソフトで「入浴後、体温36.2度、自力で洗体、問題なし」と話すだけで記録を残せる運用を試す。

施設入所型に対応した介護記録ソフト(ケアコラボ、カイポケ、ほのぼのNEXT 等)を導入すれば、申し送りもデジタル化できる。製品ごとに対応サービス種別・料金・機能は異なるため、必ず各社公式サイトで自施設(特養・老健・グループホーム)が対象かを確認すること。これらは後述の岩手県補助金の対象となり得る。

領域2:夜間見守りセンサー(転倒・転落リスクを事前検知)

AIを搭載した見守りセンサーは、居室内の動きをリアルタイムで検知し、転倒・起き上がり・離床の予兆をアラートで通知する。夜勤職員が定期巡回の代わりにセンサー情報を確認できるため、精神的負担の軽減と不要な起こし行為の減少が同時に期待できる。岩手の山間部や沿岸部の施設では夜勤応援を呼ぶことも難しい環境のため、こうしたセンサーの導入効果は特に大きい。

システム例 主な特徴 提供元
HitomeQ ケアサポート 2眼3DカメラとAIによる行動検知・転倒/転落の状況把握 コニカミノルタ
シルエット見守りセンサ等 深度カメラ+AIで姿勢・状態を検知 各社
体動・離床センサー ベッド上の動き・離床を検知 パラマウントベッド等

※各製品の料金・仕様・対応規模は公式サイトで必ず確認のこと。製品名は2026年6月時点で各社が公式に提供を確認しているもの。

領域3:シフト管理のAI活用(下書きづくりを時短)

生成AIにシフト条件を入力すると、初期案を短時間で作成できる。条件入力の整備に手間はかかるが、一度テンプレートを作れば毎月再利用できる。

プロンプト例(ChatGPT / Claude などで使用可)

以下の条件で来月のシフト初期案を作ってください。

【スタッフ】
- 正職員A(夜勤可・月6回まで)
- 正職員B(夜勤可・月4回まで)
- パートC(日勤のみ・週4日)
- パートD(日勤のみ・週3日・木曜休み希望)

【シフト条件】
- 日勤:早番7:00〜、日勤9:00〜、遅番14:00〜
- 夜勤:17:00〜翌9:00
- 配置の目安:日中は常時2名以上、夜間は1名以上

まず週ごとの人員配置表を作成してください。
矛盾があれば指摘してください。

AIが作成した案はあくまで初期案。配置基準の適合確認と最終調整は必ず管理者が行うこと。

領域4:ケアプラン・支援計画の文書作成補助

ケアプランや個別支援計画の書類作成は時間がかかる業務の一つ。生成AIを使えば、利用者の基本情報をもとに文書のたたき台を作ることができる。ただし、個人情報(氏名・住所・病歴・介護度など)をAIサービスに直接入力してはならない。架空情報に置き換えてから入力し、出力結果を実際の情報に合わせて編集する運用が基本となる。

安全な使い方の例

NG例:「山田花子(78歳女性、要介護3、認知症)のケアプランを作って」

OK例:「78歳女性、要介護3、認知症中等度、歩行は一部介助、食事は自立、排泄は一部介助が必要な方のケアプランのたたき台を作ってください。本人の意向は『できるだけ自分でやりたい』です」

領域5:多言語対応(外国人介護職員・家族との連携)

岩手でも外国人介護職員が少しずつ増えている。生成AIを使えば、業務マニュアルや申し送り内容をベトナム語・インドネシア語などに翻訳して伝達を補助できる。外国人のご家族への状況報告書の翻訳補助としても活用できる(医療・介護に関わる重要事項は、翻訳結果を職員が必ず確認する運用が前提)。

3. 生産性向上推進体制加算で月額加算を取得する

2024年の介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算」は、ICT・見守り機器などのテクノロジーを導入し、委員会の設置や業務改善データの提出といった要件を満たして継続的に活用することで算定できる。

区分 主な要件 単位数
加算(Ⅱ) テクノロジー(見守り機器/インカム等/介護記録ソフトのいずれか)を1種類以上導入・活用、業務改善データの提出、委員会の設置 ほか 月10単位
加算(Ⅰ) 見守り機器(全居室)+インカム等(同一時間帯の全介護職員が使用できる体制)+介護記録ソフトの3種類すべてを導入し、業務改善の成果を数値で示す ほか 月100単位

原則としてまず加算(Ⅱ)を算定し、一定期間の取り組みを経て加算(Ⅰ)へ移行する段階的な仕組みになっている。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が2024年12月に公表した調査(特養769施設対象)では、特養における加算(Ⅰ)の算定は6.9%、加算(Ⅱ)は18.6%にとどまり、74.5%が「算定していない」と報告された。逆にいえば、今から取り組めば先行できる状況にある。

4. 岩手県の補助金を活用した導入コスト試算

岩手県 介護テクノロジー導入等支援事業費補助金

岩手県は「介護テクノロジー導入等支援事業費補助金」を毎年度実施しており、令和8年度(2026年度)分の交付要綱も公表済みである。令和8年度は事前協議の受付が令和8年7月上旬〜8月上旬、交付申請が9月中旬〜10月の予定とされている。最新の公募状況・要件は必ず岩手県公式ページで確認すること。

事業区分 補助率 上限(補助基準額)の目安
移乗・入浴支援等のテクノロジー 4/5 1台あたり100万円
介護ソフト(記録端末等) 4/5 職員数に応じて100万〜250万円
パッケージ型導入 4/5 1事業所あたり1,000万円
モデル施設育成事業 10/10(定額) 1モデルあたり2,000万円

※上表は令和8年度交付要綱(岩手県公表)に基づく。令和7年度(2025年度)の補助率は対象経費の3/4であり、年度によって補助率・対象が変わるため、申請前に最新要綱を確認すること。また、岩手県では生産性向上に関する研修の受講が補助要件となっている。

問い合わせ先:岩手県保健福祉部長寿社会課(メール:kaigo-robot@pref.iwate.jp / 電話:019-629-5441)。連絡先・受付方法も年度で変わり得るため、公式ページで最新情報を確認のこと。

導入コスト試算の考え方(職員20名規模の特養を想定した概算)

  • 介護記録ソフト(クラウド型):初期費用+月額。補助率の適用で初期負担を軽減できる。
  • 見守りセンサー(全居室):機器費は規模により変動。補助率4/5なら自己負担はおおむね5分の1。
  • 月次のランニングコストは契約内容により変動。導入時に「月額コスト」と「加算収入」のバランスを必ず試算する。

いずれも概算。実際の金額は各ベンダーの見積もりと、その年度の補助要綱で確認すること。

5. 岩手の施設介護AI導入 3ステップ・ロードマップ

Step 1(0〜1か月):現状把握と目標設定

  • 記録と申し送りに毎月何時間かかっているかを計測する。
  • 夜勤者1人あたりの見回り回数を記録する。
  • 「まず何の課題を解決したいか」を1つに絞る。

Step 2(1〜3か月):小さく始める

  • 無料で使えるChatGPT等(個人情報入力禁止のルールを先に設定)で、シフト案作成・書類たたき台を試す。
  • 記録ソフトの無料トライアルを1ユニットで試す(ベンダーに依頼)。
  • 夜間見守りセンサーのデモを2〜3社に依頼する。

Step 3(3〜12か月):補助金を使って本導入

  • 岩手県の介護テクノロジー導入補助金の公募を確認し、導入計画書を準備する。
  • 見守り機器・記録ソフト・インカムの3種類を揃え、生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の取得を目指す。
  • 導入後は毎月の業務改善データをまとめ、加算のデータ提出要件を満たす。

よくある失敗パターン3つ

失敗1:高機能のシステムを一度に導入して使いこなせない
セキュリティ設定・研修・マニュアル整備が追いつかず、導入したものの現場が使わないまま費用だけかかる。まず1機能・1ユニットから始めるのが鉄則。

失敗2:個人情報をそのまま外部AIに入力する
生成AIの一部のプランでは入力データが学習に使われる可能性がある。氏名・住所・診断名など個人を特定できる情報は入力しない。法人単位でセキュリティポリシーを定めてから展開すること。

失敗3:補助金の締切を見逃す
岩手県の介護テクノロジー補助金は受付期間が限られる(令和8年度は事前協議が7月上旬〜8月上旬の予定)。年度初めから情報収集を始め、受付開始前に導入計画書の草案を作っておく必要がある。

FAQ

Q1:AIを使うために特別な機器が必要ですか?
記録効率化や書類作成補助であれば、スマートフォンやタブレットがあれば始められます。見守りセンサーは別途専用機器の購入が必要です。

Q2:夜勤が1人の施設でも見守りシステムは効果がありますか?
特に効果があります。アラートで異常を事前に把握できれば、すべての居室を定期的に目視確認する必要が減り、緊急時に素早く対応できます。

Q3:生産性向上推進体制加算を取るのに何が一番のハードルですか?
加算(Ⅰ)では全居室への見守り機器導入が必須要件です。施設規模によっては費用が大きくなりますが、岩手県の補助金を活用すれば自己負担を抑えられます。まず加算(Ⅱ)から始めて段階的に(Ⅰ)を目指す施設が多いです。

Q4:AIに介護記録を書いてもらうことは倫理的に問題ありませんか?
AIはあくまで「文書作成の補助ツール」です。最終的な記録内容の確認・修正・署名は必ず職員が行います。AIが自動で記録を「生成」するのではなく、職員が観察した事実を入力しやすくするための支援ツールとして位置づけることが重要です。

Q5:補助金が終わったらランニングコストが負担になりませんか?
クラウド型のICTサービスは月額料金が発生します。導入時に月額ランニングコストと加算収入のバランスを試算したうえで判断することを推奨します。

岩手の施設介護のAI導入を相談したい方へ

「何から始めるべきか」「補助金と加算をどう組み合わせるか」を、自施設の状況に合わせて整理したい場合は、岩手のAI活用を支援するUravationにご相談ください。導入の優先順位づけから、職員研修・安全な運用ルールづくりまで伴走します。

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本記事の補助金・加算・統計情報は2026年6月時点の公開情報に基づきます。補助率・受付期間・要件は年度ごとに変わるため、申請前に岩手県および厚生労働省の公式ページで最新情報を必ずご確認ください。

この記事の執筆・運営

佐藤 傑 株式会社Uravation 代表取締役CEO

生成AI研修・AI導入コンサルティングの株式会社Uravation代表。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。法人向けAI研修の受講者4,000名以上、AI導入支援100社以上。